Tetsu-to-Hagane
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Review
Development of Sinter Quality and the Technology with Corresponding to the Change of Iron Ore Resources: 100 years of Sintering Process and to the Future
Takazo KawaguchiMasaru Matsumura
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2014 Volume 100 Issue 2 Pages 148-159

Details
Synopsis:

For purpose of recycling dust generated in the integrated steel works, sintering process has been applied and developed from dust treatment technology in non-ferrous metal industry in 1910’s. Additional to dust low Fe grade ore has also been utilized as raw material in sintering process.

In 1960’s, increasing demand of iron and steel products caused shortage of lump iron ore, which was the driving force for full-blown development of sintering process. At last "Self-flux sinter" which has higher reducibility compared to lump iron ore has been invented. "Self-flux sinter" is utilized the phenomenon of forming liquid phase from fine iron ore with lime stone.

After "Self-flux sinter" invention, this process has been researched and developed eagerly for view point of chemical compositions, texture (mineral, pore), and sinter quality. Furthermore, standard method of sinter quality evaluation has been established, which was utilized for process advance by texture control in divided region.

Based on previous research, further development theme in future will be introduced in personal vision.

1. はじめに

鉄鉱石の焼結鉱は約100年前の20世紀初頭に開発されたが,当初は鉄系ダストや低品位鉄鉱石を塊成化した補助鉄源に過ぎなかった。第2次世界大戦後,飛躍的な世界的鉄鋼需要を背景に,我が国でも1960年代の高度経済成長にともなって高炉鉄鋼生産が飛躍的に進展する。この時,鉄源となる塊鉄鉱石の供給が大きな課題となったが,高品位な海外粉鉄鉱石を原料とした自溶性焼結鉱が開発・大量生産され,その後の鉄鉱石品位低下にも対応しつつ,品質改善も達成しながら現在に至っている。これらの学術研究の発展は学術振興会「製銑54委員会」の資料や,日本鉄鋼協会の「高炉反応部会基礎」「新塊成鉱の基礎」1)「難焼結性鉄鉱石の塊成化プロセス工学」2)「多孔質メソモザイク組織焼結」3)「複合造粒・層設計焼結」4)「低炭素焼結技術原理の創成」5)の各基礎研究会報告書に,また生産技術の発展は10年毎の本刊記念特集号6,7,8,9,10,11,12)および西山記念講座資料13,14,15,16)など17,18,19,20,21,22)に,時系列的に見ることができる。

自溶性焼結鉱は高炉原料としての強度確保と被還元性改善の両立を目指したもので,高品位ヘマタイト粉鉄鉱石と粉石灰石を焼結して難還元鉱物組織を抑制した今日の焼結鉱である。すなわち,焼結鉱は単に高炉内通気を確保するための塊成化物ではなく,CaO成分を溶融の起点とし鉄鉱石を半溶融させて気孔や鉱物組織を制御して,高炉内での還元性状を改善し還元材比を低減する機能も担っている。

しかし,21世紀に入り,今また,世界的規模での鉄鋼需要が急増する中で,その鉄源となる高品位鉄鉱石の供給不足が顕著になっている。我が国の鉄鋼生産を支えているオーストラリアやブラジル産の高品位鉄鉱石鉱床では供給が追いつかず,むしろ枯渇状況にあり,新たに選鉱処理を必要とする低品位鉄鉱床の開発に移行せねばならない状況にある。一方で,製鉄用原料炭の不足や炭酸ガス問題などにより,高炉操業では還元材比をさらに低減できる高品質な焼結鉱が強く求めてられている。まさに,資源拡大と低炭素を目指す焼結技術が,今また,強く求められている。

そこで,従来鉄鉱石と異なる低品位鉱を選鉱処理した微粉高品位鉄鉱石の活用も視野に入れて,革新的な焼結鉱の研究・開発が重要である。ここでは,焼結鉱の原点となる自溶性焼結鉱の開発経緯と最近の焼結鉱品質の改善技術についてレビューし,今後の展開について述べる。

2. 自溶性焼結鉱の開発

2・1 我が国における焼結鉱製造の歴史

鉄鉱石焼結鉱製造の歴史は稲角の著作「焼結鉱」23)および「原燃料から見たわが国製銑技術の歴史(第3部)」が詳しい24)。注目すべき視点は,鉄源である鉄鉱石の不足,これを補う鉄鉱石資源の性状が,焼結鉱品質や製造技術を発展させた事実にある。焼結法は非鉄分野の塊成化技術として19世紀末に開発され,20世紀初頭に鉄鋼分野にも適用されている。Fig.1に我が国製鉄所への焼結機導入の経緯を示す。焼結機やその技術は欧米からの導入であるが,その時期はきわめて素早く,良質鉄鉱石資源に恵まれない我が国の技術的関心25)が高かった状況が伺える。スウェーデンは積極的に焼結鉱の製造に取り組み,1935年頃には高炉での焼結鉱配合比率は80%を超え,1942年には石灰石添加が開始され,1944年に自溶性焼結鉱の生産が開始されている26)。さらに,Tigerschiold27)は自溶性焼結鉱の高炉使用により,コークス比50kg/HMTの低減効果があるとの解析結果を報告している。当時の文献では石灰分を配合しない焼結鉱を酸性焼結鉱,概ねCaO/SiO2<1.0の石灰分を配合した焼結鉱を「石灰焼結鉱」,CaO/SiO2>1.0の石灰分を配合した焼結鉱を「自溶性焼結鉱」と称している。我が国でも,Fig.1に示されるように1926年以降,本格的に焼結鉱の生産が開始される。鉄分を含有するダストや脈石成分を多く含有する低品位粉鉄鉱石に炭材を混合し,溶融同化させたもので,脈石に含有するSiO2成分と酸化鉄が結合塊成化した酸性焼結鉱で,強度は強いものの被還元は悪いものであった。第2次世界大戦中は,良質塊鉄鉱石の供給不足から,多種多様の粉鉱を原料とした固めるだけの焼結鉱を,多量に製造し使用する経験を積んでいる。

Fig. 1.

 Development of sintering method.

