Tetsu-to-Hagane
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Reaction Behavior of Ca-Loaded Highly Reactive Coke
Seiji Nomura
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2014 Volume 100 Issue 2 Pages 262-269

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Synopsis:

Usage of highly reactive coke in order to decrease the thermal reserve zone temperature in a blast furnace is considered promising to increase the reaction efficiency in the blast furnace and to decrease the reducing agent rate. In order to develop a new method to produce highly reactive coke by adding a Ca catalyst other than Ca-rich coal, in this paper, firstly the effects of Ca compounds pre-addition to coal on coke qualities were investigated. It was shown that carbonizing the mixture of coal and Ca compounds (CaO, CaCO3) greatly increased coke reactivity and that it was possible to produce Ca-loaded highly reactive coke with high coke strength by adding 3% of Ca compounds under such conditions as high strength coke was produced. Furthermore, the reaction behavior of Ca-loaded highly reactive coke when mixed with conventional coke in the presence of an alkali was investigated. It was shown that when a mixture of Ca-loaded highly reactive coke and conventional coke was heated in a reaction gas, Ca-loaded coke selectively and preferentially reacted. It was also confirmed that Ca acted as catalyst in the existence of K. This shows that the reactivity of Ca-loaded coke is higher than that of conventional coke in an actual blast furnace whereby coke reactivity is promoted by condensed alkali vapor.

1. 緒言

高炉における還元材比(RAR)低減は,省エネルギーおよび省化石資源という点で,極めて重要な課題となっている1,2)。還元材比低減のための技術はいくつか提案されているが,その中でも最近,高反応性コークス使用により高炉内反応効率を向上させる技術が有望視されている1,2,3,4,5,6)。これは,低温部からコークスのガス化反応を開始させることによって高炉内熱保存帯温度を低下させ,平衡ガス組成を高CO2側とし,これまでウスタイトの還元反応に関与できなかったガス組成でFeOから鉄への還元を進行させることを目指すものである。この技術実現の鍵は高反応性コークスの製造・使用技術にあるが,最近著者らは,実高炉で使用可能な高反応性コークス製造を目的とし,触媒担持による高反応性コークス製造技術の検討を行っている5,6)。石炭やチャーのCO2ガス化触媒としては,Na,K,Li等のアルカリ金属,Ca,Ba等のアルカリ土類金属,Fe,Ni等の遷移金属の触媒活性序列やメカニズム等についての基礎検討が多く報告されている7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18)。コークスに触媒を担持する方法としては,(1)「乾留後触媒担持法」(乾留後コークスに触媒を付着させる方法)19)と(2)「石炭・触媒事前混合法」(石炭と触媒の混合物をコークス炉で乾留する方法)があるが,著者らは,Fe触媒については,石炭・微粉鉄鉱石事前混合により,実高炉で使用可能な強度レベル(DI15015 80.9,実機CDQ後でDI15015 82.4相当)の高反応性(JIS ReI 40)フェロコークス製造を実機コークス炉で達成した20)。またCa触媒については,Ca高含有炭配合により,実機コークス炉で高強度・高反応性コークスを長期間製造する事に成功した5)。さらに著者らは,このCa高含有炭配合高反応性コークス使用により熱保存帯温度が低下することを断熱型高炉反応シミュレータ(BIS炉)試験で確認し,さらに北海製鉄(株)室蘭2高炉において,Ca高含有炭配合高反応性塊コークスを全量長期間連続使用した結果,実高炉で熱保存帯温度が低下し,高炉還元材比が低下する事を確認した5)

その一方で,Ca高含有炭は限られた資源であるため,それ以外のCa触媒源を用いた高反応性コークス製造技術開発が期待されている。また,Ca担持高反応性コークスによる効果は実機規模で検証されているが,基礎的反応挙動については解明されてはいない。第一に,Ca担持高反応性コークスと通常コークスと混合使用した時に,Ca担持高反応性コークスの方が低温より反応開始する事は示されていない。第二に,実高炉内ではコークス表面に凝縮するアルカリ蒸気による反応性向上効果があることが知られているが21),アルカリ存在下でのCa担持高反応性コークスの挙動についての検討例はなく,Caによる触媒効果とアルカリによる触媒効果の相互作用については不明である。

