鉄と鋼
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製銑技術の100年 −技術導入から先進技術への展開,そして次世代技術へ−
内藤 誠章武田 幹治松井 良行
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2014 年 100 巻 1 号 p. 2-30

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Synopsis:

The modern blast furnace operation at integrated steel works in Japan has started in 1901 by the first blown-in of Higashida No. 1 blast furnace in Yawata Works, while a 150 years history of Japanese steel industry has dated back to the first western blast furnace built by T. Ohashi in 1857. The steel industry has been supporting the Japanese economy as a key industry which supplies base materials for social infrastructure and developments throughout the pre and post war periods.

After the recovery period from the war destruction, Chiba Works of Kawasaki Steel Corp., were built and started its operation in 1953 as the first integrated steel works in Keiyo Industrial Region after the war. During the rapid growth period, many coastal steel works equipped with a large blast furnace more than 3000m3 and some of 5000m3 were built for the efficient marine transportation of raw materials and steel products. Most advanced technologies, high pressure equipment, stave cooler system and bell-less charging system etc., were introduced, improved and has risen to the top level in the world with low reducing agent ratio (RAR), energy saving and long service life of a blast furnace and coke ovens.

Energy shift from oil to coal by the oil crisis, cost oriented operation design and technology were tackled and the hot metal of about 80 million tons is manufactured with 27 blast furnaces including over 5000m3 large scale blast furnaces in 2012. During this period, our industry has faced many economical and social pressures of high exchange rate of yen, oligopoly of mining market, global warming problem, and surge of iron ore and coal prices by the rapid growth of the BRICs. We have kept our competitive positions by developing advanced technologies on pulverized coal injection, extended use of low cost iron resources, recycling for environment and CO2 mitigation technologies.

Prospects of ironmaking technologies for other decades are discussed by reviewing various papers published and looking back the history of ironmaking developments during the last 100 years.

1. はじめに

日本鉄鋼業は戦前,戦後を通して社会インフラを支える素材を提供する重要な産業として日本経済の発展を支えてきた。銑鋼一貫の近代製鉄所としての高炉操業は1901年の東田1高炉の火入れに始まり,戦後復興期を経て,高度成長期には多くの臨海製鉄所が建設され,高炉の大型化が進められてきた。超高圧操業設備,ステーブ冷却設備,ベルレス装入装置など世界の新技術の積極的な導入,改善,それをベースにした独自技術への展開が行われ,高炉での低還元材比操業技術など世界に誇れる操業技術を確立した。

低還元材比操業技術1,2,3)は高炉技術の一つの指標であり,1981年に還元材比396kg/thm3)の世界記録が達成された。しかし,以降,経済,環境動向に応じて低Si操業技術4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15),微粉炭多量吹き込み16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31)を含む低廉原燃料使用技術32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42),廃プラスチックのリサイクル43,44)や製鉄ダスト処理45,46,47,48,49,50)等の環境対応技術,増産要請に応える高生産操業技術51),長寿命化・大型化・省力化・短期改修等の設備技術の改善52,53,54,55),京都議定書に定められた温暖化ガス削減目標に対応したCO2削減技術の開発56,57,58,59,60,61)等,多方面にわたる技術開発が行われ世界を牽引してきた62)

一方で,資源会社や鉄鋼会社の世界レベルでの統合再編や中国の台頭もあり,ここ10年の鉄鋼事業環境は大きく変化した。2000年以降,資源会社が大手3社(Rio Tinto, Vale, BHP-Billiton)に再編され,また中国の粗鋼増産に伴う輸入量の増大により,2002年以降資源価格が高騰し,従来の3~6倍の範囲で価格が大きく変動している(Fig.1)。鋼材価格に占める原材料費の影響は大きいため,資源対応技術がこれまで以上に重要な課題となることを意味している。

Fig. 1.

 Iron ore purchase volume and resource price. (Online version in color.)

世界の鉄鋼業界では2000年前後から規模拡大・合理化を目指した統合が進められ,ArcelorMittal,欧州に進出したTaTa Steel,JFEスチール,新日鐵住金等が誕生した。2012年の世界粗鋼生産量は15.5億tであるが,約半分(7.17億t)を中国が生産している(Fig.2)。企業別粗鋼生産量では1970年当時は日本企業が上位10位内に4社入っていたが,最近は中国企業の統合もあり中国企業6社がランクインしている(Table 1)。ここ10年の中国の急速な生産規模拡大は,日本鉄鋼業が最先端の海外技術を導入して世界トップレベルの工業国に仲間入りした日本の高度成長期(1960~1970年)に重なる。当時の歴史を振り返ることは,今後の海外戦略にも参考になると思われる。

Fig. 2.

 Transition of crude steel production in each country. (Online version in color.)

Table 1.

Crude steel production in each company. (Online version in color.)

本解説では,鉄と鋼100巻記念号ということもあり,日本で洋式高炉が稼動した1857年から現在に至るまでの製銑技術の発展の歴史63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91)を包括的にレビューすると共に,独自技術として深化した代表的な製銑技術を紹介し,次世代技術を展望することで,先人達が目指した技術の系譜について総括したい。

2. 製銑技術の発展の歴史

2・1 近代製鉄技術の導入

古来,国内では砂鉄を主原料とした「たたら法」92)による小規模な製鉄法が行われていたが,「高炉法」は,1857年(安政4年)12月1日に大島高任が釜石に洋式高炉を築いてから始まる93)。これを記念し,1958年より12月1日を「鉄の記念日」とした。大島自身を含めて全くの未経験者だけの手によって,洋式高炉の技術を「導入」し得たことについて,Tate94)は「この成功を支えた要因のひとつは,大島のすぐれた才能と力量のほかに,日本古来のたたら法の枠内ではあっても,とにかく溶銑製造法としての銑押しが確立しており,そこに操業条件の基準を置きえたことであった」と推論している。

Fig.3は,ヨーロッパ製鉄技術史と日本の製鉄技術形成史との対比95)を示したもので,幕末の反射炉築造に始まる近代製鉄技術導入の試みから,官営八幡製鉄所創立事業完成(~1910年)による銑鋼一貫操業の定着まで,欧州400年の歴史を50年に「圧縮された短期の近代化過程」と言われている96)

Fig. 3.

 Technology transfer on ironmaking from Europe to Japan.

2・2 銑鋼一貫製鉄所としての高炉操業の始まり~終戦まで

日本の製鉄所の建設は,世界主要製鉄国と同様,石炭を中心とする原料の入手を重視し,筑豊炭田,釜石鉱山,石狩炭田(空知炭田・夕張炭田)に近接した地域に建設された。

銑鋼一貫製鉄所としての官営八幡製鉄所は日清戦争勃発時の1891年に企画され,1901年(明治34年)東田1高炉(炉内容積495m3)の火入れで操業を開始する。この年以降の製銑技術の変遷をFig.463,64,65,72,75,76,79,83,86,97,98,99,100,101,102,103)にまとめた。

Fig. 4.

 Transition of ironmaking technology.

操業を開始した東田1高炉は操業不調が続き,コークス比も1.7t/thm程度と高く1年後には休止した。不調の原因は国内炭で製造したコークス品質の不良とされ,コークス品質改善のための施策として洗炭による灰分低減,複数炭種の配合が検討された。また突出羽口の周囲に粉コークスが堆積,鉱滓が固着し,装入物の降下を乱していたことから,高炉設備に関しては羽口構造(羽口数の増加,羽口径の縮小,羽口突出し長さの短縮)を中心に改造された63,64)。また送風温度の上昇(400°C→600°C)は溶解能力増加と銑鉄品質向上に寄与し63),休止期間を含め操業開始後3年目で,ようやく出銑量150t/d,コークス比1.22t/thmの目標操業に達した。高炉操業者の草創期の苦労が偲ばれる。その後は4年に1基ずつ同規模の高炉が新設された。1913年の銑鉄生産量は年間24万tに達したが,鋼材生産量は国内需要の34%に過ぎない79)

第一次世界大戦勃発(1914年)により鉄鋼業は好況を呈することになり,1916年官営八幡製鉄所第5高炉(炉内容積595m3)の新設から高炉の大型化が始まった。

大戦後,欧米の復興や軍需縮小による需要停滞により,経営の合理化が進められ,原料費削減の一環として鞍山製鉄所において貧鉱処理技術が開発された79)

1929年頃,企業の整理再編成があり,大規模な製鉄会社はほとんど財閥の支配下に入り,日本製鉄系と財閥系の民間製銑所に統合されていった。1931年満州事変が勃発し下工程の設備増強が行われた結果,1932年に鉄鋼生産量が自国消費高に追いついた79)

1934年には高炉基数は19基,コークス比は1020kg/thm,出銑能力は221万tまで増加したが高炉溶銑不足は続いており,国産技術において高炉の大型化が進められ,1937年には洞岡第3高炉(炉内容積1112m3)が建設された。また,低廉な鉄鋼を豊富に供給し,広義国防への要請に応える国策会社として,また大規模な民営企業の設立を目指して官営八幡製鉄所と民間6社との企業合同により日本製鉄株式会社が設立された79,101)。輪西,広畑,清津製鉄所の建設などが立案され101),1942年には高炉稼動数35基,銑鉄生産量412万t/y(銑鉄生産能力526万t/y,粗鋼生産能力765万t/y)に達し,戦前の最高生産量を記録した(Fig.4)。

第二次世界大戦前には,鉄鉱石の大半は華中,海南島,フィリピンおよびマレー半島から輸入され,コークス用強粘結炭については華北,満州から輸入されていたが,大戦中は,原燃料の輸入が途絶えたため,生産量は激減し,終戦時には稼動高炉は13基に減少した。この間,貧鉱処理,砂鉄利用,褐鉄鉱の脱砒,強粘炭節減,平炉屑鉄法から鉱石法への転換,塩基性平炉による特殊鋼製造,原燃料不足と粗悪化対策,スラグ生成物等の利用,Niなど特殊鋼原料の節減および代替研究など,原燃料不足下で生産量を確保するための研究開発が実施された79)

1942年八幡製鉄東田第3高炉で実施された塊鉱(整粒鉱)100%使用試験では,鉱石粒度を25~70mmに揃えることで通気性が改善され出銑量が増加したとあり70),鉱石処理の有用性が確認されている。

現在も活動を継続している学振製銑第54委員会は,1943年日本学術振興会設立主旨「模擬ヲ戒メ創造ヲ勗(つと)メ」(1932年)104)のもと溶鉱炉炉内反応研究方法(計測)を目的に発足した。

敗戦により日本製鉄は兼二浦製鉄所,清津製鉄所のほか,朝鮮,中国,樺太における数多くの関連会社所属の鉱山・炭鉱等を失った。1946年(昭和21年)末の稼働高炉は3基(八幡製鉄東田第2高炉,第3高炉,洞岡第2高炉)のみで,銑鉄生産量21.8万t/y,粗鋼生産量64.8万t/yに落ち込んだ。原燃料不足で品質も悪く,コークス比は1.6t/thm前後に後退した。