戦後,1946年に鉄鋼復興の指針が検討され,良質鉄鉱石資源が確保できない状況では,欧米方式の追随ではない我が国独自の路線として,高炉原料では塊鉱大塊の粉砕と混入粉の篩分けの必要性(整粒強化)とともに,焼結鉱重視の方針が打ち出された28)。特に硫酸滓(Fe2O380~86mass%,SiO25~10mass%),低品位粉鉱や篩下粉鉱の焼結化が重要としている。また,占領解除直前の1951年に,GHQ顧問であるJosephは,我が国鉄鋼業に16項目の原料事前処理に関する勧告29)を残している。その主内容で焼結鉱に関するものを列挙する。

①塊鉄鉱石を整粒して高炉に使用(篩下鉱は焼結鉱)

②高炉スラグ量の低減

③焼結鉱の品質改善

・強度重視の過剰溶融焼結でない多孔質な高被還元性焼結鉱,高FeO化の抑制,過大粒度の抑制(例:低FeO高被還元性のスウェーデン自溶性焼結鉱,釜石焼結鉱)

・散水冷却から空気冷却に切り替え,強度維持からコークス比低減

・スラグ量の少ない焼結鉱(高品位硫酸滓の使用拡大)

①は復興指針と合致するが,②③は従来の強度のみを追求するのではなく,被還元性の改善,スラグ量低減という新たな焼結鉱品質機能を明確にした提言として,その先見性は後に高く評価されている。

2・2 自溶性焼結鉱の製造および高炉使用試験

自溶性焼結鉱の導入はSatoの解説30)が詳しい。Fig.2に世界粗鋼と我が国銑鉄の生産量推移を示す。Josephの勧告のあった1951年以降,飛躍的に世界の鉄鋼生産が伸展し,これに伴って我が国でも高炉銑鉄生産が急伸した。この大量の需要を満たす鉄源として,硫酸滓,砂鉄などの国内資源では足らず,フィリピンやマレーシアなどの東南アジアのマグネタイト鉄鉱石の輸入が開始され,さらにはインドやゴア(現:インド)のヘマタイト鉱石などが使用された。当然,篩下鉱は焼結原料として使用する必要がある。我が国で自溶性焼結鉱が開発されたのは,まさにこの時期である。戦前に培ってきた焼結鉱製造技術は,この飛躍的増産要請を受けて,大量生産向きの連続式DL式焼結機の導入に受け継がれた。1957年では焼結鉱配合率は47mass%に達している。ここで,重要な視点は単に粉鉱を処理する塊成化技術ではなく,高炉操業を改善する高品質化技術にあった。

Fig. 2.

 Production of crude steel in the world and hot metal in Japan.

そこで,スウェーデンで成功している「マグネタイト精鉱微粉を原料とした自溶性焼結鉱による高炉還元材比低減技術」26)の実用化が我が国で検討された。しかし,石灰石を大量添加する自溶性焼結鉱はスウェーデン産の高品位マグネタイトの鉄鉱石ゆえ可能であって,SiO2成分の高い低品位鉱やヘマタイト鉱石,褐鉄鉱鉱石では無理だ24)と当時は考えられていた。すなわち,酸性焼結鉱製造における経験と石灰石添加にともなう熱分解熱補償の観点から,マグネタイト(FeO・Fe2O3)鉱はヘマタイト(Fe2O3)への酸化熱を得て粉コークスを増加させずに焼結できるので,また低SiO2成分なので難還元性の硅酸塩鉱物を生成しにくいからこそ可能であると考えられていた。そして,ヘマタイト鉱や褐鉄鉱では強度を得るために多量の粉コークス添加が必要となり,難還元性の硅酸塩鉱物主体の緻密な焼結鉱になり,被還元性改善とは逆行すると考えられていた。

しかし,冶金的鉱物理論の発展34,35,36)と成長期の果敢なる試行31,32,33)により,石灰石と粉コークスの配合比率と粒度分布の適正化を見出し,当時の鉄鉱石原料(国内64mass%:硫酸滓,砂鉄,ミルスケール,海外36mass%:主に東南アジアのマグネタイト鉱)において,自溶性焼結鉱の製造を確立していく。Fig.3に自溶性焼結鉱における鉄鉱石銘柄の評価結果17)を示す。国内の低品位鉱よりも海外の高品位マグネタイト鉱の優位性が伺える。Table 1に当時実施された自溶性焼結鉱の高炉使用試験結果をまとめる。1954年の船町高炉試験31)は短期間で終わったが,1958年の小倉高炉試験32)および八幡(洞岡)高炉試験33)では1カ月以上におよぶ自溶性焼結鉱100mass%高炉使用試験が実施され,コークス(還元材)比548kg/HMT,525kg/HMTという世界記録を樹立している。1957年当時の標準が日本703,合衆国866,イギリス932,西ドイツ941,フランス1034kg/HMTとすれば,驚愕する数字である34)。それでも,この時代の自溶性焼結鉱は,上述の鉄鉱石原料の制約もあって,FeO>13mass%,SiO2>7mass%,CaO/SiO2=1.35の高FeO,高SiO2な組成34)であった。

Fig. 3.

 Evaluation of iron ore brands on sinter productivity17).

Table 1. Results of BF operation test with using the self-flux sinter. (Funamachi31), Kokura32), Kukioka33))
Blast FurnaceInner VolumeTestSelf-flux sinterSinterBF ProductCoke rate
(NO.)(m3)DatePeriodratio (mass%)CaO/SiO2(HMT/d)(kg/HMT)
Funamachi 2BF(450t/d)Oct-542day44-670.67529686
Kokura 1BF543May-581month1001.23555548
Kukioka 2BF884Nov-584month100Limestone10%1200525

さらに,1960年代に入り高度経済成長の需要を満たすべく,新規にオーストラリアやブラジルで高品位ヘマタイト鉱床を開発し,大型船により大量に供給される高品位ヘマタイト鉄鉱石原料へと移行して行く。SiO2-FeO系の融液で焼結する酸性焼結鉱と異なり,CaO-Fe2O3系融液で焼結する自溶性焼結鉱にとってはSiO2含有量の少ない高品位ヘマタイト鉱は,多量の粉コークスが不要で,低FeO成分の高被還元性焼結鉱製造には最良の原料であった。Fig.4に高品位ヘマタイト鉱と褐鉄鉱(ピソライト鉱)におけるCaO成分濃度の焼結生産性に及ぼす影響を示す。低CaO条件では高SiO2鉱石や高結晶水鉱石の多配合が生産性低下を招くが,CaO>9mass%の高CaO条件では鉄鉱石種類の焼結生産率に及ぼす影響は少なく,鉱石使用の自由度拡大傾向が読み取れる。そして,1980年頃から徐々にヘマタイト鉱からゲーサイトを含む褐鉄鉱(いわゆる高結晶水鉱石)が増加するが,その多孔質構造に低粘度なCaO-Fe2O3系融液の特性が加味され,被還元性にとって理想的な多孔質な低SiO2焼結鉱の製造が実現していった。

Fig. 4.