そこで本研究では,まず,Ca源として各種Ca化合物を石炭に事前混合して乾留した場合のコークス品質への影響について検討した。次に,Ca担持高反応性コークスと通常コークスを混合した時の反応挙動について検討した。さらに,アルカリ存在下でのCaの触媒効果について検討したので,これらの結果について報告する。

2. 実験方法

2・1 コークス品質に及ぼすCa化合物添加の影響評価

2・1・1 粘結性評価試験

実験に用いた石炭の性状をTable 1に示す。石炭A,Bは粘結炭,石炭Cは非微粘結炭である。まず,粘結炭Bに触媒(CaO,CaCO3試薬)を2.5~7.5%,または粉コークスを1.0~5.0%添加し,ジラトメーターにより膨張性を測定した。

Table 1. Coal properties.
CoalProximate AnalysisRuhr DilatometryTotal Dilatation (%)Gieseler PlastometryLog10 (Max. Fluidity/ddpm)Petrographic AnalysisMean Max Vit. Ref. (%)
VM(%, db)Ash(%, db)
A21.19.41272.631.35
B23.89.01192.921.19
C35.89.2322.180.73

2・1・2 乾留およびコークス品質評価試験

次に,Test 1では配合炭1(粘結炭B 70%,非微粘結炭C 30%)を−3mm 80%,水分4%に調整後,触媒を所定量(2.5~7.5%)添加・混合し,装入密度830dry,kg/m3で亜鉛鉄板製の装入缶(炉幅420mm;炉長600mm;炉高400mm)に試料を装入し,電気加熱式試験コークス炉22)に装入して乾留した。Test 2では配合炭2(粘結炭A 30%,粘結炭B 30%,非微粘結炭C 40%)を−3mm 85%,水分4%に調整後,CaO試薬3%をミキサーで混合し,装入密度850dry,kg/m3で装入して乾留した。乾留後のコークスは窒素雰囲気中で冷却し,ドラム強度指数DI15015,JIS反応性指数(JIS ReI:0.85-1.7mmの粉コークス試料10gをCO2雰囲気中950°Cで反応させた時の初期反応速度相対値に相当),塊コークスの反応性(CRI:20mmの塊コークス試料200gをCO2雰囲気中1100°Cで2h反応させた後の重量減少百分率)を測定した19)

2・2 Ca担持高反応性コークス/通常コークス混合時の反応挙動評価試験

コークス試料としては,Table 2に示す2種類のコークス(C1,C3)を用いた。C1は高炉で通常使用されているコークス(以下,通常コークスと称す),C3は非微粘結炭を90%含む配合炭にCaOを3%事前混合して乾留したCa担持コークスである。コークス試料は9~11mmに調製し,大型熱天秤型反応装置内に各試料を単独,または混合して200g装入した。混合装入は,Fig.1に示すように金網で容器を仕切り,分離して装入した。実験は,通常コークス(C1)単独,Ca担持コークス(C3)単独,通常コークス(C1)とCa担持コークス(C3)の1:1混合の3条件で実施した。試料はCO2/CO=10(L/min)/10(L/min)(ηCO=50%)雰囲気中で,常温から10°C/minで昇温し,重量の経時変化を測定した。そして,所定重量到達時または1200°C到達時に加熱を終了し,窒素雰囲気中で冷却後,混合装入時は通常コークスとCa担持高反応性コークスを分離して回収した。反応後回収試料は,重量を測定後,I型強度試験機で600回転衝撃を加え,反応後試料重量に対する+1.0mm重量の百分率(I6001)により耐衝撃粉化性を評価した。

Table 2. Coke properties.
DI15015(-)CRI(-)JIS ReI(-)Porosity(%)
C1 (Conventional coke)84.825.59.749.6
C2 (Higyly reactive coke)80.241.622.244.8
C3 (Ca coke)75.469.474.353.7
Fig. 1.

 Mixed charge method of conventional coke and Ca-loaded coke in a large scale thermobalance.