2・3 戦後復興から高度成長期 ~1975年

我が国鉄鋼業の再建には,連合国経済科学局と天然資源局が深く関わっている。経済科学局は傾斜生産方式による石炭の増産と八幡に集中した鉄鋼生産方式の採用,海南島鉱石の緊急輸入を指導し73),天然資源局は国内炭による製鉄用コークスの製造研究,米炭の輸入斡旋,製銑技術者等の招へいによる技術指導,品質管理技術の導入と普及活動を進めたとされている70,72,73)。また米国の対日援助資金と輸入重油使用の許可,製銑原料輸入と鉄鋼輸出の再開など鉄鋼優遇政策により,生産は急速に回復し,1947年日本製鉄(八幡,輪西,釜石,広畑),1948年日本鋼管(川崎,鶴見),1950年住金小倉の各高炉が再稼働し,高炉16基で銑鉄223.3万t/y,粗鋼生産483.8万t/yに生産を増大した70)。高炉出銑比は0.66t/d/m3,還元材比(コークス比)は900~956kg/thmまで改善された。

1950年,過渡経済力集中排除法によって日本製鉄は八幡製鉄,富士製鉄に分割され101),それぞれ民間企業として再出発した72,73)。また,戦災屑や米国屑鉄,インド,満州の銑鉄輸入が困難となったことから,銑鋼一貫体制が進められることになる。1950年6月の朝鮮戦争の勃発が,日本鉄鋼業復活の大きな追い風となり,戦後の経済の急速復興から効率的発展をめざして,鉄鋼では老朽設備の補修・更新,能力増強を含め,3次にわたる合理化が遂行された。

第1次合理化は1951年~1955年の期間で,圧延工程の近代化に重点が置かれたが79),製銑では既存高炉の復旧・改修,炉容拡大,原料事前処理設備の増強(焼結機・コークス炉の増強,原料処理設備の新設,石炭粉砕設備,運搬設備の強化)等が進められた。1954年にジョセフの勧告71)があり,整粒強化の重要性が指摘された。

高炉原料の整粒強化で発生した粉鉱を塊成化するため,八幡製鉄洞岡DL焼結機(1000t/d),中山製鋼GW焼結機,尼崎製鉄DL焼結機がそれぞれ新設された。川鉄千葉では1953年6月に高炉の火入れが行われ,戦後最初の銑鋼一貫工場が稼動した。また,小倉製鋼,中山製鋼,尼崎製鉄の高炉火入れ等72)で,1954年末で高炉保有基数は37基,稼働数21基(稼動能力563万t/y),出銑実績は522万t/yで戦前最高の412万t/yを越えた70)。高炉の出銑比は0.78t/d/m3,還元材比(コークス比)は750kg/thmで,原燃料性状はコークス灰分12.7%,粒度69.3mm,強度DI150 79.5相当で,焼結鉱比は42.6%,スラグ量604kg/thm,Si 0.75%の操業レベルであった。

第2次合理化は1956年~1960年で,年産100万t級以上の世界最新鋭銑鋼一貫臨海製鉄所の建設に重点が置かれた79)。製銑では鉄屑資源対策として,八幡製鉄戸畑および堺,東海,日本鋼管水江,神鋼灘浜,住金和歌山に79),2000t/d級の大型高炉の建設が進められた。また優良高品位鉱石の大量輸入,原料の整粒強化,自溶性焼結鉱の製造74)および使用比率の増加(47%),米炭による低灰分コークス(灰分10%前半)の使用など,原料の安定化で高炉操業は改善され,コークス比は1955年の714kg/thmに対し,1960年には619kg/thmに大幅に低下し,高炉の平均出銑比は1.0t/d/m3を超えた。

第3次合理化は1961年に始まり,政府の所得倍増計画に基づいて大規模な量的拡大が進められた79)。八幡製鉄君津,日本鋼管福山,川鉄水島などの臨海製鉄所が着工され,コークス炉ガスやタールを媒体にした製鉄・化学コンビナートが出現した79)。1963年時点で海外依存度が鉄鉱石85%,原料炭55%,鉄屑31%と高く79),輸送距離も長いというハンディキャップがあったが76),港湾設備を強化して大型船の入港を可能とし,陸揚速度向上を図ることで日本の国際競争力を高めることができた。このビジネスモデルがその後の海外での製鉄所建設の模範となる。

原燃料については,戦後,中国からの輸入が途絶し,鉄鉱石についてはフィリピン,マレー半島を主力とし,不足分をアメリカ,カナダ,インドに,粘結炭についてはその大部分をアメリカに依存した73)。生産規模拡大に伴って,これらの製鉄原料の輸入量は増加するが,輸送コスト削減のために進めた専用船の建造により81),供給ソースは多様化し南米(ペルー,チリ)等の遠隔地からの輸入が増加し始めた。1960年12月に豪州政府が鉄鉱石の輸出禁止令を条件つきで解除して以降81),豪州からの鉱石輸入は急増することになる(Fig.562,76,79,83,86,105))。また10年~15年の長期契約を締結することで,高度成長過程で必要な良質な鉄鉱石の安定確保を進めた。輸入炭についてもアメリカのみならず,カナダ,豪州,ロシア(旧ソ連)と多様化し(Fig.5),1963年において輸入炭は55.3%で,米炭は輸入炭中54.6%83)に低下した。

Fig. 5.

 Transition of imported resources and BF raw materials.

上記の施策により,1960年代の輸入鉱石価格,石炭価格は,それぞれ約13US$/t,16US$/t前後(豪州炭13.5US$/t)に維持された。

この当時,自溶性焼結鉱74,76)やコークス品質の改善さらには,調湿送風,脱湿送風75),酸素富化送風,重油・コークス炉ガス(COG)吹き込みなどの複合送風技術の高度化が進められ,操業管理システムも構築86)されるなど,技術革新のスピードアップには目を見張るものがある。特に重油吹き込みは1961年日本鋼管川崎第3高炉で試験され,コークス比低減効果が大きく,設備的にも簡便なことから直ちに実機化され普及した70)

1960年には粗鋼生産高はイギリスを追い越し世界第4位に,1963年には西独に追いつき,その翌年には3978万tを生産して,世界第3位となった79)。また,1970年の還元材比は518kg/thm(重油吹込量は平均45kg/thm)まで低下した。

1970年,八幡製鉄と富士製鉄が合併して新日本製鐵(新日鉄)が発足した。臨海新立地において高炉の大型化が進められ1971年に4000m3級の日本鋼管福山第4高炉,1976年には5000m3級の住金鹿島第3高炉,新日鉄大分第2高炉が建設された。また大型化と同時に超高圧操業設備,ステーブ冷却設備,ベルレス装入装置,ムーバブルアーマー,大型高温熱風炉,油圧マッドガン,制御用計算機の導入など世界のあらゆる新しい技術が短期間に導入された70)

1973年には,高炉稼動基数は60基で,全て重油吹き込みを実施し,7割の高炉が高圧化されていた。粗鋼ベースで1億2千万t/y,世界粗鋼生産量の16%を生産するようになり,出銑比2.04t/d/m3,還元材比494kg/thm(うち重油56kg/thm)の操業レベルで世界をリードする立場になった。1970年前後にはブラックボックスとされた高炉内現象を把握するための高炉解体調査106)が各社で行われた。

戦後復興期,高度成長期を通した製銑分野の産学協同研究として,東大試験高炉(1955年~1981年)107)があり,湯溜吹精法,燃料(重油)吹き込みを始めとした高炉の新技術開発や実習を通した大学院生の育成と教育など,製銑技術の発展に活用された。

2・4 石油危機によるエネルギー転換と安価低廉原燃料の使用拡大 1973年~2000年

これまで順調に生産を伸ばし,世界最高の技術力を保有するに至った鉄鋼業界ではあったが,1973年の第1次石油危機,1978年末の第2次石油危機を契機に,高度成長時代は終了し,安定成長時代に移行する。

1970年に62基稼動していた高炉は,1978年には43基に減少し,粗鋼生産量は1973年の1億2千万t/yがピークで以後約1億t/yレベルで推移することになる(Fig.4)。

第1次石油危機以降,製鉄所においては省エネルギー対策が重視され86),高炉炉頂圧タービン(TRT),熱風炉排熱回収設備,焼結機クーラー排熱回収設備,コークス乾式消火設備(CDQ)等が導入された86)。その結果,1979年までの6年間でエネルギ−原単位は10%削減され,石油燃料の構成比率は21.3%から14.2%に低下した。

一方1970年代には,高品質の原料炭(粘結炭)が不足し,コークス用輸入石炭の価格は1973年25US$/t(豪州炭19.8US$/t)→1974年45US$/t(豪州炭26US$/t)→1975年57US$/t→1982年74US$/tに高騰した。高炉操業では還元材比の極限までの低下が追究され(4・1節参照)1,2,3),1979年には出銑比1.93t/d/m3,全国平均還元材比461.6kg/thm(うち重油38.6kg/thm)の操業が行われた(Fig.4)86)

しかし,第2次石油危機における石油価格の高騰は上記原料炭価格の値上がりをはるかに超えたため,1981年末には全稼動高炉43基中42基がオイルレス操業に移行した。

これまでは「還元材比」の低減を各社共通の主要技術として競ってきたが,石油危機後は製鉄所内での動力用,加熱炉用の重油使用量を削減するため,高炉の還元材比を高めに設定し,高炉ガス,コークス炉ガスの発生量を増大させることで,製鉄所全体のオイルレス化が指向された。

1979年を境に,還元材比は上昇し,1985年以降500kg/thmを超えた。この時期,高炉では高価なコークスに代わる代替還元材として安価な一般炭や非微粘炭の使用が検討され,コ−クス炉でも成型炭配合法,乾燥炭・予熱炭装入法などによって“非微粘結炭,Semi-soft”105)の使用が進められた。これらの技術開発により,強粘結炭依存からの脱却が進み,原料購入戦略の転換,強化をもたらすことになる。

微粉炭吹き込み技術は1981年に新日鉄大分第1高炉(炉内容積4884m3)16,17)に導入された後,1986年には国内高炉の50%の16基が微粉炭吹き込み操業に移行した。

日本鉄鋼業は1985年のプラザ合意(Fig.4)を契機とする急激な円高基調(240円/US$→150円/US$前後)によって大きな転換期を迎えた。輸出産業は苦境に立たされ,鉄鋼では粗鋼年産9千万t/y体制で利益が出る構造とするための施策が検討された。新日鉄では,1989年に釜石,1990年に堺,1993年に広畑各製鉄所の各高炉を休止,八幡,室蘭もそれぞれ1基の高炉が休止,1985年に40基稼動していた高炉は,1994年には31基に減少した。この間,粗鋼生産量は1990年には1億1千万t/yに一旦回復したが,その後のバブル崩壊,1994年にはさらなる円高進行などで1990年代は低レベル生産が続いた。溶銑コスト削減のため,設備集約,傾斜生産体制等の合理化,スタッフ削減を伴う合理化が進められた。高炉1基当りのスタッフ比率は1985年を1とすると,2000年時点では0.396と激減し,スタッフ一人当りの生産性比率は大きく改善した62)

溶銑コストに占める割合の高い鉄鉱石,石炭については,徹底したコスト削減が行われた。鉄鉱石については,ブラジルよりも輸送距離の短い豪州からの輸入拡大を進めると共に87),安価なピソライト鉱石の使用拡大が進められた(第3章参照)。1990年~2003年頃の鉱石価格は25US$/t前後で推移し,非微粘結炭の増使用により87),1982年74US$/tだった輸入石炭価格は2000年には44US$/tまで低下した(Fig.5参照)。

