Tetsu-to-Hagane
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Total Material Requirement of Scrap Steel from End-of-Life Vehicle
Eiji YamasueKazuyo MatsubaeKenichi NakajimaIchiro DaigoKeiichi N Ishihara
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2014 Volume 100 Issue 6 Pages 778-787

Details
Synopsis:

In this study, the concept of total material requirement (TMR) has been introduced to quantify the recyclability of scrap steel from end-of-life (EoL) vehicle. The TMRs for the recycling of scrap steels (urban ore TMR, UO-TMR) from the EoL vehicle have been estimated for four cases; conventional press-method, shredder and separation method, additional recycling of scrap steel from automobile shredder residue (ASR) and all-recycling using the press method, and the trade-off between the increase in function of recycled steel (in other words, decrease in influence of copper as contaminant) and the additional inputs such as pig iron or nickel required to create the increase in function were evaluated. As the results, the estimated UO-TMR ranged 3.7~4.0 kg/kg and the factors of “material itself” and “melting” were dominant. The effect of ASR input into electric arc furnace aiming the all-recycling was found to be canceled by additional lime input and energy to heat glass materials. Considering the dilution process by cold pig iron, the shredder and separation method is most effective in terms of TMR. Further the effectiveness of both dilution process using pig iron and nickel addition to suppress surface hot shortness is discussed.

1. 緒言

社会に蓄積している使用済み製品はいわゆる都市鉱山と呼ばれ,その中には様々な有価物が高濃度で含まれていることもある。都市鉱山に埋もれる種々の資源を効率的にリサイクルすることは,持続可能な資源利用の観点から重要である。都市鉱山としてよくあげられるのは使用済み携帯電話や家電製品であり,そこには金をはじめとする多くの稀少金属が含まれている。一方,建築物や自動車からは鉄スクラップ,アルミニウムスクラップなどのベースメタルがリサイクルされているが,その重量を考慮するとこれらも重要な都市鉱山と考えることができる。

これらの都市鉱山の有効利用においては,しばしばスクラップ等の再生原料の品位や不純物の混入が問題となり,鉄スクラップのリサイクルにおいては,銅やニッケルなどのトランプエレメントの管理が重要である。他方,鉄スクラップの重要な供給源となる自動車リサイクルにおける最も大きな問題に,自動車シュレッダーダスト(Automobile Shredder Residue, ASR)の処理の問題がある。ASRは解体作業でフロンやエアバッグなどの部品を取り外した後の自動車を破砕・選別処理し,鉄スクラップ(Aシュレッダーと呼ばれる)を回収した後に残る残渣のことで,従来は埋め立て処理がおこなわれていたが,2005年に自動車リサイクル法が施行されてからは再資源化が義務付けられている。自動車リサイクル法施行前は精緻解体を伴わないでプレス処理された鉄スクラップもあったが,近年は精緻解体後に一部のガラスやプラスチック部品ごとプレスを行い鉄源として電炉に投入することで,リサイクル率を向上させる方法も注目されており,全部再資源化と呼ばれている。これらのプロセスを導入することで,重量ベースでのリサイクル率は自動車リサイクル法施行前に比べ向上したが,リサイクルが環境負荷,あるいは資源利用量削減にどの程度有効か?といった問題に対し,定量的に調査した例は少ない。Funazakiら1)は使用済み自動車をモデル化してASRの組成を推定し,ASRの直接埋め立てと減容・固化による環境影響の差をLCAの観点から評価している。しかし,シュレッダー処理だけでなく,プレス処理,特に近年行われつつある全部再資源化プロセスを総合的に評価した例は少ない。