 Effect of iron ore property on sinter productivity by pot test. (SiO2/Al2O3/MgO mass%: a) 5.6/2.0/1.7, b) 4.1/2.1/0.4, c) 5.3/2.2/0.4, d) 4.5/2.2/0.4, Base blend ore: Blockman.Hematite/Low-SiO2 Hematite/Pisolite/Serpentine=32%/32%/32%/4%)

2・3 自溶性焼結鉱の鉱物組織研究

前述開発期における自溶性焼結鉱は,以下の理論に基づいて高炉還元材比の低減が目指された。

①造滓材である石灰石の高炉直接投入を焼結鉱添加とすることで,高炉での石灰石の熱分解吸熱量を削減する。

②化学組成や粒度の異なる多種類の高炉原料を焼結鉱1種類に集約し,高炉操業の安定化を図る。

③難還元性鉱物である硅酸塩(2FeO・SiO2,ガラス質スラグ)の生成を抑制すべく,CaOを反応させカルシウムフェライト(2CaO・Fe2O3,CaO・Fe2O3,CaO・2Fe2O3)の生成を図る。

④CaO-Fe2O3系融液を活用して過剰な粉コークス使用を抑制し,強度のみの溶融型焼結から酸化度の高い拡散型焼結を狙う。

自溶性焼結鉱の形成鉱物は,顕微鏡による屈折率測定から2FeO・SiO2が低減し,2CaO・Fe2O3,CaO・Fe2O3,CaO・2Fe2O3,CaO・FeO・SiO2の生成が確認された34)。試薬合成鉱物サンプルの被還元性試験では,後者のCaO・FeO・SiO2の被還元性は悪いが,前3者のカルシウムフェライトはヘマタイト鉄鉱石並みに良好であることが確認された34)(Fig.5)。X線を活用した鉱物同定が開始され,またPhillips and Muan35)によってCaO-酸化鉄の状態図が完成したのはこの頃である。スウエーデンのEdstrom36)はFeOを含むCaO・FeO・Fe2O3,CaO・3FeO・Fe2O3,3CaO・FeO・7Fe2O3,4CaO・FeO・4Fe2O3を見出し,各カルシウムフェライト(2CaO・Fe2O3,CaO・Fe2O3,CaO・2Fe2O3)のm.Feへの還元パス過程を考察している。

Fig. 5.

 Reduction curve with H2 at 900°C of calcium ferrites and materials for BF34).

しかしその後,実機焼結鉱と試薬合成サンプルのカルシウムフェライトの相違が議論され,精力的にカルシウムフェライトの還元性状や構造解析の研究が推進された。そして,実機焼結鉱に観察される鉱物はCaO・Fe2O3やCaO・2Fe2O3の2元系ではなく,SiO2,Al2O3などを固溶した多成分系(Ca, Mg)O・SiO2-CaO・3(Fe, Al)2O3の別物(以下SFCAと称す)であることが明確37)になり,さらにはMgOも含めてCa2(Ca, Fe, Mg, Al)6(Fe, Al, Si)6O20の3斜晶系構造と解明され38),このSFCAが他の難還元鉱物形成を抑制する機構が理解された。化学組成の液相平衡状態図も徐々に整備されてゆく。また,カルシウムフェライトのm.Fe-FeO平衡の還元ポテンシャルが解析39)され,Fe2O3より被還元性が悪いことが明確になり,化学反応的な要素だけでなくカルシウムフェライトの持つ結晶形態やサイズ,微細気孔も含めた焼結鉱組織構造の解析やその形成条件が注目されるようになってゆく。

3. 焼結鉱品質評価のための試験方法

高品質焼結鉱の開発に際し,高炉内での焼結鉱挙動に基づく性状評価は,最も重要である20)。製造焼結鉱を実高炉操業で使用評価したり,局所的にも実高炉操業条件でシミュレート評価することが最良であることは論をまたないが,焼結鉱は平均20mmサイズで化学組成,粒度,性状などの幅広い分布が存在することを考慮すると,代表性の面でかなり大量・大掛かりな評価試験方法が必要となる。また,高炉毎でも,時間的にもこの操業条件は変動し一定ではない。さらに焼結鉱・高炉プロセスの急速な発展のためには,多くの基礎研究成果の共有化が求められた。このような状況から,基礎的な実験装置・条件を参考にした標準試験方法が制定20)された。Table 2に焼結鉱品質を評価するISOとJIS試験法を示す。現状,製造焼結鉱の品質管理や研究開発の試作焼結鉱の評価に,世界的規模で日常的に活用されている。しかし,これら標準試験方法は,製造・試作された焼結鉱を,誰でもが簡単な装置で短時間かつ安価に実施できること,国際商業取引にあたって公正であることを前提としたもので,理論的挙動を追求したり,精密な解析に基づく評価のためではない。

Table 2. Standard evaluation tests for sinter ore. (*Popular method in Japan)
NoteEvaluation termCharacteristicGasTemp.NO.
CompositionNL/min°CISOJIS
SIShatter (Drop) strength2.0m-4times----M8711
TITamble and abrasion strengthDrum (1m) -200rd.---3271*M8712
RIReducibilityReduction rateCO/N2509504695M8713
Finanal degreeCO/N2159007215*
RDILow temperature reduction -disintegrationStaticCO/CO2/H2/N2205004696-1-
StaticCO/N2155504696-2*M8720
DynamicCO/CO2/H2/N22050013930-
VfsFree-swelling for pellet18 ParticlsCO/N2159004698M8715
DIDecrepitation for lump ore30 minAir-7008371-
△h, △pReduction under load (80% reduction)Diameter125mmCO/H2/N28310507992-

焼結鉱の強度試験方法はコークスの試験方法を参考に適用された。落下強度試験は,ISO化に際して利便性の観点から回転強度試験に移行してゆく。被還元性試験は,ガスの温度,組成,流量,圧力,および荷重,時間など実操業に近い条件での評価が求められるが,JISでは作業簡便性からシンプルな少量COガスでの加速試験条件が採用されている。その一方で,実高炉操業の加熱・還元条件をシミュレートさせた高温性状試験が実施されているが,製造管理の標準指標ではなく開発評価に留まっている。