高炉での微粉炭の多量吹き込み操業は1996年には25基,1998年には国内全ての高炉31基に普及し(Fig.4),平均吹き込み量は130kg/thm(コークス比370kg/thm)に達した。さらなる微粉炭多量吹き込み操業についてはコークス供給能力が不十分な製鉄所を中心に追求され,神鋼,NKKにおいて250kg/thm超の微粉炭吹き込み試験が実施された。

この期間に実施された国家プロジェクトは,資源対応力,高生産性,環境対応力の強化を目指したもので,1978~1986年度に「成形コークス製造技術の開発」108),1988~1995年度に「石炭直接利用溶融還元製鉄技術DIOS(Direct Iron Ore Smelting Reduction Process)」109)の開発が進められた。成形コークスは非粘結炭を主原料として事前に圧縮成型し,室炉ではなく竪型乾留炉で乾留を施すことで,石炭炭種拡大および環境負荷軽減を狙ったもので,DIOSは一般炭を用いた製鉄法の開発である(6・1節参照)。

2・5 超大型高炉への操業移行と合理化追求,環境リサイクル,CO2削減技術(1990年代後半~現在)

1990年代後半は円高直撃による景気悪化が再燃し,また京都議定書を踏まえた自主行動計画の策定により省エネルギーの推進や環境リサイクル技術が盛んに検討された。廃プラスチックの高炉・コークス炉処理43,44),回転炉床炉(RHF)による高Znダストの脱亜鉛45)と生成還元鉄の高炉使用,ダストおよびスクラップ処理49,50)などのリサイクル技術の開発が進められた。

2000年以降の高炉改修においては,高炉炉内容積の拡大改修が進められ,2013年時点で高炉27基のうち,13基が5000m3級の超大型高炉となった。高炉設備についてはカーボンブロックの開発52,54),Cuステーブの導入52,55)などで長寿命化が図られ,コークス炉についてはコークス炉炭化室炉壁診断・補修装置110)が配備されるなど延命化が図られている。

2002年以降,中国景気に伴う大増産時期となり,日本の鉄鋼業も久々に活況を呈し,高炉の平均出銑比は2.0t/d/m3を超え,銑鉄生産量は8200~8600万t/y,粗鋼生産量1億1千万t/yを超えた。2007年は出銑比2.08t/d/m3,粗鋼生産量は1億2千万tであり,1973年以来の高生産であった。1973年には高炉が60基稼動(出銑比2.04t/d/m3,還元材比494kg/thm,重油60kg/thm)していたのに対し,2007年の高炉稼働数は30基(出銑比2.08t/d/m3,還元材比497kg/thm,PC123.6kg/thm)であり,高炉の大型化,原燃料品質改善,微粉炭吹き込み技術,設備改善,コンピューター利用など総合的な改善が反映された成果である。

2008年9月,リーマンショックの影響で,高生産操業から一転して減産,その後回復傾向にあるが,2011年,2012年の粗鋼生産量は1億7百万t台で,2007年に比較すると約10%の減産である。2012年の稼動高炉は26基で,出銑比1.87t/d/m3,還元材比503kg/thm(うちPC161kg/thm)となっている。

鉄鉱石については,2002年からは豪州系の新規銘柄,微粉の多いマラマンバ鉱石の入荷が始まり,最近では高Pブロックマン系の鉱石も入荷されている。2004年以降は中国による輸入急増の影響を受けて鉄鉱石,石炭価格とも高騰し,鉄鉱石は2008年90US$/t,2011年4~6月に171US$/tの高値を付けた。石炭も同様で2008年230US$/t(豪州炭300US$/t)の高値を付け,その後も高値で推移している。資源価格は,今後も中国の需要動向に左右されると考えられる。

資源対応力,高生産性,環境対応力の強化等を目指した国家プロジェクトとして,1994~2003年に「SCOPE21(Super Coke Oven for Productivity and Environmental enhancement toward the 21st century)111,112)」,1999~2004年に「エネルギー半減環境負荷ミニマムを目指した高炉の革新的製錬反応に関する研究」,2006~2008年に「革新的製銑プロセスの先導的研究」,2009~2012年に「資源対応力強化のための革新的製銑プロセス技術開発」が実施された(5・1節参照)。

SCOPE21は石炭事前処理の強化と高速乾留に特徴を持ち,2008年新日鉄大分,2013年新日鉄名古屋に新コークス炉として採用された。

また,CO2削減・低還元材比操業技術については,高炉の熱保存帯温度制御/還元平衡点制御技術の開発113,115)(5・1節参照)や,JFE京浜において高炉,焼結プロセスへの都市ガス吹き込み51,116)が実施された。劣質資源対応に加え地球規模的観点からのCO2削減技術として,天然ガス生産国での部分還元鉄製造+国内高炉使用の二段還元システム117)が提案され,最近では高温ガス炉118)を用いた還元鉄製造が,日本鉄鋼協会グリーンエネルギー研究会で検討された。また国家プロジェクトとして,2008~2013年に「革新的製銑プロセス技術に関する研究(5・2・1項)」が実施されている。

3. 高炉原料の品質改善への取り組み

高炉原料は,使用する原燃料の特性を理解した上で,高炉が目標とする操業条件(還元材比低減,低Si,高出銑,高PC等の操業)に応じて品質を造り込む必要があり,基準となる品質評価法の確立とともに,安価原料を使用しながら品質改善する取り組みが行われてきた。

3・1 焼結鉱品質の改善

高炉操業の安定化,反応効率改善には原料品質が大きく影響する。焼結鉱の優位性については戦前において確認されており70,101),1958年には富士製鉄室蘭にて焼結鉱(FeO19.9%)100%使用操業,住金にて自溶性焼結鉱(FeO 10.62%, C/S 1.23)100%使用操業74)が実施された。自溶性焼結鉱使用により,コークス比は激減し,出銑比増大に寄与したことから,各企業とも全石灰石を焼結鉱に配合する高塩基度焼結鉱操業に移行した。これに伴い,高炉炉頂からの石灰石装入量はほとんどゼロになった(Fig.4)。

新規鉱山の開発,長期購買契約,焼結鉱配合比の増加に対応するため,焼結鉱の品質評価法に関する検討が開始された。学振製銑第54委員会において落下強度(SI),還元性試験法(1966年:JIS-RI)が制定され119),当時,焼結鉱の品質目標としては,低温焼成型で還元性の良い基質とガス拡散性の良い気孔率の高い焼結鉱が理想とされた。一方,1960年代には,高炉シャフト上部に500~700°Cの低温熱保存帯120)が生成し,高炉の通気性悪化,操業不安定化が問題となった77)。八幡製鉄,住金より焼結鉱の還元粉化現象が報告され121,122),還元粉化は500~600°Cで急上昇することが確認された121,122,123)。富士製鉄広畑を始め各社にて還元粉化試験が開始され121,124,125),1974年日本鉄鋼協会第44回製銑部会にて,耐還元粉化指標として,RDI統一法が制定された。耐還元粉化性(RDI)の改善には,焼結鉱塩基度(CaO/SiO2)の上昇121),脈石量の上昇121,126),FeOの上昇(マグネタイト型焼結鉱製造)121,127),塩化物の添加128)などが有効とされた。

高温性状については,1977年,新日鉄室蘭技研にて軟化~溶融滴下までを連続測定できる試験装置を用いて測定が開始された129)。高炉操業で重要な部位である鉱石の融着~溶け落ちをイメージし,融着開始温度(TS),滴下開始温度(Td),最大圧損値,50%収縮率,S値などの指標が提示された。

他方,高炉内反応を精度良く調査することを目的として,新日鉄では高炉内反応シミュレーター(BIS)113,130)を開発し,炉内還元挙動の解明や種々原燃料の影響が調査された。

焼結鉱品質の改善,生産性向上を目指し,JIS-RIの向上,コークス原単位の低減を達成した低SiO2型のHPS(Hybrid Pelletized Sinter)焼結鉱製造32)や造粒強化による疑似粒子構造の改質33),副原料削減などによる低SiO2焼結鉱の製造131,132,133)(2001年には焼結鉱SiO2成分4.86%),焼結機供給ドラムフィーダーの高機能化(ISF)35),風力分級36)および磁力偏析装入134),選択造粒によるアルミナ封じ込め(無害化)技術38),スタンド支持焼結法39)などによる焼結機の生産能力向上技術等が検討された62)。この結果,強度を改善しつつ,ピソライト鉱135)の使用比率の増加が可能となり,2000年において全輸入鉱石中の36.4%(新日鉄では53%)62)に達した(Fig.5)。また2002年以降,微粉の多いマラマンバ鉱石の入荷が始まると,微粉原料の造粒性改善技術としての有機バインダー使用技術,さらに強固なミニペレット製造によるSPExII設備91)やRF-MEBIOS法136)等,各社造粒技術を核とした取り組みが実施されている。

3・2 ペレット製造技術と高炉使用技術

製銑原料は鉱石の整粒処理と自溶性焼結鉱を中心に発展してきたが,将来の原料の一つとしてペレット77)も考慮された。

日本におけるペレットの研究と工業化は1950年代で,欧米での工業化に遅れること数年以内と非常に早い時期に,日立金属,帝国製鉄,川鉄などで行われた。1953年に川鉄千葉に独自の負圧式シャフト炉方式による国内最初のペレット工場が建設された。1970年神鋼加古川,1973年新日鉄広畑に世界最大級である年産250万トンのアリスチャーマー式ペレット設備が建設された。

富士製鉄,日本鋼管などで海外輸入ペレットの高炉使用試験が1963年に実施され,各社において,ペレットの品質改善研究が実施された。神鋼では1967年に自溶性ペレットの開発が進められた。

ペレットは焼結鉱に比べて高温で還元停滞を生じ,また安息角が小さく高炉装入時に中心部に流れ込み易いという難点があるため,神鋼ではドロマイトの添加により熱間性状を改善したドロマイトペレットの開発,また中心部への流れ込みを抑制するコークス中心装入法の開発が行われた137)

神鋼で実施されたペレット多配合操業138,139)では軟化溶融特性から周辺部の低塩基度ペレット比率の制御が必要となり,ペレット時系列排出制御法が開発された。この知見をもとに,2001年神戸3高炉(炉内容積1845m3)は,オールペレット操業に移行した140)

ペレット多量使用操業では,コークス中心装入法を適用することにより中心ガス流を確保でき,また微粉炭多量吹き込みにより高炉周辺部を低熱流比することで,ペレットの高温還元性を改善するという新しいペレット使用操業法の概念が提示された。

3・3 コークス品質の改善

近代製鉄技術の導入以来,高炉内の通気改善,操業安定化を目指して,コークス強度向上が指向されてきた。コークス品質評価法としては,乾留後のコークスの冷間強度(ドラム強度DI)および熱間反応後強度(CSR141):Coke Strength after-CO2 Reaction)が重要な指標とされ,幅広い銘柄の組み合わせで高強度コ−クスの製造技術が検討された。反応性については,低温(950°C)での反応性を表すJIS反応性指標と高温反応性を表すCRI(Coke Reactivity Index)が用いられている。