2・3 アルカリ存在下でのCa担持高反応性コークスの反応挙動評価

2・3・1 熱天秤試験

コークス試料としては,Table 2に示す2種類のコークス(C2,C3)を用いた。ここで,C2は非微粘結炭を70%含む配合炭を乾留して調製した,通常コークスに比べると反応性が高い(CRI41.6)コークスである。コークス試料を150-300μmに調製し,触媒(K,Ca,Feの硝酸塩)水溶液をIncipient wetness法(担体に所定量の液を滴下混合して乾燥する方法)23)により担持した。触媒担持量はCに対して触媒元素1mass%を狙った。実験条件をTable 3に示す。TGA2,TGA4はC2,C3に対してそれぞれKを担持した。C3にはCaが事前担持してあるので,TGA4はCaとKが担持された条件である。また,TGA5,TGA6,TGA7はC2に対してそれぞれFe,Fe+Ca,Fe+Ca+Kを担持した。K,Ca,Feの担持量実績はそれぞれ+0.6-1.2%,+0.5-0.7%,+0.5-0.6%であり,ほぼ目標通りの触媒濃度にすることができた。各試料(10mg)を熱天秤(島津製作所 TG-50)により,800°Cまで窒素中で50°C/minで昇温し,800°Cで反応ガス(CO2/CO=30/70 or 10/90)に切替え,1200°Cまで10°C/minで昇温し,重量減少を測定した。

Table 3. Test condition in TGA test and catalyst concentration in coke.
CokeCatalystCatalyst concentration in coke (%)Added catalyst (%)
KFeCaKFeCa
TGA1C2 (Higyly reactive coke)No addition0.120.420.200.000.000.00
TGA2C2 (Higyly reactive coke)K0.73--0.61--
TGA3C3 (Ca coke)Ca (pre-added)--0.89--0.69
TGA4C3 (Ca coke)Ca (pre-added)+K0.71-0.890.59-0.69
TGA5C2 (Higyly reactive coke)Fe-0.92--0.50-
TGA6C2 (Higyly reactive coke)Fe+Ca-1.030.74-0.610.54
TGA7C2 (Higyly reactive coke)Fe+Ca+K1.311.010.761.190.590.56

2・3・2 大型熱天秤による反応試験

コークス試料(C1およびC3)を20±1mmに調製し,15% KOH水溶液に30分浸漬した後,乾燥した。コークス中のK濃度は,担持前0.055~0.095%(平均0.076%),担持後1.3~1.6%(平均1.45%)であった。大型熱天秤型反応装置に200gの試料を充填し,窒素雰囲気中で常温から1100°Cまで20°C/minで昇温し,1100°CでガスをCO2/CO=20/80に切換え,重量減少が所定値(重量減少百分率10%,20%,30%)に到達した段階で再び窒素に切り換え,冷却した。反応後コークスは,重量を測定後,I型強度試験機で600回転衝撃を加え,反応後試料重量に対する+1.0mm重量の百分率(I6001)により耐衝撃粉化性を評価した。

3. 実験結果および考察

3・1 コークス品質に及ぼすCa化合物添加の影響

3・1・1 石炭粘結性に及ぼすCa化合物添加の影響

Fig.2に示すように,Ca化合物添加により全膨張率は低下し,CaOの方がCaCO3よりも膨張性阻害効果が大きい。全膨張率が低下する理由としては,物理的影響,すなわち粉コークスのような溶融しないイナート物質を添加したことにより石炭熱分解ガスが軟化溶融石炭層外に容易に排出されるようになる効果と,化学的影響,すなわち,添加物質と石炭との化学的相互作用による粘結性阻害効果が考えられる。軟化溶融石炭層からの熱分解ガス排出がイナート物質の表面積に強く依存すると仮定すると,物理的影響が主要因であれば,同一表面積の添加物で比較した場合には膨張性阻害効果は同等になると予想される。そこで,単位質量石炭あたりの添加物の表面積と全膨張率の関係をFig.3にプロットした。図より明らかなように,同一表面積で評価しても,CaOの方がCaCO3よりも膨張性阻害効果が大きい事がわかる。この事は,CaO添加により,物理的影響以外の何らかの粘結性阻害効果が生じている可能性を示唆しているが,詳細は不明であり,今後の検討課題である。

Fig. 2.

 Effect of Ca compounds addition to coal on total dilatation.

Fig. 3.

 The relationship between surface area of additives and total dilatation.