1960年代に,我が国の高炉原料に関し3件の重要な現象を知見し,これを評価すべく新たなISO試験法が制定されている。1つ目はペレットの還元異常膨張(Swelling)40)であり,2つ目は塊鉄鉱石の熱割れ(Decrepitation)41)である。3つめは,焼結鉱の低温還元粉化(Low temperature disintegration)42)である。低温還元粉化は焼結鉱において顕著に見られる現象で,ヘマタイトがマグネタイトに還元する際に膨張応力が生じ,脆弱な焼結組織に亀裂を発生させ,荷下がり衝撃により粉化するものである。ISO試験法では,静的還元粉化試験法と動的還元粉化試験法(回転ドラム内で還元)があり,またCO/CO2/H2/N2条件とCO/N2条件がある。JISでは作業簡便性からシンプルな静的法で少量CO/N2ガスでの加速試験となっている。焼結鉱の還元粉化は450~600°Cの極めて狭いゾーンで起こる現象で,そのゾーン幅も短く,また感度に対する温度依存性が強く,高炉内での定量評価が難しい現象である。還元粉化は,温度上昇し還元が進みm.Fe形成されると,亀裂が接着し強度が回復する現象があり,動的還元粉化試験の必要性が議論される一方で,実高炉の荷下がり衝撃は小さく亀裂発生はあるものの粉化は少ないとする考えもある。このため,焼結鉱の還元粉化管理指標は,高炉操業状況に応じて大きく変動してきた。しかし,JIS-RDI(還元粉化試験値)は高炉内採取サンプルの粉化状況と対応している結果43)もあり,簡便評価としては十分に活用できる。

これまで,焼結鉱品質改善の試作評価に際しては,化学組成に付け加えて,回転強度(TI),被還元性(RI),還元粉化性(RDI)の3つのJIS評価値を指標としてきたが,あくまで簡便指標評価である。より本質的な評価を行うためには,まだまだ実操業高炉の調査・解析と,さらなる低還元材比を狙った焼結鉱の研究・開発が必要であることは言うまでもない。

4. 高品質焼結鉱の造り込み技術

4・1 鉄鉱石性状変化への対応

4・1・1 ピソライト鉱

焼結用鉄鉱石の性状推移は,1980年代以降大きく2つの傾向があり,第1は高結晶水(ゲーサイト)化,第2は微粉比率の上昇である。高結晶水化は,1980年以降のピソライト鉱増加と2000年以降のマラマンバ鉱増加に起因する。一方,鉄鉱石の微粉比率上昇は,1980年から始まるペレットフィードの活用と上述のマラマンバ鉱増加に起因する。

結晶水の増加は,焼結過程におけるLOI(灼熱減量)増加による歩留低下のみならず,ゲーサイト熱分解で生成する亀裂や気孔増による焼結鉱および焼結ケーキの脆弱化を招く。特に,ピソライト鉱は,LOIが10mass%もあり大亀裂と多気孔を生成するので,生成融液が急速に浸透吸収され同化が起こるが,急速であるため亀裂や気孔が焼結ケーキ中に残存する44)。残存気孔の抑制のため,融液と鉱石との同化速度を低下すべく熱量を抑制する一方で,結晶水分解熱(吸熱)を補償する熱量を増加する必要があり,適正な焼結反応となる熱量域は狭くなる45)。したがって,炭材による熱補償および事前結晶水除去だけでは十分な解決策とはならず46),急速な同化速度制御が必要である。また,ピソライト鉱は脈石として粘土鉱物(Al4Si4O10(OH)8)を多く含む特徴があり,斑状ヘマタイトをガラス質硅酸塩で結合した組織を生成しやすく,また多孔質焼結組織を形成するのが特徴である47)

ピソライト鉱の増加にともない,原料粒度が粗くなったにもかかわらず,焼結層の通気性悪化が見られた。ピソライト鉱は粗粒なので,原料装入に際してパレットの下層部に偏在する傾向がある。ピソライト鉱の高配合実機試験(48,54mass%)において,鍋歩留の著しい低下も報告48)されている。その原因として,焼結ケーキの中下層部において,非常に強固な岩盤と未焼成部からなる層状構造の形成を挙げている。鉄鉱石の溶融同化性,熱割れ性,および融液滴下性の検討を通じ,ピソライト鉱の下層部偏在が,下層部熱過剰の温度条件を受けて,多量の融液生成・滴下によって,緻密な凝固シェルが形成され,局部的な通気悪化による焼成不良を指摘48)している。ピソライト鉱の多量使用にあっては,擬似粒子の同化抑制ばかりでなく,原料装入時の鉱石分布偏在も考慮した層設計が必要である。2000年以降,複合的な造粒操作ばかりでなく,複合的な原料充填層形成にも関心が集まるようになった。

ピソライト鉱に対応する処理技術がいくつか提案49,50,51)されている。融液との同化がなければ,ピソライト鉱亀裂は1300°Cでの高温処理条件下で消滅することが知見され,ピソライト鉱の周囲をMgO-SiO2系副原料で被覆することによって,融液接触により発生する同化残存気孔の生成を抑制する“自己緻密化焼結法”が提案50)された。また,ピソライト鉱,凝結材および石灰石を混合・造粒した後に,ペレットフィードと粉コークスの混合粉で被覆した2層構造擬似粒子設計が提唱51)された。

内核のピソライト鉱石を積極的に溶融させるが,外核のペレットフィード層により内核融液の擬似粒子外流出を抑制し,その結果,Fig.6に示す通り,閉じ込められた融液はピソライト亀裂を充満し,焼結鉱構造が緻密化するとしている。

Fig. 6.

 Microstructure of sinter products at using pisolite ore51).

4・1・2 マラマンバ鉱

一方,マラマンバ鉱の鉱粒分類が行なわれ,多孔質ゲーサイト組織でAl2O3およびSiO2成分の高い黄色粒の比率が,低Pブロックマン鉱よりも高いと報告52)されている。この黄色粒は,融液との反応性が高くAl2O3やSiO2の影響により,低流動性の融液が生成し,同化後多孔質で脆弱な組織を形成する。マラマンバ鉱は従来のブロックマン鉱石と比較して,粘着力が小さく粒子表面に細孔が多いので,造粒において,バインダーおよび水分の添加量を多く必要とする。また装入において,マラマンバ鉱は微粉が多いため,原料層上部に配置される傾向がある。従って,上層部熱量の上昇手段が重要となる。

4・1・3 微粉鉱

他方,微粉比率の上昇に際しては,主に生石灰,消石灰などのバインダー添加で対応されたが,界面活性剤を用いる微粒子分散造粒法など53,54)新しい視点でのバインダー技術も開発された。また,セミペレット法に始まる複合造粒法(選択造粒,分割造粒)の普及が推進され,高機能造粒設備(例えば,パンペレタイザー,高速撹拌ミキサー)が導入された。