著者らは,都市鉱山から回収される素材のリサイクル性について関与物質総量(Total Material Requirement, TMR)の観点から評価する手法を提案している2)。TMRは直接・間接の物質投入だけでなく,採掘に伴う「ずり」や「捨て石」といった経済圏外の隠れたフローを考慮しているのが特徴で,著者らの手法では2種類のTMRを定義している。一つは自然鉱石TMR(Natural ore TMR, NO-TMR)で,ある材料1 kgを自然鉱石から得る場合のTMR(kg/kg)である。もう一つは都市鉱石TMR(Urban ore TMR, UO-TMR)で,ある材料1 kgを都市鉱石からリサイクルするために必要なTMR(kg/kg)である。評価対象となる材料について自然鉱石TMRと都市鉱石TMRを比較することで,その材料のリサイクル性をTMRの観点から評価できる。都市鉱石TMRの特徴は,システムバウンダリが使用済み製品(都市鉱石)の発生から対象となる素材がリサイクルされるまでで,その製品の使用段階や製造に係わる物質投入などは考慮されない点である。この点で,ドイツのWuppertal研究所の提案するTMR3)やMaterial Intensityの枠組み4)と少し異なる。また,都市鉱石のうちリサイクルされない部分は「都市鉱石ずり」と定義される。

2008年3月25日に日本で閣議決定された第二次循環型社会形成推進基本計画のなかで,TMRは推移をモニターする指標として採用されており,その指標としての重要度が認識されつつある。TMRは土地や森林,すなわち「資源端」5)の改変を評価できることが特徴の一つである。わかりやすい例として,例えば,わが国の「たたら製鉄」といった古代製鉄法では,熱源として木炭が用いられていたが,その原料となる森林は20-30年で再生されるように管理されていた。したがってこのプロセスを二酸化炭素排出量で評価すると,完全にカーボンニュートラルな製錬プロセスとして評価される。一方この製鉄法では,砂鉄の採取により土砂の河川への流出が生じており,近隣の環境へ大きな影響があった。TMRを指標として導入することで,温室効果ガス排出以外の側面から見た資源利用に関わる環境影響を評価できるようになる。

したがって,上述の自動車リサイクルをTMRという観点から評価することは,多角的な観点から自動車のリサイクル性を俯瞰するという点で重要である。著者はこれまで家電製品6),携帯電話やノートPC7),建築物8),また鉄鋼スラグからリンをリサイクルする場合9)について都市鉱石TMRを推算し,そのリサイクル性を評価してきた。そこで本研究では,自動車からリサイクルされる鉄スクラップの都市鉱石TMRを種々のケースで推算し,そのリサイクル性を評価することを目的とする。

また,実際に回収されたスクラップには銅等のトランプエレメントが不可避的に混入し,熱間加工割れを誘発するが,この問題にどのように対応するかが近年の課題である。本研究では,銑鉄を用いた希釈プロセス8)やニッケル添加による対策10)について,資源管理の観点から妥当性を検討する。

2. 評価

2・1 評価対象

本研究で想定した自動車リサイクルの処理フローをFig.1に示す。使用済みとなった自動車はディーラー等を経由して解体業者に運ばれる。解体業者では手解体などによりTable 1に示すような再利用可能な部品(エンジン類(鋳鉄製Sブロック),AT・ディファレンシャルギア類,鋼製ディスクホイール,タイヤ,工具類,バッテリなど)が優先的に取り外され,中古部品,リビルト部品のベース等として再利用される。フロン類は回収され,エアバッグは適正処理の後に取り外される。また,燃料タンク,駆動・操舵系,懸架・制御系パーツは半分が国内外で再利用されるとした1)。プレスの場合,ハーネス類やプレスに不必要な樹脂・繊維類はニブラや手解体により二次回収された後,残りがプレス業者に送られる。シュレッダーの場合,特に二次回収されること無くシュレッダー業者に送られるとした。破砕選別業者はプレスまたはシュレッダー処理を行い,後者ではASRが発生する。そこで得られたAプレス,Aシュレッダーは電炉メーカーまで輸送され溶融される。銑鉄やニッケルを用いた熱間加工割れ対策を行う場合,それらは電炉にて投入される。

Fig. 1.