3・1・2 コークス品質に及ぼすCa化合物添加の影響

Fig.4に示すようにCa化合物添加によりドラム強度指数(DI15015)は低下し,添加率が増えるほど低下割合が大きくなる傾向にある。また,膨張性阻害効果が大きいCaO添加の方がCaCO3添加よりもDIが低下している。Ca化合物添加より膨張性が低下し,石炭粒子の接着が不十分になったためDI15015は低下したと考えられる22)Fig.5(a)(b)に示すように,Ca化合物添加比率が増加するとコークスのJIS反応性指数,CRIともに大きく増加する。これは,触媒作用によりCのCO2ガス化反応性が向上したためと考えられる。Caは酸化物,炭酸化物のどちらでも触媒作用があり,Fig.6に示すように添加したCaの重量百分率で評価すると両者の反応性向上効果がほぼ同等であることがわかる。また,Fig.5, 6に示すように,添加率が増加すると反応性向上効果は飽和する傾向がある。これは,適切な触媒を少量事前混合すれば,コークス強度を大きく低下させずに反応性を向上できる可能性を示唆している。

Fig. 4.

 Effect of Ca compounds addition to coal on DI15015.

Fig. 5.

 Effect of Ca compounds addition to coal on (a) JIS ReI and (b) CRI.

Fig. 6.

 Effect of Ca addition to coal on JIS ReI.

そこで,実高炉で使用されているレベルの強度(DI15015≧85)で,反応性が高い(CRI≧50)コークスが製造できるかを検討するため,Test 2では,CaO添加比率を3%とし,さらに高嵩密度化(850dry,kg/m3)22)と石炭粒度細粒化(−3mm 85%)24)によりベース(触媒無添加時)のコークス強度を向上させた条件で評価を行った。3%を選択した理由は,CaO3%添加ではDI低下が小さい(Fig.4)一方で,反応性向上効果が大きい(Fig.5)からである。Fig.7に示すように,Test 2では,Ca化合物添加がない条件(DI15015 86.2,CRI 25)に対してCaOを3%添加することでDI15015 85.5,CRI 60のコークスとなり,コークス強度を高位に維持したままCRIを向上させることができた。

Fig. 7.

 Relationship between DI15015 and CRI.

以上のように,Ca化合物(CaO,CaCO3)を石炭に事前混合して乾留することにより,コークスの反応性を著しく向上させることが可能である。Ca化合物は石炭粘結性を阻害するためにコークス強度(DI15015)は低下するが,適切な条件で少量混合する事で,コークス強度を高位に維持したまま反応性を向上する事が可能である。一方で,高強度高反応性コークス製造技術を確立するには,石炭種類や粒度,装入密度,触媒種類および添加率等の因子の切り分けと定量化が必須であり,この点は今後の課題である。コークスの反応性向上にCa触媒は有望であり,今後Ca担持高反応性コークスの最適な製造条件についてさらに検討したい。

3・2 Ca担持高反応性コークス/通常コークス混合時の反応挙動

Ca担持高反応性コークスおよび通常コークス混合反応試験終了後の各コークスの反応率をFig.8に,重量減少曲線をFig.9にそれぞれ示す。図より明らかなように,Ca担持高反応性コークス単独使用時,混合時の重量減少は通常コークスより低温から開始し,混合使用時にはCa担持高反応性コークスが選択的かつ優先的に反応し,通常コークスはほとんど反応していないことがわかる。

Fig. 8.

 Reactivity of conventional coke and Ca-loaded coke in the mixed charge experiment.

Fig. 9.

 Weight loss curve in the mixed charge experiment.

ここでCa担持高反応性コークス混合使用時の重量減少百分率を求める時に,基準重量をCa担持高反応性コークスのみの重量(すなわち100g)にして補正した結果をFig.10に示す。通常コークスの重量減少が顕著ではない1100°C以下の低温領域において,Ca担持高反応性コークス混合使用時の補正重量減少は,単独使用時の重量減少とほぼ一致している。この事は,通常コークスとCa担持高反応性コークスの混合使用による相互作用は特になく,混合使用時に低温域でCa担持高反応性コークスのみが反応している事を示している。

Fig. 10.

 Corrected weight loss curve in the mixed charge experiment.

通常コークスとCa担持高反応性コークスを混合して使用した時のそれぞれのコークスの反応後強度(I6001)をFig.11に示す。通常コークスの反応後強度は反応前とほぼ同一であるのに対し,Ca担持高反応性コークスの反応後強度は大きく低下している。このことは,Ca担持高反応性コークスのみが反応して脆弱化し,通常コークスは保護される事を示している。脆弱化して発生した粉は高炉内でCO2との反応により消費されるので操業上問題にならないと推察されるが,高炉内での高反応性コークス使用技術(装入量や装入物分布等)については,さらに検討が必要である。

Fig. 11.