1980年代に安価な非微粘結炭の使用が開始され,コークス強度の向上と非微粘結炭の使用増が進められた。非微粘結炭を塊成化する成型炭配合法に加えて,嵩密度向上を狙った調湿炭(CMC:Coal Moisture Control)41)の普及,さらには乾燥および微粉部分の選択造粒技術(DAPS:Dry-cleaned and Agglomerated Precompaction System)42)の開発等が進められた(Fig.7参照)。配合炭中の水分は1990年初めの8%台から2002年において4.7%にまで低減され,非微粘結炭の使用割合は2000年時点で47%(新日鉄ではコークス強度維持下で,2002年時点において53%配合62))まで使用拡大されている。

2000年代は5000m3級の超大型高炉が中心となる中で,高炉の増産を支えるため,コークス品質については,さらなる強度向上が求められた。一時期,非微粘結炭使用量は50%レベルから40%レベルに低減したが,最近では50%レベルでDI15150 85前後の高強度コークスが製造されている。

4. 高炉操業・設備の進歩,改善と限界の追究

高度成長期に導入技術として発展してきた製銑技術はその後独自技術として深化し,世界に誇れる高炉操業実績,また,その理論的検討を含めた優れた研究開発が生まれた。ここでは,その代表的な技術の概要を述べると共に,その技術を支えてきたシステム開発,設備技術についても触れる。

4・1 低コークス比操業の追究

4・1・1 低還元材比操業技術

石油ショック以前は,低還元材比操業=低コークス比操業を指向したが,石油危機以後は高微粉炭比・低コークス比操業を指向している。

低還元材比操業手段として,これまで提案もしくは実施された技術には,塊成鉱単体の被還元性改善,焼結鉱を含む鉱石層の還元性改善(高温性状改善,混合装入を目指した装入物分布制御等),高反応性炭材使用による還元平衡点制御,H2増による還元性改善があり,熱バランス改善策として,送風温度の上昇,送風湿分減,高カロリー燃料の吹き込み,溶銑Si低減,スラグ量減,溶銑温度低下,装入物分布制御による変動防止,半径方向のガス利用率改善,ヒートロス減,金属鉄源の使用などが挙げられる(Fig.6)。我が国における還元材比低減への歩みは,1950年代における原料の整粒強化,自溶性焼結鉱の使用に始まり,1960年代は,焼結鉱+ペレット使用比率の上昇,焼結鉱の品質改善(自溶性化,高塩基度化),重油吹き込み,調湿送風(脱湿含む),送風温度の高温化,酸素富化送風,装入物分布制御,高炉の高圧化と大型化,高品質原燃料の使用(低Ashコークスの使用,低FeO焼結鉱の使用)などに取り組み,各社低還元材比操業を実行した(Fig.7)。

Fig. 6.

 Technologies for low reducing agent rate operation in BF. (Online version in color.)

Fig. 7.

 Technical topics after World War II. (Online version in color.)

1980年11月には,新日鉄君津第4高炉(炉内容積4930m3)において送風温度1336°C,送風湿度4.6g/Nm3,重油比37kg/thmの操業条件で還元材比406kg/thm1)の操業が実施され,1981年11月には日本鋼管福山第3高炉(炉内容積3220m3)において送風温度1350°C,送風湿度5.6g/Nm3,タ−ル比40kg/thmで還元材比396kg/thm3)の低還元材比世界記録が樹立された。日本鉄鋼業は高炉の低還元材比操業を極めたと言えよう。この操業の炉内イメージはFig.8のように推定された3)

Fig. 8.

 BF inner images in low RAR operation. (Online version in color.)

微粉炭吹込下での低還元材比操業については,1994年,新日鉄大分第2高炉(炉内容積5245m3)で実施された還元材比455kg/thm(PCR 98kg/thm,CR357kg/thm)の操業,ならびに2011年,新日鉄名古屋第3高炉(炉内容積4300m3)で実施された還元材比488kg/thm(PCR 189kg/thm,CR 299kg/thm)の操業が代表的である91)。大分第2高炉の低還元材比操業では,操業中の垂直ゾンデ,炉腹ゾンデ測定値から,Fig.8の右図炉内イメージが提示され,融着帯レベルが極限まで低下していることが示されている18)

補助燃料には気体(NG),固体(PC),液体(Oil)があり,それぞれ燃焼性や発熱量が異なるため,吹込燃料毎に世界各国の低還元材比操業記録をFig.9に示した。隣国の韓国POSCOでは2002年にPohang第3高炉(炉内容積3795m3)において,還元材比493kg/thm(PCR 222kg/thm,CR271kg/thm)の操業を実施している。代表的な操業に関し,操業諸元と原燃料品質をTable 290)に示す。

Fig. 9.

 Blast furnace operation results with low RAR in each fuel injection.90)

Table 2. Blast furnace operation data with low RAR or high PC operation.
  1981.11 1981.7 1994.3 1998 1998.6 2002.1
Fukuyama 3BF Muroran 4BF Oita 2BF Kakogawa 1BF Fukuyama 3BF Pohang 3BF
IV m3 3223 2290 5245 4550 3223 3795
Productivity t/d/m3 2.37 1.84 2.19 1.88 1.84 2.28
RAR kg/t 396 448 454.7 545.4 554.5 493
CR kg/t 354 448 356.3 291 289 271
Tar, PCR kg/t Tar 42.1 0 98.4 254.4 265.5 222.3
Ore/Coke – 4.5 3.59 4.52 5.43 5.46 5.98
Blast temp. °C 1353 1202 1268 1233 1220 1138
Blast moisture g/Nm3 5.6 23 20 17 32 6
O2 enrichment % 0 0 0.5 4.1 4.8  
Top gas temp. °C 73 113 109 210 251 208
Pig temp. °C 1481 1518 1522 1496 1501 1516
ηco % 54.8 51.5 53.3 49.6 46.5  
SR+PR % 96.6 98.5 85.5 78 92.2 88
Sinter RI % 68.9   68.1 66.9 71.5  
RDI % 36.9 31.3 35.8 23.9 47.5 39
TI – 60.3 70.8 75.7      
SiO2% 5.01 5.51 5.03 5.6 4.21  
FeO % 4.64 5.55 5.53 7.4 5.22 6.47
Al2O3% 1.8 2.13 1.61 1.73 1.61 1.5
Coke Ash % 9 10.6 10.7 11.3 11.9 11.4
Size mm 52.3   47 49.7 49.75 52.1
DI % DI30 92.9 DI30 95.4 DI150 85.7 DI150 84.8 DI30 92.9 DI30 92.9
Slag kg/t 274 315 287 265 266 277
C/S – 1.28 1.22 1.23 1.25 1.28 1.25

4・1・2 微粉炭多量吹き込み技術

コークス炉負荷軽減,原料事情,コスト低減への要請から,微粉炭多量吹き込み技術に取り組んできた。微粉炭吹き込みは,石炭を塊成化することなく直接に高炉で使用できることに経済的な利点があるが,微粉炭は固体であるため,高圧高温大型高炉での微粉炭の大量安定輸送,多数羽口への均等分配,羽口前での燃焼性等の技術課題を解決することが求められた30,142)。吹き込みランスの改良(Fig.10),吹き込み位置の検討,炭種の検討,炉内発生粉の挙動解明など種々検討が実施された143)

Fig. 10.

 Progress of coal injection system for intensive coal injection.

レースウェイで発生する未燃微粉炭(以下,未燃チャー)やコークス粉は,カーボンソリューションロス反応により炉内で消費されると考えられているが(Fig.11)31),充填層固気二相流モデルで解析された結果によると,未燃チャーやコークス粉はガス流れが大きく変化する炉芯表層部分,特に融着帯下部で多く堆積し,W型の融着帯の場合には周辺流化を助長する(Fig.12)。そのため,吹き込みランスの改善だけではなく,高強度コークスの製造や逆V型融着帯の形成を目指し中心流操業を指向した中心コークス装入法26)など,装入物分布制御技術の開発が行われた。

Fig. 11.

 Mass balance of carbon consumed by solution loss carbon reaction.31)

Fig. 12.

 Problem of PC injection from tuyere.30)

また,高微粉炭操業時には装入Ore/Cokeが上昇することから,原料面では焼結鉱の高温還元性状が重視された。鉱石層の還元性改善および融着帯通気改善策として,焼結鉱単体の被還元性改善だけでなく(3・1節参照),鉱石層の薄層化(コークスベース低下),小塊コークスの多量使用,高反応性炭材使用技術等が検討された62)

微粉炭多量吹き込み操業は,コークス供給能力が不十分な製鉄所を中心に進められ,1990年神鋼加古川第2高炉(炉内容積3850m3)において微粉炭と重油の混合吹き込みによって初めてコークス比300kg/thmの壁を破るコークス比298kg/thm(PCR 123kg/thm,重油比62kg/thm)の操業が行われた。また微粉炭多量吹き込み操業を極めるため,1998年に神鋼加古川第1高炉(炉内容積4550m3)およびNKK福山第3高炉(炉内容積3223m3)で250kg/thm超の操業試験が実施された。神鋼加古川第1高炉の操業はPCR 254.4kg/thm,CR291kg/thm(還元材比545.4kg/thm)20),NKK福山第3高炉の操業はPCR 265.5kg/thm,CR289kg/thm(還元材比554.5kg/thm)21)であった(Table 2Fig.7)。一方,PCR 200kg/thmから250kg/thmの増量過程では置換率の低下が認められており,コークス粉の炉頂からの排出等が原因と考えられた。

中国,韓国では良質原料の使用だけでなく高酸素富化等による羽口先条件の最適化により,微粉炭多量吹き込み下でのコークス比低減が指向された。

微粉炭多量吹き込み操業については,原料品質の影響だけでなく,中心流操業による融着帯形状の制御や,微粉炭燃焼場としてのレースウェイの機能,未燃チャーのガス化反応場としての融着帯の機能などが過去に検討されてきた142,143)

微粉炭多量吹き込み操業での課題である「置換率の低下」に関し,今後とも現象の学術解明を進めると共に,低コークス比の極限に向けた微粉炭多量吹き込み技術の開発が望まれる。

4・2 装入物分布制御技術

装入物分布制御の目的は,高炉炉頂部での原料の堆積状況をコントロールすることにより装入物の降下とガスの通気性を両立させながら,還元効率を最大にすることにある。装入物分布制御の重要性は古くから知られており,1950年代の「高炉製銑法の理論」144)には,炉壁近傍の狭い領域のガス流を確保するとともに,中心部のガス流を強化する必要があることが記載されている。その後,高炉の高圧化,大型化に伴いベルからベルレス装入装置への転換,解体調査による炉内現象の解明と融着帯形状制御の概念とともに装入物分布制御も高度化してきた。

4・2・1 ベル式装入装置

炉内ガスの遮断(回収)と原料装入を行う装置として,普通圧高炉では1ベル式が用いられていたが,高圧高炉では2ベル1バルブシール型,さらに大型高炉では落下軌跡を制御するムーバブルアーマ(MA)を備えたベル−MA装入装置が一般的である(Fig.13)145)

Fig. 13.

 Bell type charging systems.

