天理医学紀要
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原著
急性期病院の緩和ケア病棟における管理栄養士による食事調整の分析
加藤 恭郎福原 真美髙倉 美奈子黒田 結菜石田 優衣清水 桂清水 佐幸尾﨑 佐和子梅本 裕子森川 久恵
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2020 年 23 巻 2 号 p. 74-78

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抄録

目的:急性期病院の緩和ケア病棟における管理栄養士による食事調整を分析する. 方法:2019 年10 月1 日から2020 年3 月31 日までに当院緩和ケア病棟に入院した患者における管理栄養士によ る食事調整について後方視的に分析した. 結果:全例49 例が院内急性期病棟からの転棟例で,在棟日数の中央値は11 日(1–48 日)であった.入棟日に食事摂取,意思表示が可能な場合には,管理栄養士が入棟時カンファレンスへの参加と病床訪問での食事調整を行った.管理栄養士による食事調整なし23 例の在棟日数の中央値は8 日(1–32 日),転棟時摂取エネルギー量は中央値0 kcal (0–725 kcal) であった.転棟後に摂取エネルギー量が100 kcal/ 日以上改善した例はなかった.管理栄養士による食事調整あり26 例の在棟日数の中央値は16 日(2–48 日),転棟時摂取エネルギー量は中央値365 kcal(0–1,305 kcal)であった.初回の管理栄養士による食事調整は転棟当日が23 例(88.4%)で,残り3 例は 転棟後4–11 日であった.管理栄養士による食事調整回数は計57 回で,1 回:14 例,2 回:2 例,3 回:3 例,4 回:6 例,6 回:1 例であり,半数以上の症例が1 回のみであった.管理栄養士による食事調整後に摂取エネルギー量 が100 kcal/ 日以上改善した例は26 例中6 例(20.7%)であり,管理栄養士による食事調整なし例に比べて有意に多かった(Fisher の正確確率検定,P = 0.024). 結論:摂食不良例が多い緩和ケア病棟においても半数以上に管理栄養士による食事調整が行えていた.その約2 割に摂取エネルギー量の増加がみられた.緩和ケア病棟ではこれらの栄養士の活動に対する診療報酬はないが,このような状況で行われている管理栄養士による食事調整に即した形での診療報酬も今後検討されることが望まれた

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