天理医学紀要
Online ISSN : 2187-2244
Print ISSN : 1344-1817
ISSN-L : 1344-1817
オビヌツズマブ投与歴を有するCOVID-19患者における抗ウイルス薬治療と予後の検討
岡垣 暢紘 橋本 成修中村 哲史新宮 祐亮宮本 滉大坂本 裕人田中 佑磨中西 司松村 和紀上山 維晋池上 直弥加持 雄介田中 栄作田口 善夫赤坂 尚司羽白 高
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 28-001

詳細
抄録

【背景】抗CD20モノクローナル抗体のうち,オビヌツズマブはリツキシマブと比較してCOVID-19感染時に不良な転帰を辿る可能性が指摘されている.オビヌツズマブ投与歴のあるCOVID-19の治療とその転帰を検討する.

【方法】天理よろづ相談所病院において,2018年8月から2023年3月までに濾胞性リンパ腫に対してオビヌツズマブを開始され,2022年1月1日から2023年7月31日まで(オミクロン株流行期)にCOVID-19と診断された症例を後方視的に検討した.

【結果】オビヌツズマブが投与された56例のうち,23例(41.1%)がCOVID-19と当院で診断された.診断時の重症度と治療内容が明らかな20例のうち,軽症が13例(うち死亡0例),中等症1が7例(うち死亡3例)であった.診断時に有症状であったCOVID-19患者において,レムデシビルもしくはニルマトレルビル/リトナビルが投与された集団は投与されなかった集団と比較してCOVID-19の再燃(33.3% vs 90.0%, P = 0.02)と入院を要する再燃(22.2% vs 80.0%, P = 0.02)が有意に抑制された.

【結論】オビヌツズマブ投与歴のあるCOVID-19の初期治療薬として,レムデシビルもしくはニルマトレルビル/リトナビルは再燃や入院を要する再燃を抑制する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
feedback
Top