 Assumed recycling flow of End-of-Life vehicle.

Table 1. Component and composition of target end-of-life vehicle excluding gasoline. (unit: kg)
TreatmentComponentWeightFerrous materialsNonferrous materialsNon-metal
AlCuPbZnResinRubberGlassFiberOthers
Collected as parts (100%)Engine150.4107.634.00.60.104.92.31.100
AT/Gear75.747.628.100000000
Steel wheel34.234.0000.2000000
Tire32.04.500.00001602.69.0
Spare tire and tools13.810.7000001.800.31.0
Battery12.00006.601.80003.6
Washer fluid2.50000000002.5
Radiator fluid7.30000000007.3
Oil12.200000000012.2
CFC0.70000000000.7
Subtotal340.8204.362.10.67.006.720.11.12.936.2
Collected as parts (50%)
Press or shredder (50%)
Fuel tank17.215000.201.50.5000
Drive/steering41.937.312.170001.70.8000
Suspension98.294.73000002.2001.3
Subtotal157.3147.02.200.203.23.5001.3
Press or shredder (100%)Electric and electronic parts89.527.08.417.00.30.829.91.43.01.60.3
Exterior and interior158.757.5000059.712.60.724.73.5
Window glass34.00.000001.7032.300
Body409.6391.0000.15.59000013.0
Subtotal691.8475.48.417.00.46.491.314.035.926.316.8
Total1190.0826.872.617.67.56.4101.137.637.129.154.2

本研究では代表的な使用済み自動車を選定する際,子細に渡って組成情報が記載されている船崎ら1)の報告を参考にした。すなわち,対象は1992年に製造され2002年に使用済みとなった自家用乗用車の加重平均を元に決定された仕様を用いた。対象車の重量は車両重量(1220 kg)から燃料(44 kg)を引き,スペアタイヤ・工具類を加えた1190 kgとした。このうち鋼材重量は827 kg(約70%)である。Table 1に船崎らの報告から抜粋した組成情報を示す。

2・2 機能単位とシステムバウンダリ

本研究のシステムバウンダリをFig.2に示す。都市鉱石TMRの推算は使用済み製品が発生した段階から開始し,素材としてリサイクルされるまでが含まれる。ここでは製品使用中の物質投入,たとえば自動車走行中のガソリン消費やメンテナンスの際のバッテリ交換については考慮しない。自然鉱石TMRのフレームワーク5,11)と条件を同じにするため,無害化処理といった都市鉱石ずりの処理はシステムバウンダリ外とした2)

Fig. 2.

 System boundary of this study.

機能単位として「鉄スクラップを融解して得られた鋼1 kg」を設定した。不純物含有部品の除去など前処理の有無等に応じてスクラップの品位は異なる事から,考察においては鉄リサイクルにおける典型的な不純物元素として銅含有率を基準として希釈を想定した評価も行った。

2・3 処理方法の設定

本研究では上述の基本的なリサイクルの流れについて以下のような5つのケースを考慮した。各ケースの部品取り回収物・非回収物,二次回収物(プレス),シュレッダーに回されるもの(シュレッダー),電炉投入物の量をTable 2に示す。これらの組成はシュレッダーに関してはFunazakiら1)の推定値を用い,プレスについてはリサイクル率や鉄含有率などの実績値を元に設定した。