MAを有しない小型のベル高炉では,ストックレベルの変更により径方向の落下位置を調整するとともに,1回の装入量,装入順序の変更により径方向の鉱石,コークスの割合の分布を制御してきた。例えば,装入モード選択により径方向のガス流分布を制御してきた144)

(1)OOO↓CCCC↓ (別々装入,層状装入)

(2)OOCC↓OCC↓ (鉱石先分割装入,混合装入)

大型のベル高炉では,大ベルから落下する原料を径方向に可動式の衝突板(MA)に当てて落下軌跡,炉内装入位置を変更している。大ベルからの落下軌跡,鉱石装入時のコークス流動化,混合層の形成,ガス流,装入物降下による傾斜角の低下など装入物形成に関する多くの基礎現象146)を取り込んだモデルが開発された147,148,149)。モデルは鉱石,コークスの比,粒径などの因子で決まる通気抵抗分布を予測する操業のガイダンスとして用いられてきた。

4・2・2 ベルレス装入装置

ベルレス装入装置は旋回シュートの角度を変更することにより,原料の落下位置を制御することができる。ベル-MA方式に比べて装入位置の自由度が大きく,また,装置としても重量が軽減,設備費の低減が見込めることから1973年新日鉄室蘭第1高炉(炉内容積1245m3)に採用されて以来,1977年には川鉄千葉第6高炉(炉内容積4500m3)に大型高炉としては初めて採用された145)。1978年では全61基のうち5基がベルレス装入装置だったが,2013年には全27基のうち20基となっている。初期のベルレス装入装置では炉頂にホッパーを並列に2個配置した型式が採用されてきた。炉頂円周方向での不均一性の問題が顕在化したため,ホッパーを垂直に2個配置する垂直2段ホッパー式が導入されてきた。また,円周方向の不均一性を緩和しつつ粒度や品質の異なる原料を複数の原料を多バッチに分けて装入できる3並列バンカー式が開発され150),千葉第6高炉などの他高炉にも展開されている(Fig.14)。さらに,旋回シュートからの落下原料の水平方向速度と落下幅を制御するため,シュート先端に反発板を設けた新型シュートが開発され,実用化されている151,152)

Fig. 14.

 Bell-less type charging systems.

装置の高い自由度を装入物分布制御に活用するため,ベルレス装入物分布シミュレーションモデルの開発が各社で行われてきた153,154)。Kajiwaraら155)はモデルを活用することにより,ベル-MA装入装置では達成できないフラット装入がベルレス高炉では可能なことを示している。

4・2・3 装入物分布制御の新展開

シャフト部のガス流制御,融着帯の形状制御を目的とした径方向分布制御に加えて,炉芯充填構造の制御を目的としたコークス中心装入技術,融着帯の通気性改善を意図したコークス多量混合技術の開発が行われている。

炉芯更新に関する冷間実験によって,Fig.15に示すように無次元半径0.12内に装入したコークスによって炉芯の全領域が更新されることが明かになった26)。炉芯制御の基本原理を提示した画期的な考え方であり,神鋼加古川第2高炉(炉内容積3850m3)では,コークス中心装入システムとして実用化されている。

Fig. 15.

 Concept of center coke charging method and deadman control.26)

融着層の通気を大幅に改善する手段としての混合装入技術のコンセプトは1970年代には提示され,小塊コークス混合装入として実用化されていたが156),大型高炉での多量混合装入は,高炉内での再偏析等の問題を残していた。その後,3並列ベルレスバンカーというハード,逆傾動装入というソフトの開発により,複数の炉頂バンカーから同時に小粒~塊コークス,鉱石を装入する多量混合装入技術が開発され,JFE千葉第6高炉で実用化されている157)

将来の装入物分布制御としては,含炭塊成鉱,フェロコークス,粒度別鉱石,炉芯構成コークスなど多様な原料を任意の位置にする技術,コークス比の大幅な低下時でも通気を確保できる炉内の充填構造とそれを実現できる装置,制御技術のさらなる発展が期待される。

4・3 低Si操業技術

日本鉄鋼協会の研究会である高炉内反応部会(1977~1982年)158)では,高炉解体調査や試験高炉でのデータをベースに,熱力学的研究や反応速度論的研究が行われた。また,稼働中のデータ採取を目的として,実炉レースウエイ奥のスラグサンプリング採取や酸素分圧の測定などを通して,高炉内でのSi移行反応の機構解明が検討された7)

過去文献4,5,6,7,8,9,10,11)を整理すると,溶銑中へのSi移行機構に関しては,次の3過程で反応が進行すると考えられた(Fig.16)。

Fig. 16.

 Si transfer mechanism in BF.7)

①コークス灰分およびスラグからのSiO(g)発生過程

SiO2(s,l)+C(s) = SiO(g)+CO(g)

②SiO(g)を媒介とする溶銑中へのSi移行過程12)

SiO(g)+C = Si+CO(g)

③スラグ中FeOまたはMnOによる溶銑中Siの脱珪あるいは加珪過程7)

2(FeO)+Si = 2Fe+SiO2,2(MnO)+Si = 2Mn+SiO2

高炉操業において低Si操業を推進する方法としては,上記3過程の素反応を制御する対策が検討され,①については,CO分圧上昇(高圧化),コークス中灰分低下,鉱石塩基度上昇,羽口先燃焼温度低下(送風温度低下),羽口からの粉鉱石およびフラックス吹き込み,②についてはCO分圧上昇(高圧化),溶銑温度低下ならびに融着帯下面位置の低下を目的とした熱流比上昇,還元材比低減,高塩基度焼結鉱の配合増,MgO添加によるメタル滴下温度上昇,③については溶銑温度低下,スラグ中SiO2活量低下(塩基度上昇)や加珪反応制御のための早期出銑(ドライハース指向),羽口からの粉鉱石吹き込み技術が提示された62)

NKKの低Si操業法10)は還元材比は高くなるが羽口先温度を極力低下させてSiOガス発生を抑制する操業であり,新日鉄の低Si操業法7)は還元材比低減を指向して融着帯を下げることにより加珪領域を狭くし5,159),かつ高FeOスラグ滴下による羽口前酸素分圧の上昇によりSiOガス発生を抑制し,スラグーメタルによる脱Si反応を促進する操業であった。

NKKおよび新日鉄では上記Si低減施策を実施し,1984年,1988年に溶銑Si 0.1~0.2%台の低Si操業を達成している。

1997年10月,NKK福山では微粉炭吹き込み高炉を含む全高炉において低Si対策を実施し,低溶銑温度操業を継続するため,出銑口から抽出された直後の溶銑温度を光ファイバーを利用して直接測定するシステム(FIMPIT)を開発適用することにより,全高炉(3基)月間平均溶銑Si 0.18%(年平均0.22%)の極低Si操業を実施した(Fig.17)10)

Fig. 17.

 Low Si operation in NKK Fukuyama.

溶銑Si予測精度を向上させるための速度論的解析が実施されているが,一方で溶銑Si値は炉熱状態を表す指標でもあることから,操業管理指標としても活用されてきた。

Tsuchiya and Taguchi6)は溶銑中のSi値と高炉の融着帯形状との関係を,Babaら159)は新日鉄大分2高炉に装備した炉腹ゾンデの観察結果より融着帯高さと溶銑Siとの関係を整理した。また,Naitoら7)は安定操業している高炉では最終スラグ中の(FeO)濃度が0.2%程度であることに注目し,溶銑Siの実績値と(FeO)=0.2%の平衡値との差異から操業の余裕度を判定する管理指標を提案している。

4・4 高炉の機能拡大のための複合吹き込み技術

低Si操業とともに,粉状鉄鉱石の直接利用を目的として,高炉の羽口から粉流体を吹き込む羽口複合吹錬技術が検討された13,14)。当初は炉内脱珪を目的として50kg/thm程度の粉鉱石少量吹き込み技術が検討された。1981-1982年に新日鉄広畑3高炉(炉内容積1690m3,羽口数23本)の羽口4本を使用して−3mm平均粒径2mmの焼結粉吹き込み試験が実施された13)。RIトレーサーで評価すると,焼結粉吹込時にはベース期間に比べ0.14%低いSi値が報告されている。レースウエイ奥の酸素分圧PO2が上昇しておりSiO揮発の抑制,(FeO)スラグによる脱Siが寄与したものと推定された7)。また粉鉱石とPCとの併用吹き込み,フラックス(生石灰,軽焼ドロマイト,マグネシアクリンカ−等)の吹き込み等も検討され,川鉄では千葉第5高炉(炉内容積2584m3)に斜行ゾンデ160)を設置し,レースウエイ形状の調査,粉鉱石やフラックス吹き込み時の影響が調査された。

上記技術をさらに発展させた羽口複合吹錬技術として,粉鉱石多量吹き込み技術15,161)が検討された。これは①高炉の操業柔軟性,②原料の選択幅拡大(難焼結粉の使用拡大),③微粉炭多量吹き込み時の通気性確保,④高酸素富化時の羽口先温度・熱流比制御等を可能とするもので,種々課題を克服可能な次世代型・羽口複合吹錬技術として提案された15)。新日鉄ではこの開発のため試験高炉(ホットモデル)を設置し,粉鉱石吹き込み限界量や微粉炭併用技術の利点等が検討され,微粉炭併用吹き込み下でも粉鉱石100kg/thm程度の吹き込みは可能との結果が示された15)。住金では超複合送風と命名し,コークス充填層のホットモデル実験を経て,和歌山第3高炉で羽口1本試験が実施された161)。微粉炭との同時吹き込みにより粉鉱石の還元率は上昇し,粉鉱石の加熱と溶融還元は速やかに進むという同様の結果が得られている。また神鋼では粉鉱石の飛翔還元について基礎研究を行い,還元溶融現象を明らかにした162)

一方で,粉鉱石多量吹き込み時には,吹込量によっては還元遅れが発生し,(FeO)含有スラグ融液の増大に伴う炉芯温度の低下やレースウエイ近傍の通気性や通液性悪化が懸念される結果も報告され,また羽口ランスの摩耗問題もあり,さらなる改善が必要とされた。この解決策の1手段として,予備還元粉鉱石の多量吹き込み技術15)が提案されている。ランス摩耗については今後の材料開発に期待するところであるが,複合吹き込み技術は日本発信型の次世代技術として,再検討する余地がある。

4・5 設備技術の進歩

4・5・1 高炉の長寿命化

1904年~1910年に稼動した官営八幡製鉄所の4つの高炉の平均寿命は5年4ケ月であり64),1975年においても寿命は5年~10年であった(Fig.1858,90))。高炉改修に伴う多大な設備投資の抑制,改修中の生産量の変動を防止するため,高炉の長寿命化が検討されてきた。

Fig. 18.

 Operation period of BF and factor of determining the service life of BF.90) (Online version in color.)

高炉の寿命を律速する部位は1980年代前半までは,シャフトと炉底が大部分を占めていたが(Fig.18),それ以降は鋳鉄製ステーブの改良(Fig.19)52)や鋳造銅製ステーブの開発,朝顔ステーブ交換技術の開発によりシャフト部は減少し,長期休風での補修が不可能な炉床壁を含めた炉底部位が寿命を律速している62)

Fig. 19.

 Changes in NSC’s cooling stave.