4・2 焼結鉱成分設計

4・2・1 還元粉化性

焼結鉱の低温還元粉化現象が知見され,この品質に関する精力的な研究が推進された。還元粉化指数(RDI)は,還元膨張応力と脆性組織のミクロ破壊という複雑な定量評価の割には,2次ヘマタイト(全ヘマタイトから残留元鉱ヘマタイトを控除)と焼結鉱化学成分との対応が良好である。RDIは2次ヘマタイト,Al2O3,Na2O,K2O,TiO2と正相関があり,FeO,SiO2,MgO,残留元鉱ヘマタイトと負相関がある。もちろん,RDIは焼結組織形成に深く関与する凝結材やCaO源の配合率(適正値)や粒度(負相関)にも大きな影響を受ける。配合原料の微粉(−1mm)のAl2O3/SiO2がRDIに対する鉱石配合設計指標として用いられ,設計値にすべくMgOやFeOなどの副原料や雑原料の配合量が調整される。Al2O3/SiO2数値で括れることはAl2O3とSiO2の各成分感度が等しいことを示唆するとともに,配合原料−1mmが対応することは融液を形成する微粉成分が関与していることを示唆する。このような知見を基に,原料情報などから焼結鉱品質を予測するシミュレーションモデルも開発55)された。

アルカリ成分(Na2O, K2O)は低温でも還元を促進させる作用があり,RDIおよびRIを上昇させる。一方,ハロゲン成分(Cl, F, Br, I)は還元を抑制する作用があり,550°C試験のJIS-RDIは低下するが,900°C試験ではハロゲンが還元前に揮散するためJIS-RIは維持される56)。この知見を活用して,焼結鉱にCaCl2水溶液を散布被覆させて,RDIを低減する技術が開発57)された。しかし,Cl成分の持ち込みは設備腐食を促進するし,ダイオキシンや煤塵などの増加要因にもなるので,その厳しい管理が必要となる。

1970年以降,省エネ(低コークス)も加わって低FeO化は推進されたが,一方の低SiO2化はRDI制約から限界があった。

1990年代以降,高度成長期に建設されたコークス炉は延命が大きな課題となり,高炉では高PCI操業が指向される。Fig.7に示す通り,高炉高PCI操業では,炉内ガス温度が上昇し,還元粉化の起こる低温域の滞留時間は短縮する58)。また,炉内ガスのH2濃度が上昇する。福山では,高PCI操業(200kg/HMT)に対応した低SiO2焼結鉱の還元粉化評価試験が実施され,低SiO2化はJIS-RDIを悪化させるものの,評価試験結果は影響を受けないことから,大幅なRDI管理の緩和を行った58)。しかし,直近,限界に近い高出銑比低還元材操業が指向され,再び高炉ガス温度が低下するようになり,還元粉化の管理は強化されるようになっている。

Fig. 7.

 Effect of low SiO2 sinter on in-furnace condition at high PCR operation58).

4・2・2 被還元性および高温性状

1970年代に精力的な高炉解体調査が実施された。最大の成果は融着帯の発見である。これにより,被還元性試験は,荷重軟化・溶融滴下試験へと変遷してゆく59)。なお,高炉原料の評価は山口の著作「高炉を支えた操業技術と原燃料」60)が詳しい。

高PCI操業においては,高炉内コークス層の薄層化により通気性向上が求められる。その一対策として,焼結鉱層の通気性向上が求められ,特に,通気ネックとなる融着帯通気の向上が重要との認識から,高被還元性で,かつ低スラグ成分の焼結鉱が要求された。融着帯において焼結鉱層は軟化・収縮挙動を示し,通気性が極端に悪化する。軟化収縮を抑制するためにはFeOを含めた低融点スラグ量を低減するとともに,スラグ融点を上昇させることが重要である。特に酸化鉄が未還元で残留するFeOの悪影響が著しく,被還元性が強く求められる所以である。さらに,SiO2,Al2O3成分はFeOと結合して低融点のスラグ融液を形成するので,1990年代以降の高PCI高炉操業に際して,Fig.8に示されるように,一層の焼結鉱の低SiO2化が推進された。

Fig. 8.

 Sinter operation and qualities in Japan61).

荷重軟化試験における焼結鉱化学成分の通気抵抗指数(KS値)に及ぼす影響をFig.9に示す。SiO2成分やCaO成分はKS値を上昇させるが,Al2O3成分の影響は小さく,MgO成分はKS値を低下させる60,62)

Fig. 9.

 Effect of sinter component on permeability resistance at S-M test62).

Al2O3成分濃度については,焼結鉱荷重軟化性状への影響が小さいが,高炉スラグ粘度の上昇による排滓性悪化が課題であり,MgO成分の添加やスラグ増希釈による対策が必要となる63)

また,Al2O3成分は焼結鉱製造における溶融過程において固相のSFCAを安定させ融点を上昇させるとともに,融液粘度自体も上昇させる64)。その結果,被還元性は向上傾向にあるものの,冷間強度は大幅に低下し,焼結強度面から強く配合制限される項目となっている。

MgO成分は,焼結鉱製造過程では液相生成温度を上昇させ,強度低下を誘引し易いが,高炉融着帯を評価する高温性状試験では,液相生成温度の上昇とスラグ滴下温度低下から,通気抵抗(KS)または圧損(S)を低下する傾向があり,高炉にとっては望ましい成分60,65,66)である。焼結鉱の低SiO2化の手段として,MgO系副原料の置換(SiO2-MgO→CaO-MgO)が考えられる。SiO2-MgO系副原料である蛇紋岩はCaO-Fe2O3系融液との溶融同化が著しく悪い66)のに対し,CaO-MgO系副原料であるドロマイトはCaO濃度が高いためMgOの悪影響は緩和される。

4・2・3 冷間強度

冷間強度,焼結鉱粒度,成品歩留の上昇は,鉱石間に融液を浸透させ接着・同化させることが基本で,その浸透量は融液量,融液流動性および浸透時間が重要である。このデーターベースとして,焼結過程での酸素分圧PO2=2.1×10−1~1.0×10−6における,少量Al2O3やMgOを含む系での,CaO-Fe2O3平衡液相線図が整備されつつある67,68)。高CaO低MgO低Al2O3が液相率上昇および粘度低減とって有効であるのは明瞭であるが,鉄鉱石のAl2O3上昇時には,ヒートパターン(最高温度,保持時間)の拡大で対処している。