Table 2. Distributive data of materials to various processes.
Case 1Collected as partsNot collectedDisassembledto EAFTotal
Steel277.90.00.0548.9826.8
Aluminum63.10.05.54.072.6
Copper0.60.610.16.417.6
Lead (in Battery, balancer)7.10.00.50.07.6
Zinc (Galvanized steel)0.00.00.06.46.4
Resin1.86.592.90.0101.1
Rubber (tire)17.84.015.80.037.6
Fiber, carbon black12.81.135.90.049.9
Battery fluid3.60.026.30.029.9
Washer fluid2.50.016.50.019.0
Radiator fluid3.63.60.00.07.3
Oil6.46.40.90.013.7
CFC (HFC-134a)0.10.40.00.00.6
Total397.322.6204.4565.71190.0
Case 2Collected as partsNot collectedDisassembledto EAFTotal
Steel277.90.00.0548.9826.8
Aluminum63.10.05.54.072.6
Copper0.60.014.12.917.6
Lead (in Battery, balancer)7.10.00.50.07.6
Zinc (Galvanized steel)0.00.00.06.46.4
Resin1.86.50.092.9101.1
Rubber (tire)17.84.00.015.837.6
Fiber, carbon black12.81.10.035.949.9
Battery fluid3.60.026.30.029.9
Washer fluid2.50.016.50.019.0
Radiator fluid3.63.60.00.07.3
Oil6.46.40.90.013.7
CFC (HFC-134a)0.10.40.00.00.6
Total397.322.163.8706.81190
Case 3 and 4Collected as partsNot collectedCollected by shredderASR & FluidsTotal
Steel277.90.0534.116.5828.4
Aluminum63.10.02.96.772.6
Copper0.60.05.110.316.0
Lead (in Battery, balancer)7.10.00.00.57.5
Zinc (Galvanized steel)0.00.05.41.06.4
Resin1.86.50.092.9101.1
Rubber (tire)17.84.00.015.837.6
Fiber, carbon black12.81.10.035.949.9
Battery fluid3.60.00.026.329.9
Washer fluid2.50.00.016.519.0
Radiator fluid3.63.60.00.07.3
Oil6.46.40.00.913.7
CFC (HFC-134a)0.10.40.00.00.6
Total397.322.1547.5223.11190
Case 5Collected as partsNot collectedDisassembledto EAFTotal
Steel277.90.00.0548.9826.8
Aluminum63.10.05.54.072.6
Copper0.60.015.41.617.6
Lead (in Battery, balancer)7.10.00.50.07.6
Zinc (Galvanized steel)0.00.00.06.46.4
Resin1.86.50.092.9101.1
Rubber (tire)17.84.00.015.837.6
Fiber, carbon black12.81.10.035.949.9
Battery fluid3.60.026.30.029.9
Washer fluid2.50.016.50.019.0
Radiator fluid3.63.60.00.07.3
Oil6.46.40.90.013.7
CFC (HFC-134a)0.10.40.00.00.6
Total397.322.165.1705.51190

2・3・1 ケース1(プレス利用,簡易解体,自動車リサイクル法施行前)

本ケースでは,使用済み自動車は2・1節で説明したように部品取りやハーネスの取り外しを行った後,プレスにかけられるとした。ただし,ハーネス類は粗く回収される。具体的にはエンジンハーネス(90%),エンジンルームとダッシュボードのハーネス(各50%)が回収されるとした12)。自動車リサイクル法施行前は精緻解体を伴わないプレス処理が一般的に行われていたが,本ケースはこのような場合に相当する。経済産業省中国経済統計局の報告13)によると,2005年の使用済自動車の国内処理台数350万台のうち約30万台がこの方式で処理されている。回収される鉄スクラップに含まれる銅濃度は1.14%となる12)。リサイクル率は77.2%と計算される。なお本ケースだけでなくプレスにおいて回収される銅は,全体の銅の量からスクラップ中の銅の量を差し引いた値とした。また本稿でのリサイクル率とは,使用済み自動車の車両重量を分母とし回収される素材の重量を分子として定義した。

2・3・2 ケース2(プレス利用,Cu濃縮部品の一部取り外し,自動車リサイクル法施行前)