1990年以降は炉床壁の耐蝕性向上が最重要課題であると認識され,カーボンレンガ材質の改善と冷却強化52)が図られた。カーボンレンガについては熱伝導率の向上とともに気孔径の微細化による溶銑浸透防止が図られている54)

1986年には大型高炉において10年以上,累計出銑量3800万t,内容積当りの累積出銑量6000-8000t/IVm3程度であったが,上記炉体冷却能向上策や炉壁補修,環状溶銑流の抑制操業技術などの強化で,15年以上の長寿命高炉が多くなった。2009年7月に吹止めされた住金和歌山の第4高炉(炉内容積2700m3)は27年4ヶ月の長寿命記録であった。4000m3以上の大型高炉では1998年3月に吹卸しされた川鉄千葉第6高炉(炉内容積4500m3)は20年10ケ月を記録しており,国内高炉では20年以上の長寿命化技術が確立された。

4・5・2 省力化設備の導入と高炉の大型化,高炉短期改修技術の発展

鋳床作業の省力化および快適化を狙って,機械化,遠隔操作化を実施してきた(Fig.20)52)。出銑口近傍には油圧式の出銑口開孔機,酸素開孔機,油圧式マッドガン,マッド供給装置,溶銑自動サンプリング装置,発塵防止のための樋カバーとトラバーサー,溶銑,溶滓傾注樋近傍には監視カメラ,トーピードカーの湯面計測用レベル計,操業床には羽口,ブローパイプ取り替え機等が設置された62)。炉前機器の省力化,無線操作化,遠隔操作化は機器の信頼性向上に従って実用化された。鋳床機器の運転は無線操作化が進展し,吹き笛の信号処理によるワンマン操作や計器室からモニター画面を使用した遠隔操作化も採用されている。また,2000年に改修された川鉄千葉第6高炉では鋳床のフラット化163)がなされている。ガス清浄についても炉頂圧回収発電装置(TRT)の出力向上策として乾式集塵設備が導入された。これらの省力化設備の充実が,大型高炉の操業を支えている。

Fig. 20.

 Simplified perspective diagram of cast house equipped with labor saving machines.62) (Online version in color.)

昭和30年(1955年)以降に操業を開始した高炉の炉内容積の推移をFig.21に示す。高炉の炉内容積については,1901年に操業を開始した高炉の炉内容積が500m3で,1000m3高炉が誕生したのは1940年である。戦後は1200m3代が続き,1958年以降に高炉の大型化が加速した。4000m3以上の大型高炉の建設は1971年の日本鋼管福山第4高炉(炉内容積4197m3),5000m3規模に到達したのは1976年住金鹿島第3高炉(炉内容積5050m3)で,約20年の間に炉内容積は4倍になっている。その後は一段落していたが,2000年初頭から高炉の大型化が進み,2004年に改修された新日鉄大分第2高炉(炉内容積5775m3),2009年に改修された大分第1高炉(炉内容積5775m3)が現在国内最大炉容となっている。2013年断面では稼動高炉27基のうち,20基が4000m3超の大型高炉である。高炉改修時に炉容拡大が可能となった背景にはステーブ構造改善による冷却能の向上でステーブの全厚を600mmから150mm前後まで薄くできるようになったことが挙げられる。

Fig. 21.

 Transition of BF inner volume. (Online version in color.)

高炉の改修技術については1998年川鉄千葉第6高炉で大ブロックリング工法 (Fig.22)53)が適用され,62日間の超短期改修を実現した。また,2000年新日鉄名古屋第3高炉の改修時に大ブロック工法52)が採用され,2004年新日鉄大分第2高炉(3次)改修では先行艤装範囲拡大と炉底一括搬出工法でブロック重量の増加に対する技術開発を進め,炉容拡大の条件下で工期79日の短期改修が実施されている。

Fig. 22.

 Comparison of conventional revamp and large block ring construction method.53) (Online version in color.)

4・6 計測技術

高炉技術者にとっては,高炉内がブラックボックスである限り,操業変動時に対処すべき操業アクション(還元材比調整,装入物分布調整,送風条件変更など)については,経験と勘に頼ることが多かったと推察される164)。高炉操業の安定化を図るため,1980年前後に,知識工学と過去の操業経験を基に構築した操業管理システムが開発され,計算機の高度化とも相俟って普及した。また炉内可視化については,高炉の解体調査以降,操業中の炉内状態を把握するための種々ゾンデ開発や高炉各部に設置したセンサー情報,さらにはシミュレーションモデルの開発などにより,操業中の炉内状態の把握が進められた165,166,167)。上記操業管理システムの適用や装入物の管理,設備技術の改善,種々開発の成果によるものと推察されるが,1985年頃より高炉では棚吊り回数が激減し,その後高炉操業は安定化している(Fig.23)。

Fig. 23.

 Transition of instrumentation technologies.

4・6・1 人工知能AI(Artificial Intelligence)等の操業管理システムと可視化技術

製銑部門での計算機の使用は1960年頃から始まった。当初は装入原料の秤量制御や送風制御(送風流量,圧力,サージング防止),高圧操業に関わる各種圧力制御,羽口毎の重油吹き込み流量制御,羽口燃焼温度制御,熱風炉の制御(ドーム温度,燃焼と炉替制御,カロリー制御)等であり,実績情報システムとしては操業関係,炉体管理に関する検出端情報のデーターロガー機能が拡充され異常の早期発見や技術解析に活用された。高炉計装設備については,計算機の高速化に伴い汎用LANが採用され,大量のデ−タ処理が可能となった。

高炉内反応プロセス制御は高炉炉熱の状態制御を目的として1964年に日本鋼管川崎第5高炉で試験が行われた。1973年には炉熱と通気性の両面の理論および統計モデルを検出端情報や経験則で補完したシステムが新日鉄堺第2高炉に導入された。

1978年には川鉄千葉第6高炉に高炉操業管理システム(GO-STOPシステム)168)が実装された。高炉の操業状態(荷下がり,通気性,炉熱,出銑滓バランスに関する8つの炉況因子)と4つの炉況変動因子(通気性,炉熱)の重み付けをした炉況判定数値を基準にして,刻々の高炉の状態推移が数値化,可視化されて操業ガイダンスが与えられる操業管理システムであった。1985年に至り知識工学の進歩に伴い知識ベースや推論エンジンを活用したエキスパートシステムやニューロ,ファジーのような複数のAI手法を組み合わせた問題解決手法が高炉操業管理システムとして導入された。エキスパートシステム169)は,プロセスコンピューター(制御系)とAI専用プロセッサー(推論系)の機能を結合しオンラインリアルタイム処理を実現したもので,1986年日本鋼管福山第5高炉の第2次改修に於いて導入された。異常炉況診断と炉熱制御エキスパートシステムの2つのサブシステムから構成されている。新日鉄君津第4高炉改修時に導入された高炉操業管理システム(ALIS)170)も知識工学を利用したエキスパートシステムに基づくが,2003年の改修において一層の分散処理,Web技術,可視化技術を取り込んでいる。

一方,ブラックボックスとされた高炉内の可視化技術については,1970年前後に高炉解体調査106)が行われて以降,種々の取り組みが実施された。炉内可視化を目指し,新日鉄室蘭ではファイバースコープ搭載の剛体型垂直ゾンデの開発120),新日鉄大分第2高炉では炉腹ゾンデ159,171,172,173),羽口ゾンデの開発174),川鉄千葉第5高炉では羽口斜行ゾンデ160)の開発が行われた。

2000年代に入り,新日鉄では可視化システム(VENUS)175)を開発した。ステーブ温度の等温線図を作図して視覚化したもので高炉円周方向,高さ方向の炉壁の熱負荷分布を知ることができ,これらの時系列推移情報や過去の類似情報などを組み合わせて,炉内のガス流れ異常の早期把握や融着帯根部の推定を行い操業改善のツールとして活用している。最近では宇宙線ミュオンを利用して高炉内を可視化する技術の開発176,177)が進められている。

4・6・2 高炉シミュレーションモデルの開発

高炉内現象は極めて複雑であることから,高炉内現象を理解する有力な手段の一つとして,数学モデルが開発されてきた。高炉のプロセス解析として,熱・物質バランスによるモデル開発が最初に行われ,次に移動速度論に立脚した微分方程式によって構成されるプロセスモデルの開発が行われてきた。前者は1960年代に開発が進み,化学的保存帯の存在を前提とした操作線による高炉解析手法(RISTモデル)178)が提案され,現在も操業解析に広く使用されている。

後者は1960年代後半,Muchiら179)によって推進され炉内の反応・伝熱挙動を解析できる高炉の1次元定常モデルが開発された。1982年には1次元非定常モデルに発展し,高炉の火入れや吹き却し操業のシミュレーションに適用された。

一方,高炉解体調査により融着層の存在が明らかとなり,半径方向を含むガス流れ,伝熱,還元への影響をシミュレートするための2次元モデルの開発が検討された。その頃,充填層内を流れるガスの運動方程式として,ERGUNの圧力損失式を多次元化して使用する方法が提出されたのを機に,Hatano and Kurita180),Kuwabaraら181),Yagi182,183),Sugiyama and Sugata184)によって1980年代始めに世界に先駆けて高炉2次元定常モデルが開発され,炉内現象解明のツールとして展開された。

その後,高炉モデルの開発には2つの流れがある。1つは装入物分布制御や原料品質の影響など,操業アクションの変化が解析結果に反映できる実操業適用を指向したモデル開発であり,もう1つは時間的変化や多層流の影響を反映できる高炉内解析を意図したモデル開発である。

前者はNaitoら185)のモデルに代表されるように,2次元定常モデルという枠組みの中で,個々のサブモデルの解析精度を上げ,サブモデルとして装入物分布制御モデル(RABIT149)),焼結鉱還元モデル(多段反応帯モデル186))185),高温性状評価モデルなどを開発し高炉トータルモデルに導入した187)。これらを検証するための研究も実施され,放射性元素による溶銑滞留時間の調査,炉内ガス流の測定や,焼結鉱,塊鉱石類の高温性状の評価研究,高炉内近似条件下での鉱石類/コークスの還元/反応挙動に関する研究113,115,185)などが行われた。コンピューターの性能向上により,ノートパソコンで解析できる高炉シミュレーターとして現場技術者でも活用されている。

後者はNogami188),Takatani189)のモデルに代表されるように,2次元→3次元化,定常→非定常化,粉流体を含む多相流への展開であり,これらの開発は2000年前後にはほぼ一段落した(Fig.24)。

Fig. 24.

 Development of mathematical model of blast furnace. (Online version in color.)

コンピューターの飛躍的な性能向上と高速化のもと,2000年代に入り,不連続解析に有効で,粒状体や粉体の流動・混合挙動他への適用が可能な離散要素法DEM(Discrete Element Method)190,191,192)を用いた解析が行われるようになった。高炉関係では装入物の分布制御や固体流れの解析,レースウエイ内での粒子流動状態の解析などに適用され,また鉄鉱石造粒過程の解析や焼結・コークスプロセスでの解析にも適用されている。最近では連続相に対する離散的数値解析手法であるMPS法(Moving Particle Semi-implicit method)を用いて,コークス充填層内を滴下する液体の挙動解析を行う研究193)も開始され,今後の展開が期待される。

5. 次世代に向け進行しつつある低炭素化技術

原料品質向上,操業改善による高炉の低炭素化は還元平衡の理論限界,熱収支の限界に近くなっており,今後の大幅な削減は期待できない。このため,二酸化炭素排出量を抜本的に削減できるブレークスルー技術の創出を目指して,産,官,学が一体となった取り組みが行われてきた。高炉を主体とした二酸化炭素排出の大幅削減の視点は1)還元平衡制御による還元材比の低減,2)CO2分離,CCS(Carbon Capture and Storage)を前提にした高炉本体の高機能化,新プロセスの開発に大別することが出来る。

次世代の低炭素化技術に関する国内外のプロジェクトの全体スケジュールをFig.25に示した。現行の焼結,コークス,高炉法からの開発ハードルが高いため,いずれも大型のプロジェクトとして官,学,業界が連携して,公的な支援を受けながら開発が進められている。

Fig. 25.