4・3 焼結鉱鉱物組織と品質

焼結鉱に求められる品質は,被還元性,耐還元粉化性,および冷間強度である。前2者については特に焼結鉱中のミクロな鉱物組織の影響を強く受ける。焼結鉱の鉱物組織は,酸化鉄であるヘマタイト(Fe2O3),マグネタイト(FeO・Fe2O3),SFCA,硅酸塩スラグ(Fe-Si-O系複合酸化物)に分類されるが,Fe2+,Fe3+,Ca2+,Mg2+,Al3+,Si4+等の陽イオンが各鉱物の陽イオンサイトとの置換あるいは固溶により,多くの組成を有し鉱物形態も種々存在する。結晶の形態や大きさは焼結過程の処理温度にも影響され,高温化や時間保持により結晶が粗大化する。焼結組織形成は酸素ポテンシャルやヒートパターンが変化するなかでの非平衡状態で行われる。したがって,酸素分圧が高い条件では,ヘマタイトとSFCAが,酸素分圧が低い条件では,マグネタイトと硅酸塩スラグが生成し易い。一方,最高到達温度が高いほどマグネタイトや硅酸塩スラグが生成し易く,冷却速度が速いほどマグネタイトやSFCAが生成し易く,かつ多孔質で細粒結晶が留まり易い。

焼結鉱内の還元ガスの流通は気孔を介するため,多孔質な焼結鉱の被還元性は高い。また,焼結鉱鉱物組織の大きさや形態のRIおよびRDIへの影響解析や単一鉱物サンプルの還元試験より,微細組織の還元速度が速いことが確認されている69)

マグネタイトの還元速度はヘマタイトよりも低い70)。これはマグネタイトの組織が緻密故に還元過程で金属鉄シェルを形成しやすく,還元阻害を起こすとで説明される。

SFCAについては,SiO2やAl2O3を固溶する多成分系であり,その組成は,CaO・SiO2とCaO・3(Al, Fe)2O3とを端面とする直線上にある37)。結晶学的にはFe3+サイトへのSi4+やAl3+置換,さらに電荷平衡上Mg2+置換が随伴するとされる38)

ヘマタイトについては,Fe3+とAl3+間の置換が起こる。脈石に存在するAl2O3成分は,焼結の初期融液とヘマタイトから生成するSFCAを安定させる作用があり,形成酸化鉄(ヘマタイト,マグネタイト)量や硅酸塩スラグを減少させる。これは,焼結鉱のEPMA無作為面分析71)からも確認された。ヘマタイト鉱物中のAl2O3固溶濃度による低温還元時の結晶歪みは確認されなかった72)が,SFCAのAl2O3濃度に応じて強度低下することが指摘55)された。Al2O3やSiO2を固溶するSFCAの還元パス過程が調査され,還元初期段階で,CaO-FeO-Fe2O3系のカルシウムフェライトを経ることなく,SiO2,Al2O3,CaOを固溶するマグネタイト,ウスタイトを経て金属鉄まで還元される反応過程を確認した73)。即ち,SFCA還元で形成される固溶FeO−m.FeのCO-CO2平衡曲線は,純粋なウスタイトFeO−m.Feの平衡曲線を高CO側に少し平行移動した位置となり72),固溶成分による活量の低下分だけ被還元性は低下する。速度論的には,純CO還元における化学反応速度定数と有効拡散係数はヘマタイトと同レベル74)なので,高炉熱保存帯におけるCO/CO2組成に近いガス条件の還元では,SFCAの被還元性は低下することになる75)。このように,極限還元材比を狙う高品質焼結鉱の鉱物組織としてSFCAは岐路に立っており,速度論を重視する「SFCAの結晶サイズを小さくかつ多孔質とする形態制御」を目指す考えと,平衡論を重視する「低スラグ化によりSFCAでない酸化鉄生成」を目指す考えとがあり,焼結鉱の適正CaO,FeO濃度が今一度見直すべき要点である。

4・4 複合造粒プロセス

焼結鉱の平均化学組成の設定自由度は,焼結配合率が高い場合,高炉スラグの成分制約もあり極めて小さい。しかし,焼結反応が不均一非平衡であることを考慮すれば,原料層の成分偏在を利用した焼結組織制御,およびそれを介した品質制御が可能22)である。原料層における成分偏在には,擬似粒子内や充填層内が考えられる。前者については造粒工程の複合化によって,後者は装入装置の工夫で達成される。

明確な結合融液と残留元鉱を意識して焼結組織を造り込み,焼結鉱の還元粉化性および被還元性の両品質を改善する2層構造セミペレット法が提案76)されている。これは,鉄鉱石の周囲をCaO濃化層(CaO;20mass%)で被覆した粒径5mm程度の2層構造型のグリーンボール充填層を焼結するもので,結合融液組成としては低融点であるCaO-Fe2O3系共晶点が選定される。理想的には内核の鉄鉱石を溶融同化させなければ,晶出ヘマタイトを伴わない微細SFCAで元鉱を結合した組織を作り込める。また,核鉄鉱石には微粉鉄鉱石のセミペレットでも可能としている。

この考え方を発展させ,焼結原料を低融点組成の高CaO高Al2O3高FeO原料群と高融点組成の低CaO低Al2O3低FeO原料群に2分割し,各々別個の造粒処理を行って搬送混合物の充填層を焼結する分割造粒法が実用化77)された。このプロセスの主目的は,SFCAとヘマタイトの共存組織が還元粉化性指数(RDI)の高い組織であるという事実に基づき,RDIが極大値となる焼結鉱CaO濃度が10%付近にあることを突き止め,CaO濃度を積極的に高・低偏在させることによって,還元粉化性の改善を狙うものである。

また,粘土成分(Al2O3,SiO2)を多く含む鉄鉱石を選択的に篩分級し,篩下粉を強固に造粒処理して,残る他原料造粒物と混合して焼結する選択造粒法が実用化78)された。この方法も,SiO2,Al2O3成分の高い造粒物と残るCaO成分を含む造粒物を混合するもので,後者に融液を形成させ,前者は極力,同化反応を抑制し,Al2O3固溶量を抑制することによって,還元粉化性の改善を狙ったものである。

なお,上記の複合造粒プロセスの実用化に際しては,造粒強化を目的として,従来のドラムミキサー設備だけではなく,高機能な揺動篩,高速撹拌ミキサーやパンペレタイザーなどが導入されており,造粒の基盤研究79,80)や応用研究81,82)も活発に取り組まれた。

さらに,焼結化反応にとって重要な石灰石とコークスは造粒後の擬似粒子周囲に被覆する方が生産性,還元粉化性と被還元性に有利との知見から,ドラムミキサー後端から高速ベルトコンベヤーで石灰石とコークスを投入して30秒以下の混合と被覆処理を行う外装造粒技術も実用化83)された。なお,コークスの被覆・混合は,Cの燃焼性向上と難付着性コークスの除外による擬似粒子造粒の強化を狙ったものである。