ケース1の簡易解体に加えてワイヤーハーネスやモータ等の銅濃縮部品の取り外しを想定した。具体的には,2003年頃の実際の解体レベルと鉄スクラップ中の銅濃度の関係が実測として報告されている「自動車リサイクルに係る処理技術等の調査12)」結果を用い,エンジン部からはハーネス,オルタネータ,スターター,コンプレッサー),エンジンルームからはハーネス,ワイパーモーター,ラジエター,ファンモーター,室内からはハーネス(フロアハーネス以外),ヒーターコア,コンデンサ,エバポレーターの85~90%が取り外されと仮定し,最終的に得られる鉄スクラップ中の銅濃度は0.55%になるとした。なお,このケースでプレス用回収物に含まれる鉄分は約70%で実際の報告12)と良い一致を示した。

プレスされた廃車ガラは電炉メーカーに鉄鋼原料として輸送される。僅かであるが廃車ガラに残った非鉄金属もそのまま電炉に投入される。一方,樹脂や塗料の一部は燃焼エネルギーとなり,減容・リサイクル率の向上につながる。リサイクル率は95.7%と計算される。一方で,電炉への負荷(消石灰の追加投入,歩留まりの低下,ガラスなどの溶融)が発生するという問題も生じる12)

2・3・3 ケース3(シュレッダー利用,ASRは埋め立て,自動車リサイクル法施行後)

本ケースでは廃車ガラの処理にシュレッダーを利用する場合を想定している。発生したASRは管理型最終処分場に埋め立てられるとした。本ケースで回収される鉄スクラップ中の銅濃度は電炉メーカーの要求値である0.3%(1.6 kg)が達成されているとした。この1.6 kgの銅は,Funazakiら1)の推定では考慮されていなかったため,本稿ではASRに含まれる銅(11.9 kg)のうち1.6 kgをシュレッダーで選別された鉄534.1 kgに分配した。この銅を含む鉄が電炉に輸送される。またリサイクル率は77.9%となる。2005年の使用済自動車の国内処理台数350万台のうち約280万台がシュレッダーで処理されているが13),その大部分がこの方式と推察される。

2・3・4 ケース4(シュレッダー利用,ASRからも鉄とアルミニウムをリサイクル,自動車リサイクル法施行後)

本ケースもケース3と同様に廃車ガラの処理にシュレッダーを利用する。ただし,発生したASRからもさらに鉄とアルミニウムが回収されるとした。これはFunazakiらの報告1)を参考にしている。残りのASRは減容・固化処理されて管理型最終処分場に埋め立てられるが,この処理は後述する本研究のシステムバウンダリ外である。またリサイクル率は79.3%となる。

2・3・5 ケース5(プレス利用,全部再資源化方式,自動車リサイクル法施行後)

このケースはケース2の全部再資源化方式とほぼ同じであるが,精緻解体によりケース2に加え,室内のフロアハーネスも取り外されると想定した。その結果,鉄スクラップ中の銅濃度として0.3%が達成される12)。リサイクル率は95.9%と計算される。ケース2と同様に電炉への負荷(消石灰の追加投入,歩留まりの低下,ガラスなどの溶融)が発生するという問題も生じる12)。2005年の使用済自動車の国内処理台数350万台のうち約40万台がこの方式で処理されている13)

2・4 各プロセスの詳細と前提条件

2・4・1 輸送

輸送について,消費者やディーラーから2001年時点で全国に4611ある14)とされている解体業者までトラックで輸送されるとした。輸送距離は既報6)と同様に以下のように推算した。まず,各都道府県の面積A15)を各都道府県における指定取引所数nで除した値をa(=A/n)とする。このaは各都道府県において指定取引所がカバーする平均面積と考えることができる。各解体業者は円状に都道府県内をカバーすると仮定し,a=pr2から計算されるr/2を,消費者から解体業者までの平均直線距離(最大カバー距離(=r)の半分)と考えた。既報6)において,著者は実際の道路距離は直線距離の1.37倍と推定している。本研究ではこの関係を用い,最終的に消費者やディーラーから解体業者までの距離を3.2 kmと推定した。さらに,解体業者からシュレッダー・プレス業者までの輸送距離はFunazakiら1)の報告を元に50 kmとした。さらにシュレッダー・プレス業者から電炉までの距離は,上述と同様の推算法を用いた著者の既報8)から46 kmとした。