 Low carbon ironmaking projects and related research activities. (Online version in color.)

5・1 還元平衡制御による低炭素化

Fig.26に模式的に示したように,炭材の反応性を向上させることにより,ソリューションロス反応開始温度が低温化,還元平衡点W点がB点からC点にシフト,還元材比を低下できると考えられている。新日鉄大分第1高炉,第2高炉では高反応性小塊コークスの使用による還元材比の低減113),新日鉄室蘭第2高炉(炉内容積2902m3)では灰分中のCaOの触媒作用により反応性を向上させた高Caコークスの使用により,還元材比が約10kg/thm低下することを確認している115)。一方,高炉のエネルギー半減,環境負荷ミニマムを目指した研究が1999年から5年間にわたって科学技術振興調整費総合研究として実施された56)。この中で,還元とガス化反応の高速,低温化技術として,鉱石と石炭を混合粉砕することにより近接,共存させることにより,カップリング反応を利用できることが明らかにされた。また,石炭の熱可塑性を利用して塊成化することにより炭材内装熱間成型ブリケット(Hybrid agglomerate)を製造し,還元平衡反応を約150°Cから200°C低下できることが明らかにされた58,114)。引き続いて2007年から2010年にかけての鉄鋼協会研究会「鉱石・炭材の近接配置による高炉の還元平衡制御」では,Fig.27に示したように層状装入でのcmオーダからnmオーダまで炭材,鉱石の距離を短縮することによるガス化反応,還元反応の改善効果が系統的に研究された59)

Fig. 26.

 Improvement technology of reaction efficiency on a blast furnace (Rist diagram).113)

Fig. 27.

 Control of reduction equilibrium in blast furnace through closely arrangement of iron ore and coke. (Online version in color.)

これらの基礎知見をベースに新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究として「革新的製銑プロセスの先導的研究」が2006年に組織され,高炉の低炭素化,資源対応力強化にむけた革新的塊成物の提案と製造原理の構築が2008年まで行なわれた57)。炭材と酸化鉄の近接配置,金属鉄/酸化鉄のガス化反応触媒効果による炭素のガス化反応速度の向上に期待して,鉱石中に炭材を分散させた含炭塊成鉱,炭材中に金属鉄を分散させたフェロコークス(Carbon Iron Composite, CIC)の製造法,その熱保存帯温度低下,還元材比低低減効果が定量的に評価された。

パイロット規模での革新的塊成物の製造技術の開発と高炉操業技術の開発を行うためのプロジェクト「資源対応力強化のための革新的製銑プロセス技術開発」がJFEスチール,新日鐵住金,神鋼,国内主要大学の共同研究としてNEDO,経済産業省の助成を受けて2009年から2012年に実施された。Fig.28に示すように酸化鉄,金属鉄,炭材の複合塊成物であるフェロコークスを対象に30t/dパイロットプラントでの製造技術開発,革新バインダーの開発,高炉操業技術の開発が行われた。長期製造試験により備蓄したフェロコークスを用いた大型高炉での装入試験が行われ,還元材比の低下を確認するとともに,実機化にむけた課題抽出が行われている194,195,196)。一方,酸化鉄中に炭材を分散した含炭塊成鉱に関して,Kasaiら197)は神鋼加古川第3高炉(炉内容積4500m3)での短時間の熱間成型ブリケットの使用試験を実施,Yokoyamaら198)は含炭塊成鉱RCA(Reactive coke agglomerate)を21000ton製造し,新日鉄大分第2高炉(炉内容積5775m3)での使用試験を行った。RCA中の炭素1kg/thmあたり,0.36kgC/thmの炭素消費量の削減とFig.29に示す83°Cの熱保存帯温度の低下を確認している。

Fig. 28.

 Research area of innovative ironmaking process. (Online version in color.)

Fig. 29.

 Changes of thermal reserve zone temperature with RCA measured at Oita No.2 BF.198)

還元平衡制御による還元材比の低減については,熱間成型ブリケット,含炭塊成鉱,フェロコークスのいずれも高炉での評価,課題抽出のための試験が完了しており,実用化に向けた経済性評価,所内エネルギーバランスへの影響を検討する段階となっている。

5・2 高炉内ガス還元機構の強化による低炭素化

高炉の還元材比は,炉内ガスの還元平衡に律速されているが,炉頂ガスを脱炭酸し高炉に吹き込む炉頂ガス循環により高炉内のガス還元を強化し,吸熱反応である直接還元率を低下させることにより還元材比の更なる低下が可能になる。

還元ガスをシャフトから吹き込み,高炉の還元材比を低減する試みは1970年代に研究され,重油の部分酸化により還元ガスを製造して高炉シャフト部に吹き込むFTG法が新日鉄広畑第3高炉(炉内容積1691m3)で実施されている199)。重油30kg/thmから還元ガスを製造,シャフト部から吹き込むことにより置換率0.9-1.0での還元材比低下を確認している。また,シャフト部へ吹き込んだガスの拡散は比較的小さく,混合拡散により約15度の角度で広がりながら上昇していくことが報告されている。さらに,コークス炉ガス中のCH4を高炉炉頂周辺部から選択的に回収した炉頂ガス中のCO2により改質し,高温還元ガスをシャフト部に吹き込むNKG法が提案されている200)

高炉での還元機能強化による低炭素化,CO2排出大幅削減を目的としたプロジェクトとしては,国内各社,大学の共同研究プロジェクトCOURSE50(CO2 Ultimate Reduction in Steelmaking process by Innovative technology for cool Earth50)が2008年から新エネルギー・産業技術総合開発機構からの委託事業として行われている。

5・2・1 COURSE50プロジェクト

高炉シャフト部への還元ガス吹き込みを発展,コークス炉ガスを改質してH2を増幅する技術と組みあわせることでCO2排出量を削減する試みとしてCOURSE50が2008年にスタートした201)。高炉からのCO2排出削減技術とCO2分離回収技術から構成される低炭素プロセスがCOURSE50プロジェクトである。2030年までに二酸化炭素排出量を30%削減することを目的にしている。

COURSE50プロジェクトで提案されている水素還元高炉反応制御技術は,コークス炉ガスの水蒸気改質による水素増幅,水素鉱石還元技術,水素還元高炉用コークス製造技術から構成され,Phase I(Step 1)の開発を2008年から5年間実施し,Step 2としてミニ試験高炉での部分確性が2013年度から5年間の開発をスタートする。Fig.25に示したように,還元ガスのシャフトへの吹き込みという点では,FTG法,NKG法の延長の技術といえる。

シャフト吹き込みガスの浸透領域は運動量収支から吹き込みガス量に比例すること200),水素により還元が促進されることが明らかになっている202)。一方,水素還元は吸熱反応であるため炉上部の温度確保などに留意すること必要である。CO2貯留技術確立,経済合理性が成り立つことが前提であるが,2030年ごろ1号機を実機化する予定で,Phase 2が計画されている203)

5・2・2 欧州のULCOSプロジェクト

ULCOS(Ultra low CO2 Steelmaking)プロジェクト(ULCOS I)は,欧州の48の会社,研究所が参加し,EU内で石炭,鉄鋼の技術開発を支援するRFCS(Research Fund for Coal and Steel)の資金援助を受けて,研究費76百万ユーロで2004年から2010年に実施された204)。将来的に50%以上のCO2排出量を削減するという挑戦的な目標に対し,溶融還元から電解製鉄まで幅広くプロセス評価を実施し,次ステップに開発を進めるプロセスとして,ULCOS-NBF(ULCOS-New Blast Furnace),HIsarna(石炭ベース溶融還元法),ULCORED(天然ガスベース直接還元),ULCOWIN/ULCOLYSIS(電解製鉄)が選択され,現在,ULCOS IIとして2015年度までの予定で開発が進められている。

ULCOS-NBFは,Fig.30に示したように,酸素高炉をベースに炉頂ガスからの脱CO2,加熱,シャフト部,羽口部への循環ガスの吹き込みを特徴としている205)。Ohnoらの酸素高炉206),Nishio and Miyashitaの炉頂ガス循環200),それを発展させたMuraiら207)の炉頂ガス循環コンパクト高炉と同様なプロセスコンセプトとなっている。スウエーデンのLKAB試験高炉(炉内容積8.2m3)でULCOS-NBFの試験が行われ,その結果を元にVersion 4(シャフト部と羽口へ加熱高温ガス吹き込み)では,単独で投入炭素量の24%の削減,CCSと組み合わせることによりCO2排出量を最大73%削減できると推算している208)。ただし,下工程へのエネルギー供給については,考慮していないことに留意する必要がある。ULCOS IIプロジェクトでは,Eisenhüttenstadt高炉(ドイツ)でCCSなしの試験を2014年,Florange高炉(フランス)でCCSと連結した試験を16年に実施する計画と報告されている。また,実機化には現在からさらに15から20年の長期の開発が必要と考えられている。

Fig. 30.

 Concepts of Low carbon blast furnace. (Online version in color.)

5・2・3 高炉法以外の低炭素化技術

高炉法以外の低炭素化技術としては,上述のULCOS HIsarna(溶融還元法)209),POSCOが焼結,コークス炉が不要な代替製銑法として実用化しているFINEXプロセスが挙げられる210)。FINEXプロセスは,1992年に開発に着手,1996年15t/dモデルプラント,1999年150t/dパイロットプラント,2003年60万t/yデモプラントを経て,2007年150万t/yの1号機が稼働,2013年に200万t/yの2号機が稼働予定である。溶融ガス化炉から発生するガスを4段の流動層に導き,還元鉄を溶融ガス化炉に供給することに特長がある。流動層の排ガスを脱炭酸し,流動層の前に再循環するなどの石炭使用量の削減により,対現行高炉の4%のCO2排出量削減を達成できると報告されている。また,純酸素を使用,流動層排ガスからの脱炭酸を行っているのでガス中のCO2濃度が高く,CCSと組み合わせることで大幅なCO2削減への応用も可能と報告されている210)

HIsarnaプロセスはCCF(Cyclone converter furnace)による粉鉱石の還元,溶融,SRV(Smelting reduction vessel)での溶融還元を行うプロセスであり,純酸素を用いることによりCCSと組み合わせて二酸化炭素排出量の大幅削減することを目的としている。2011年にIjmuiden Tata Steelでパイロットプラント(公称 8tHM/h)操業試験を開始,ULCOS IIのもと2012-2014年に操業試験を行う予定である209)

第5章の次世代低炭素化技術全体を総括すると,FINEX法以外の多くの次世代低炭素化プロセスは現在パイロットプラントでの開発段階にあるものが多く,実用化にむけては多くの課題が残されている。(1)製造設備,製造コストの最適化:新規の製造設備の投資が経済的に成り立つためのビジネスモデルの構築,(2)エネルギーインフラの整備:高炉の低炭素化は製鉄所内へのガス供給量の低下を意味する。製鉄所のエネルギー供給を確保するためのエネルギーインフラの構築,(3)開発ステップとしては,中間規模プラントでのプロセス実証などの課題を克服していく必要がある。

6. 日本発信型の資源・環境・新鉄源技術

日本発信型の新鉄源技術としては,連続製鋼法(1964年~1983年),原子力製鉄(1973年~1978年),溶融還元法(DIOS:1988年~1995年),回転炉床炉(RHF:1995年~2000年),各種コークス充填層方シャフト炉の開発が行われてきた。ここでは,DIOS,コークス充填層型シャフト炉,RHFといった,日本発信型の新鉄源プロセス事例を紹介する。

6・1 溶融還元法

1988年から8年間の国家プロジェクトにおいて,生産量の調整が容易で,原燃料の選択の自由度が高い高炉代替製鉄法として溶融還元法DIOS(Fig.31)の開発が行なわれた109)。2段の流動層で鉄鉱石の予備還元,転炉型溶融還元炉で石炭を直接使用して溶融還元するプロセスである。流動層での還元率が30%以下と比較的低く,還元の大部分を溶融還元炉で行うことに特徴がある。

Fig. 31.