一方,成分偏在による鉱物組織制御ではなく,焼結鉱の気孔構造として,多孔質拡散結合型を狙ったペレットライクな焼結鉱(HPS:Hybrid Pelletized Sinter)も開発84)された。これは,5mm程度の焼成ペレット(球形)を葡萄の房状に結合させた焼結鉱で,高品位微粉鉱を半量使用して2層構造セミペレト型原料による焼結を実用化したものである。セミペレット充填の形状は極力維持すべく,液相生成量を抑制することが重要で,また残存気孔や微細ヘマタイトおよび微細SFCAの焼結組織を狙ったものである。なお,高品位微粉鉱を多量に使用するため,HPS焼結鉱のSiO2濃度は3mass%台と低く,形成鉱物面でも高被還元性を狙える。福山No.5SP85)では,コークスを除く全原料を12台のパンペレタイザーで3-10mm造粒処理し,さらにコークスを添加してドラムミキサーで被覆・混合する設備に改造された。

上述したようにセミペレト法に始まった複合造粒プロセスは,目的に応じて種々の特徴を取り入れ発展普及しつつあるが,2000年以降の増産要請や微粉鉱増加を受けて,生産性向上が重要な目的となっている。

原料の高結晶水化および微粉増加は焼結同化速度を高め,焼結層収縮の活発化から通気空隙の確保を困難86)にしている。そこで,Fig.10に示すような10mm程度の強固な粗大粒子を原料層に部分的に配置し,焼結層通気空隙を確保するための支柱とするMEBIOS (Mosaic EmBedding Iron Ore Sintering)法が提案87)された。この方法は,各実用化された複合造粒プロセスの特徴を焼結原料層形成まで発展させたもので,課題は10mm程度の粗大グリーンボールの必要条件の明確化と,その製造プロセスおよび設備の開発にある。粗大グリーンボールは少なくとも形状保持して焼結層の支柱となることが必要であり,一方でグリーンボール単独でも焼結化して強度保有できるものでなければならない。もちろん,この方法の原料はグリーンボール側とそれ以外の2系列となるが,従来の複合造粒プロセスよりも原料層での偏在単位が大きくなっており,成品焼結鉱のミクロ的な組織制御ばかりでなく,マクロ的な組織制御にも及ぶ87,88,89,90)。この造粒強化や空隙形成の促進を簡易的に実現する手段として,水分を含有しない返鉱を,造粒設備ラインに戻さずバイパスさせ高水分造粒した原料に添加し,水分差のある搬送混合物で焼結層を形成させる通気性改善技術が実用化91)された。以上,MEBIOS法については先駆的な設備導入による生産性改善や焼結層通気網の解析92)がなされているが,積極的な焼結鉱品質改善への挑戦はこれからである。今後の超微粉鉱の増加に際し,均一原料を基本とするペレットと,入荷原料の自由度を担保した複合造粒焼結鉱の展開が注目される。

Fig. 10.

 Image of sinter structure at MEBIOS process87).

4・5 焼結ヒートパターン制御

4・5・1 層高方向の原料分布

焼結層のヒートパターンは焼結鉱品質に多大な影響を及ぼす。焼結反応は短時間であり,最高温度や高温保持時間が焼結鉱の鉱物組織や気孔構造の形成に強く影響する。1300°C前後で,本格的な融液形成が起こること,およびカルシウムフェライトが安定形成されることから,焼結層内は1200~1400°Cの温度に制御することが目標とされる。1400°C以上では,カルシウムフェライトの少ないマグネタイトの多い溶融過多な緻密組織が発達するのに対し,1200°C以下では液相は生成されず焼結しない93)

一般的に焼結プロセスでは原料層中の凝結材中の炭素が吸引空気により燃焼して発熱し,この熱が通気ガス対流伝熱により上層から下層方向に伝播し,ヒートパターンが形成される。表層点火直後の上層部では,燃焼発熱の蓄熱は進まないが,ヒートウエーブが下層に移動するにともなって蓄熱が進み,高温保持時間の長いパターンとなる。すなわち,焼結層高さ方向でヒートパターンが大きく異なる。その結果,層高さ方向で焼結鉱の組織および品質も大きく異なる。この高さ方向のヒートパターン差を是正するため,上層部原料の凝結材中の炭素濃度や低次酸化鉄比率の上昇が,下層部原料はその逆が,装入装置を活用して追求されている。最近のトピックとして,振動フィーダーにより上層30mmにコークスを散布する積極的な上層熱付加プロセスが実用化94)された。また,ミルスケール(m.Fe, FeO)の磁性を利用し,磁場制御した装入装置により,上層でのミルスケール比率を高める技術が実用化95)された。

4・5・2 ストランド吸引ガス

一方,ヒートパターンは点火炉以降の焼結層に供給されるガスによっても,制御が可能である。200~400°C程度の冷却機ガスや主排ガスの焼結層表面からの吹込み96)により熱供給されるが,供給熱が焼結反応に関係する1100°Cまで到達せず,焼結化反応への直接的な影響よりも通気性への悪影響から焼成速度が低下し,全体的な高温保持時間の延長に繋がる。その結果,冷間強度は上昇するものの,還元粉化性や被還元性が低下する。この悪影響に対応すべく,酸素富化を前提とした主排ガス循環が検討され,焼結鉱FeO濃度の低下および冷間強度,被還元性や還元粉化性の維持が報告97)されている。最近,天然ガスを吸引空気に添加し,爆発限界濃度以下の混合ガスを,前1/3の焼結層に供給する技術が実用化98)された。焼結層に吸引されるガスは常温であるが,低濃度であるため焼結層冷却帯の800~1000°Cで燃焼し,下降する燃焼排ガスは,焼結化反応に関係する1200~1300°Cの焼結層ヒートパターンを拡張する効果を得るとしている。最近の冷間強度確保の焼結操業では,凝結材比は極めて高く焼結ヒートパターンが1400°Cを超える部分もあり,この技術の適用によりFig.11に示す通り,1400°C超を抑制し1200~1400°C高温保持時間を延長することによって,SFCAの増加や多孔質組織の増加により,高炉還元材比の低減に効果があったと報告98)している。

Fig. 11.

 Effect of inducing LNG after ignition on temperature distribution in the sintering bed98).