2・4・2 プレス・シュレッダー

ケース1,2,5のプレス処理に必要なエネルギーおよび物質投入に関しては,全国自動車リサイクル事業者連盟による「使用済自動車の収集・解体に要したエネルギーとその換算CO2排出量」から自動車1台あたり電力16.66 kWh,軽油1.76 L,灯油6.64 Lとした16)。このデータは,2007年に連盟に所属していた正会員の提出データが用いられており,現場のデータが反映されていると考えられる。ケース2のプレス処理については,精緻な解体が行われるため原単位は増加すると予測される。財団法人金属系材料研究開発センターの報告12)によると,自動車1台の分解に17~33分が必要であると測定されている。このうちハーネスなどの手解体は6~10分である。精緻解体のために,この手解体時間が2倍になるとすると,解体時間は全体として1.3倍となる。これが機器の稼働率にそのまま影響すると考え,上述の原単位が1.3倍になると仮定した。ケース5ではケース2に加え,さらにもう一度手解体(6~10分)をすると考え,プレスに必要な原単位が1.7倍になるとした。

ケース3,4のシュレッダー処理については,NEDOによる報告書「使用済み家電・自動車等の混合処理工程」の報告値17)を適用した。そこでは使用済み自動車を1 t処理するためには電力が64 kWh,A重油が0.25 L,軽油が2.02 L,灯油が0.3 L,冶工具が1.2 kg,油脂類が0.078 kg必要となるとされている。冶工具および油脂類は消耗品と見なし,前者は鉄製,後者は油製とした。電力のTMR原単位は中島らの報告値1.89 kg/kWhを用いた11)。シュレッダープロセスにおける鋼材の回収効率は97%,実施率は100%とした1)。アルミニウムと銅はそれぞれ60%,50%とした1)。また,亜鉛メッキ鋼板は鋼材としてリサイクルされるとした。ASRは225 kgであり,そこには鋼材,アルミニウム,銅,鉛,亜鉛メッキ鋼板,樹脂,ゴム類,ガラス類,繊維類,塗料・接着剤が含まれる。ケース4ではASRにさらに2 kWhの電力を投入して分別を行い,14.8 kgの鋼材と2 kgのアルミニウムが得られ,残りは管理型最終処分場に埋め立てられるとした1)。すなわち都市鉱石ずりとして扱われる。

2・4・3 電炉

電炉において鉄スクラップは既報8)と同様に熱効率30%で1873 Kまで昇温されると仮定した。昇温に必要な理論熱量は純鉄の比熱と融解潜熱18)から推定し,その熱量を得るために必要な化石燃料のTMRを計算した。ケース2や5のように樹脂やゴムといった可燃部だけでなくガラスや非鉄金属まで電炉に投入する場合,スラグ源として消石灰(CaO)を数%余分に投入する必要があるとされている12)。本研究ではその値を5%と仮定した。CaOのTMRはNakajimaら11)の報告より3.18 kg/kgであることが分かっている。また,不純物として含まれるガラスやアルミニウムなども同時に昇温する必要があるので,これも同様に比熱と潜熱を用いて必要な熱量を推定した。電炉に投入された樹脂やゴム類は燃焼しエネルギーとなる。本研究では,これら可燃部の発熱量を27.6 GJ/tとし,これを重油に換算して鋼材やアルミニウムと同様にリサイクルされた物質として扱った。すなわち推算において可燃部(樹脂,繊維,塗料,ゴム類など)にもアロケーションを行った。本研究では溶解時の歩留まりは考慮していないため,各ケースの負荷を精緻に見積もるためには,別途溶解歩留まりによる影響を考慮する必要がある。なお,本研究では各ケースにおける溶解歩留まりは同等と仮定し,溶解歩留まりによる負荷を除いた結果を基に解析を行った。