 Strength after reaction of conventional coke and Ca-loaded coke.

3・3 アルカリ存在下でのCa担持高反応性コークスの反応挙動

3・3・1 熱天秤試験による反応挙動解析

Ca事前混合コークスにアルカリ(K)を担持した場合の熱天秤での重量減少曲線をFig.12に,1050°C(CO2/CO=30/70)および1200°C(CO2/CO=10/90)での重量減少百分率をFig.13に示す。図より,1050°C以下の低温部,1050-1200°Cの高温部の両方とも,K+Ca担持試料の重量減少はCa単独,K単独よりも大きく,K存在条件でもCaの触媒効果はあることがわかる。今回の結果では,CaとKの触媒作用に相乗効果があることが示唆されたが,さらに詳細な検討が必要と考えられる。

Fig. 12.

 Weight loss curve in TGA test (Ca, K loaded coke) ((a) CO2/CO=30/70, (b) CO2/CO=10/90).

Fig. 13.

 Weight loss percentage in TGA test (Ca, K loaded coke) ((a) CO2/CO=30/70 at 1050°C, (b) CO2/CO=10/90 at 1200°C).

次に,コークスにFe,Ca,Kを担持した場合の熱天秤での重量減少曲線をFig.14に,1000°C(CO2/CO=30/70)および1200°C(CO2/CO=10/90)での重量減少百分率をFig.15に示す。図より,重量減少の序列はFe+Ca+K担持>Fe+Ca担時>Fe担持であり,高炉内のように鉄とアルカリの両方が共存している条件でもCaの触媒効果はあることがわかる。

Fig. 14.

 Weight loss curve in TGA test (Fe, Ca, K loaded coke) ((a) CO2/CO=30/70, (b) CO2/CO=10/90).

Fig. 15.

 Weight loss percentage in TGA test (Fe, Ca, K loaded coke) ((a) CO2/CO=30/70 at 1000°C, (b) CO2/CO=10/90 at 1200°C).

3・3・2 大型熱天秤による反応挙動解析

大型熱天秤反応試験において,ガスをCO2/CO=20/80に切換えてからの重量減少をFig.16に示す。通常コークス,Ca担持コークスともにアルカリ(K)担持により重量減少速度が増加しているが,アルカリ(K)担持条件下においても,Ca担持高反応性コークスの方が通常コークスよりも重量減少速度が大きい。これは,循環するアルカリ蒸気による反応性向上効果がある実高炉内においても,Ca担持高反応性コークスの方が通常コークスよりも反応性の面で優位であることを示している。

Fig. 16.

 Weight loss curve (CO2/CO=20/80) in large scale thermobalance test.

また,Fig.17に通常コークスとCa担持コークスの反応後強度を示す。反応率が増加すると強度は低下するが,両方のコークスとも同一反応率条件ではアルカリ(K)担持した方がしないよりも強度が向上している。前報25)において,同一反応率条件で,乾留後触媒担持コークスの反応後耐衝撃粉化性は通常コークスと同等かそれ以上になる事を示したが,今回の結果より,Ca担持コークスについてもKの乾留後担持により反応後耐衝撃粉化性が向上する事が示された。これは,反応温度の低温化により反応様式が均一反応に近づき,塊内半径方向のガス化率勾配が小さくなったためと考えられる。

Fig. 17.

 Relationship between reaction percentage and strength after reaction.

4. 結言

高炉反応効率向上を目的としたCa担持高反応性コークスの製造方法と反応挙動について検討し,以下の知見を得た。

(1)Ca化合物(CaO,CaCO3)を石炭に事前混合して乾留することにより,コークス反応性は著しく向上する。一方でCa化合物添加は石炭粘結性を阻害するためにコークス強度(DI15015)を低下させるが,コークス強度が高い製造条件で3%混合する事で,コークス強度を維持したまま反応性を向上する事が可能である。

(2)通常コークスとCa担持高反応性コークスの混合使用時には,Ca担持高反応性コークスが低温から選択的かつ優先的に反応し,通常コークスは保護される。

(3)アルカリが共存している条件でもCa担持高反応性コークスの方が通常コークスよりも反応性が高い。また,通常コークス,Ca担持コークスの両方ともK担持により同一反応率条件での反応後耐衝撃粉化性が向上する。

文献
 
© 2014 The Iron and Steel Institute of Japan

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