5. 今後の展開

焼結鉱の品質改善は鉄鉱石資源と密接に関わってきた。粉鉄鉱石の大量塊成化に際し,強度と被還元性改善を両立させる石灰石を添加した自溶性焼結鉱が開発された。鉄鉱石の高結晶水化は,焼結への熱量適正領域を狭くさせたが,多孔質化による焼結鉱被還元性の改善に寄与した。一方,鉄鉱石の微粉化は,原料造粒技術開発を促進させた。そして,複合造粒法の適用により,擬似粒子内または焼結原料層において,化学成分偏在を実現し,焼結過程で生成する融液組成や量の制御を介して,焼結鉱の被還元性,還元粉化性,冷間強度各々の改善に貢献した。

今後,高品位鉄鉱石は枯渇しつつあり,低品位鉱石をどのように事前処理して焼結プロセス技術と結合させるかが,大きな課題となる。低品位鉄鉱石には,酸化鉄部分にSiO2等の脈石が細かく混入した組織が多い。これを除去して高品位にするためには,破砕・磨鉱を強化した超微粉単体分離選鉱が必要である。現状,ペレットフィードの粒度は150μm以下が主流であるが,さらなる超微粉化に際しては,比較的選鉱の容易なマグネタイト鉱が主流となる可能性が高い。

シンターフィードの低Fe品位化(高SiO2)とマグネタイト選鉱処理微粉の対応策検討のために,以下の基礎的研究が求められる。

(1)超微粉鉱を意識した造粒強化技術

(2)マクロ,ミクロの両面での複合造粒技術

(1)としては,造粒を支配する鉄鉱石物性を整理した上で,水分操作やバインダー作用の効果についての理論的解析

(2)としては,易融液成分であるFeO融液の性状解析,C燃焼下におけるマグネタイト鉱の酸化溶融反応過程の解析,および擬似粒子構造および原料充填層構造の具体的設計

そして,(1),(2)を実現するためのプロセスおよび設備の開発が期待される。

6. おわりに

100kg/HMT以上の高炉還元材比低減を達成した我が国の自溶性焼結鉱開発試験の主要鉄鉱石は硫酸滓であった。硫酸滓は硫化鉄鉱をばい焼し不純物を選鉱処理した微粉鉄鉱石で,開発開始当時(1954)の国内使用比率は47mass%であった。

また,最近注目されているバイオマス炭は燃焼速度が速く,褐鉄鉱や微粉鉱は融液との同化速度は速い。従来,焼結鉱製造において,凝結材燃焼速度や鉄鉱石同化速度の速いものは「悪い」とされてきた。しかし,焼結鉱製造効率(生産性)の視点からすれば,燃焼速度や同化速度が速いことは望ましい性状である。要は製造に際して反応制御が難しいから「悪い」と評価されるのであって,制御する知恵と工夫があれば評価は逆転する。

資源状況に対応した焼結鉱の生産と品質改善は常に求められている。「必要は発明の母」と言われるように革新的な焼結技術の待望論も強い。20世紀100年の計で総括するならば,我が国は欧米から焼結技術を学び,未開の南半球の良質鉄鉱石を臨海製鉄所で処理し銑鉄生産を行うワールドワイドな展開を図ったのに対し,中国,ロシア,USAは北半球に位置する自国の劣質鉄鉱石資源の活用を図るべく,現地資源に対応した原料処理技術で銑鉄生産を行う地域完結型の展開を図ってきた。劣質鉄鉱石を処理する焼結技術の待望論に接し,新たな品質改善目標の選定とともに,その技術シーズの時代を越えたワールドワイドな勉強の必要性を痛感する。現在活動中の「資源対応型焼結鉱製造プロセス研究会」を始めとする精力的な研究を遂行していきたい。

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  • 55)   T.  Kawaguchi,  S.  Sato and  K.  Takata: Tetsu-to-Hagané, 73(1987), 1940.
  • 56)   N.  Taguchi,  T.  Otomo,  K.  Tasaka and  Y.  Omori: Tetsu-to-Hagané, 73(1987), 1909.
  • 57)   T.  Shinohara,  K.  Nakamura,  S.  Kumaoka,  K.  Kurihara and  K.  Kunitomo: CAMP-ISIJ, 21(2008), 888, CD-ROM.
  • 58)   H.  Noda,  K.  Ichikawa,  S.  Machida and  N.  Sakamoto: Tetsu-to-Hagané, 86(2000), 725.
  • 59)   S.  Ueda,  T.  Miki,  T.  Murakami,  H.  Nogami and  K.  Sato: Tetsu-to-Hagané, 99(2013), 1.
  • 60)  山口一良:高炉を支えた操業技術と原燃料,東北大学出版会,仙台,(2001).
  • 61)  第5版鉄鋼便覧第1巻,日本鉄鋼協会,東京,(2014:発刊予定), 2.1.
  • 62)   M.  Hoshi and  T.  Kawaguchi: CAMP-ISIJ, 9(1996), 813.
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  • 64)   T.  Kawaguchi,  S.  Kasama and  T.  Inazumi: Tetsu-to-Hagané, 78(1992), 1053.
  • 65)   M.  Matsumura,  M.  Hoshi and  T.  Kawaguchi: Tetsu-to-Hagané, 92(2006), 865.
  • 66)   I.  Shigaki,  M.  Sawada,  M.  Maekawa and  K.  Narita: Tetsu-to-Hagané, 66(1980), 1612.
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  • 92)   T.  Kasama,  T.  Inazumi and  T.  Nakayasu: Tetsu-to-Hagané, 78(1992), 1069.
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  • 94)   K.  Sugiyama,  S.  Inaba,  K.  Morioka and  T.  Matsumura: CAMP-ISIJ, 5(1992), 1050.
  • 95)   N.  Oyama,  K.  Igawa,  K.  Nushiro,  M.  Ida and  N.  Fujii: Tetsu-to-Hagané, 86(2000), 309.
  • 96)   K.  Kitamura,  T.  Miyake,  K.  Yanagisawa,  K.  Ono and  T.  Syouho: Tetsu-to-Hagané, 78(1992), 1037.
  • 97)   H.  Noda,  N.  Sakamoto,  K.  Ichikawa,  S.  Machida and  S.  Rokugawa: Tetsu-to-Hagané, 87(2001), 305.
  • 98)   N.  Oyama,  Y.  Iwami,  T.  Yamamoto,  S.  Machida,  T.  Higuchi,  H.  Sato,  M.  Sato,  K.  Takeda,  Y.  Watanabe,  M.  Shimizu and  K.  Nishioka: Tetsu-to-Hagané, 97(2011), 510.
 
© 2014 The Iron and Steel Institute of Japan

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