2・4・4 その他

本研究の推算では,溶解,輸送,破砕プロセスなど複数の材料に共通して投入されるエネルギー・物質のアロケーションについては,価格比でアロケーションを行った。ここで,部品取りしたパーツの価格を推定することは難しい。ただし,Togawa19)がリサイクル業者に対して行ったアンケート結果によると,中古部品販売がリサイクル部門売り上げに占める割合は概ね同等であることが分かった。そこで本研究では,まず鋼材といった材料の価格を計算し,その総額と中古部品販売の総額が同じと仮定してアロケーションを行った。

3. 結果

都市鉱石TMRの計算結果をFig.3に示す。図中Case 1~5は各ケースを表す。各ケースの銅濃度は,この結果では機能単位に含まれていないことに注意しなければならない。Case 4(ASR)は,ケース4においてASRから追加で鉄スクラップを回収する際の都市鉱石TMRで,この場合“Press or Shredder”は電力を用いた選別処理に相当する。なおCase 4(Ave.)はシュレッダープロセスで得た鉄スクラップの都市鉱石TMRとASRから得た都市鉱石TMRを重量で重み付けした平均値である。図から分かるように,内訳にある程度のばらつきはあるものの全体としての値は3.7~4.0 kg/kgの範囲に収まっており,大きな差が無いことが分かる。これは,不純物である銅濃度を気にしない場合,自動車から鉄スクラップを得る際のTMRとしての環境影響はリサイクル法にかかわらずほぼ同程度ということを示唆している。このような結果が得られた理由は,全体のプロセスのうち「融解プロセス」に関わるTMRが支配的であり,その他の項目において生じた差が見えにくいためである。

Fig. 3.

 The UO-TMR of scrap steel for various cases. “Case 3 (ASR)” indicates that the UO-TMR from only ASR in case 3.

推計結果において,「材料自身」,「融解プロセス」は全ケースで同じ値であるため,それらを除いてプロットした結果をFig.4に示す。ケース2,5以外で都市鉱石ずりの値に大きな差は無いことが分かる。これはケース2,5以外ではリサイクル率が近い数値であることに起因する。ケース2,5で都市鉱石ずりの値が小さくなっているのは,可燃部,ガラス類,非鉄金属までもが電炉に投入されたためである。ケース1と3を比較すると,僅かであるがケース3,すなわちシュレッダー処理を用いる方が高い値となっている。これはプレスよりシュレッダーの方が必要とする物質・エネルギーが大きいためである。ケース4がケース3に比べて僅かに小さいのは,ASRから回収される鉄スクラップやアルミニウムスクラップに物質やエネルギー投入をアロケーションできるためである。その分,ASRからの鉄スクラップの都市鉱石TMRは他のケースに比べて大きくなっている。ただし,実際にASRから回収できる鉄は相対的に少ないため,平均値には影響を与えない。ケース2,5において,“Additional inputs”とあるのは消石灰の追加投入とガラス類の昇温に必要なエネルギーである。具体的な値として,前者は0.04 kg/kg,後者は0.26 kg/kgとなった。これらの追加的な物質・エネルギー投入の影響により,ケース2, 5は他の基本ケースに比べ僅かながら最も高い値となった。このケースにおいて重量ベースのリサイクル率は他のケースに比べて改善されているが,一方で電炉メーカーにとっては不安定な操業や炉の劣化をもたらし,TMRはむしろ増加する点が興味深い。

Fig. 4.

 The excerpted view of UO-TMR for scrap steel.