 Process Flow of DIOS.

最初の3年間の要素研究の成果にもとづき,500t/dの実証炉が建設され,1993年10月から1996年1月まで合計10キャンペーンの実証的試験操業が行われた。その結果から商用設備の石炭原単位は730~750kg/thmと推算された。商用設備,6,000t/d規模では,溶融還元炉2基が必要であるが,付帯のコークス炉,焼結機が不要なため,高炉法と比較して,設備コストで35%,製造コストで19%の削減が可能とされた。実用化を目指して,生産性拡大,溶融還元炉の負荷軽減,設備簡素化などを目的に,種々のエンジニアリング設計,FSが実施された。その一つとしてのDuplex-DIOSは,溶融還元炉の負荷軽減を目的に回転炉床との組み合わせで予備還元を強化したプロセスで,海外へ技術移転を含めた実用化の検討がなされた。溶融還元技術はHIsmeltやHIsarnaなどの溶融還元法にも影響を与えている。

6・2 コークス充填層型のシャフト炉

コークス充填層型のシャフト炉としては,川鉄千葉の2段羽口型溶融還元炉STAR炉(Stainless steel advanced reactor)46),新日鉄名古屋の多機能溶融炉MFMF(Multi-Function Melting Furnace)49,50,211)が挙げられる。

STAR炉はステンレスダストやスラグなどの副産物を処理する目的で川鉄千葉で開発,建設された(Fig.32a)。コークスは炉上から供給される一方,原料となるステンレスダストは炉下部に取り付けられた二段羽口の上段から粉体状で吹き込まれ,主にレースウエイ内で溶融還元される。

Fig. 32.

 Shaft furnace for dust and scrap treatment.

多機能溶融炉MFMFは2段羽口構造のシャフト炉であり,高炉用コークスを使用して,製鉄ダストと鋼屑を同時に還元溶解し溶銑を製造する(Fig.32b)。製鉄ダストはペレット化され,鋼屑,コークスと共に炉上部から装入される。2005年,新日鉄名古屋で実機化(炉内容積67m3)され,高炉用コークス使用下での鋼屑100%使用操業では,2段送風とすることで,出銑比22t/d/m3,コークス比190kg/thm程度211)の低コークス比操業が実施されている。

6・3 回転炉床炉

Table 3に,現在世界で開発中あるいは稼動している還元鉄製造法を装置形状と使用する還元材によって分類して示す212)。焼成ペレットをシャフト炉を用いてガス還元するMIDREX法などのシャフト炉法が主流であるが,外装炭材を用いてロータリキルンで還元するロータリキルン法も実施されている。一方で,炭材を内装した塊成鉱を用いる回転炉床炉法が開発され,主に製鉄ダスト処理プロセスとして実機化されている。

Table 3.

Classification of DR plants on reductant source, furnace type and reduction temperature.212)

炭材内装塊成鉱は,一般にはハンドリング強度が低いために,これを用いた還元鉄の製造プロセスでは,静的状態で加熱・移動できる回転炉床炉(RHF)が用いられている(Fig.33)213)。RHFは製鉄所のエミッションフリー,資源対策,環境対策強化を目指したプロセスとして開発された。

Fig. 33.

 Process Flow of RHF.213)

RHFの炉温である1300~1350°Cの高温域では,固体炭素のガス化(ソリューションロス)反応によって直接還元反応が進行する。微粉の固体炭素と酸化鉄を混合・成形した炭材内装塊成鉱では,ソリューションロス反応がより低温で進行するため,高炉や溶融還元よりも低い温度で高速還元することができる。また,RHFは固体炭素の存在下で,約1300°Cという高温度で操業されるため,比較的低温で高い蒸気圧を持つ金属を含む製鉄ダストやスラッジ,特に高濃度のZn,Pb等を含む電気炉ダストおよびミルスケールからの有価金属回収にも適している。

新日鉄広畑ではRHF(直径:21.5m)によって転炉ダストを年間19万t/y処理しているが,RHFの生産性100kg-DRI/m2hにおいて,金属化率91.9%,脱Zn率94.0%を達成している。また,熱効率向上,リサイクル促進を目的に,RHFに隣接させてDRI専用の溶解炉(DSP)が増設され,ダストから溶銑まで製造する一貫プロセスが構築された。現在は4基のRHFが稼働しており年間約60万t/yの処理能力がある214)。新日鉄君津では,所内発生ダスト60万t/yを年間処理能力13~30万t/yの回転炉床炉3基で処理し,還元ペレットを高炉で,微粒還元鉄を焼結プロセスにリサイクルしている。この還元ペレット(金属化率70~85%)は高炉用として50kgf/cm2以上の強度に調整されており,高炉の燃料比の低減に寄与している45,215)

これらの回転炉床炉の新展開による粒鉄製造プロセスが神鋼のITmk3(Ironmaking Technology mark three)47)とJFEスチールのHi-QIP(High Quality Iron Pebble)48)である。従来の還元鉄は固体状態で鉄鉱石を還元するため,脈石を多量に含み,これが鉄屑に対して不利な点であった。炭材内装塊成鉱を1350~1500°Cの高温度で急速に加熱・還元すると,反応の最終段階で鉄とスラグが溶融して脈石を分離できる216)

ITmk3は1350°Cで加熱還元するため,還元は固体の状態で進行し,反応がほぼ終了した時点で1400~1450°Cに昇温してメタルとスラグを溶融分離する。したがって,溶融スラグ中のFeO含有量は1%以下と低い217,218)。ITmk3で鉄鉱石から製造した粒鉄の代表組織はTFe 96~97%,C 2.5~3.5%,S 0.05%と報告されている。一方,Hi-QIPは,1500°Cの高温で加熱・還元するが,還元の最終段階で還元鉄,酸化鉄含有スラグの溶融が起こり,溶融スラグ中のFeOが炉床材料の炭素と反応しつつ,メタルとスラグが分離する48)。炉床炭材は生成する高FeOスラグから炉床を保護すると共に炭素を供給する役割を果たす。これらのプロセスで得られる粒鉄はスラグを含まず,溶融により反応性が低下しているためハンドリング性に優れ,製鋼コストを大幅に低減できると期待されている。

以上の新鉄源プロセスにおいて,DIOSの反応は予備還元→溶融還元,コークス充填層型STAR炉の反応は溶融→還元が主体であることに対して,回転炉床炉およびコークス充填層型MFMF炉の反応は還元→溶融が主体であること,さらに,熱供給の方法がDIOSおよびコークス充填層型シャフト炉が対流伝熱に対して,回転炉床炉は輻射伝熱であるというプロセスの多様化がある。この多様性こそが,資源制約下において技術基盤を培ってきた日本の製銑技術の特徴と言える。

7. 今後の展望

歴史を振り返ると,日本鉄鋼業は常に好不況の波にさら晒されてきた業界であるが,戦前,戦後を通して社会インフラを支える基盤素材を提供する重要な産業として日本経済の発展を支えてきた。

近代鉄鋼技術の基盤は欧米から導入したものであるが,諸氏先輩方の努力もあり,日本流に昇華させ,かつコンピューターなど時代の先端技術を取り込み,設備の大型化,自動化を進めつつ,省エネルギー技術,環境対策にも積極的に投資し,競争力ある最先端の独自技術として発展してきた。

東日本大震災を契機とする原子力発電所の事故による国内外のエネルギー価格体系の変化,米国を中心とするシェールガスの拡大により,製銑の根幹をなすエネルギーの見通しが困難な状況にある。また,急激に発展を遂げてきた中国の経済成長の鈍化による資源需給の緩和など,製銑分野を取り巻くエネルギー,資源動向などは短期的には大きく変化している。

一方で,SCOPE21の開発,実用化で経験したように,製銑での新技術の開発には10年以上の期間が必要になる。したがって,短期的な経済環境に左右されない普遍的な課題について,産,官,学連携で着実に開発を進めることが重要である。

1) 高炉の低コークス比操業に向けた設備,操業技術

国内のコークス炉の老朽化は着実に進行,2025年までには多くの炉の更新が必要となる。厳しい経済環境のなかで設備投資を最小限に抑えるにはコークス比の下限限界への挑戦が不可欠である。

2) 安価資源の利用拡大技術

世界の鉄鉱石,石炭,合金鉄の資源は着実に劣質化する一方,価格は高止まりとなっている。日本の鉄鋼業の競争力の特徴は,溶銑コストを下げるために相対的に安価な(通常は使い難い)資源を利用してきたことにある。引き続き安価原料の拡大を図ることが必要であり,既に高炉設備,操業を安価資源の利用という観点から見直すプロジェクトが既にスタートしている。

3) 製銑分野の低炭素化,省エネルギー

地球温暖化対策としての二酸化炭素の排出抑制を左右する京都議定書以降の国際的な取り組みの行方は不透明であるが,長期的な省エネルギー,製銑分野の低炭素化へのニーズはこれからも変わることはない。新製鉄法の開発,開発中の新原料の実用化など低炭素化への努力を進めていく必要がある。

4) 世界的な鉄屑需給を見据えた製鉄法の組み合わせの最適化

中進国の経済発展の完了により,将来的には鉄屑余剰へと移行する。それをふまえて鉄屑ベースの製鉄法と鉱石を利用する製鉄法の最適化も将来的には重要になる。

これらの技術開発を進めるためには,学振製銑第54委員会での研究会,日本鉄鋼協会の共同研究会,NEDO,経済産業省からの国プロなど,産,官,学が連携した取り組みがますます重要になる。また,「限りなく遠い過去を見られる人ほど,限りなく遠い未来を見ることができる」と言われている。過去には,日の目を見ずに埋もれた技術も多くあり,「模擬ヲ戒メ創造ヲ勗(つと)メ」(1932年)104),新たな視点で見直し,再評価するよい機会かも知れない。

先人達のご苦労に感謝すると共に,今後の若い世代の技術者・研究者の方に,歴史を振り返るための教材になればと期待しております。

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© 2014 一般社団法人 日本鉄鋼協会

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