なお,本稿の目的の範疇を超えるので詳細は述べないが,アルミニウムスクラップと銅スクラップの都市鉱石TMRはそれぞれ溶解まで含めて平均で5.3 kg/kg,6.0 kg/kgという値となった。これはアルミニウムや銅の自然鉱石TMRである48 kg/kg,360 kg/kg11)と比べて大変小さい。ただし,これらのスクラップには鉄分や被覆線などの不純物が含まれていることに注意しなければならない。

4. 考察

4・1 不純物銅濃度の影響と銑鉄による希釈プロセスの評価

Fig.3,4で見えにくい情報として,鉄スクラップ中の銅濃度がある。鉄にとって銅はいわゆるトランプエレメントであり,例え都市鉱石TMRの値が同じであってもその銅濃度に違いがあれば,鉄スクラップの質は異なってくる。Fig.5は各ケースの都市鉱石TMRと不純物銅濃度の関係を示したものである。比較として,著者がこれまでに推算した家電製品6),携帯電話やノートPC7),建築物8)の結果についても示している。図から分かるように自動車から得られる鉄スクラップの都市鉱石TMRは他の鉄スクラップと比較して最も低い部類に入る。携帯電話やノートPCから得られる鉄スクラップはさらに低いが,実際に回収できる量が少なく現実的ではない。

Fig. 5.

 The relationship between the UO-TMR of scrap steel from various urban ores and the copper concentration.

このように考えると,TMRの観点では自動車から得られる鉄スクラップは他の都市鉱石から得られる鉄スクラップに比べて優れている。さらに銅濃度を考慮すると,ケース3や4のシュレッダー方式やケース5のような精緻解体を行った上での全部資源化方式が特に有用であると思われる。この問題をより定量的に扱うため以下のような解析を行った。すなわち,多くの実際のプロセスでは冷銑を電炉に投入することで鉄スクラップ中の不純物銅が希釈されている。電炉メーカーの要求値としては一般的に0.3%以下の銅濃度が好まれるため,本研究では各ケースにおいて銅濃度が0.3%になるまで冷銑を添加した場合の都市鉱石TMRの変化を計算した。この計算は不純物銅濃度も機能単位に含めた評価に相当する。なお,冷銑の自然鉱石TMRは8 kg/kgとした11)

計算結果をFig.6に示す。ケース3,4,5は希釈の必要が無く,一方でケース1や2は希釈により大きく都市鉱石TMRが増加しており,全体の半分以上が希釈の影響である。特にケース1は希釈後の都市鉱石TMRが銑鉄の8 kg/kgを越えており,リサイクルをした方が銑鉄製造より負荷が大きくなる。銑鉄の自然鉱石TMRが8 kg/kgにも関わらず希釈後にその値を越えるのは冷銑を融解するために必要なエネルギー相当分が上乗せされているためである。このようにTMRの観点では,ケース2や3のようにシュレッダー方式を用いるか,ケース5のように精緻解体を行った上で全部資源化することが鉄スクラップのリサイクル法として効果的である。

Fig. 6.

 The UO-TMR of scrap steel after dilution process to meet the copper concentration of 0.3%.

4・2 精緻手解体の効果

一方,Fig.3Fig.4においてケース2と5を比較すると,精緻解体の有無によって大きく銅濃度は低下しているが都市鉱石TMRの値に大きな差は無い。これは,自動車からの鉄スクラップの回収において,銅混入量の低減を目的として精緻解体を行ってもその影響はTMRの増加として表れにくいことを示唆している。そこで,ハーネスなどの手解体を考慮しているケース2と5について精緻解体をさらに行うサブケースについて評価を行った。

すなわち,本研究のケース2ではエンジン,エンジンルーム,室内(フロアハーネス以外)のハーネスなどを回収し,ケース5ではフロアハーネスも撤去しているが,ケース5’としてドア(ハーネスおよびパワーウィンドモータ)およびリア部(ハーネス)も回収する場合を考えた。この場合,不純物銅濃度は0.13%となる12)。上述の通り,ケース2,5の精緻解体ではそれぞれケース1の1.3倍,1.7倍の解体時間がかかるとしたが,またケース5’では3つの部品だけで20分要することが報告されているため12),解体時間はケース2の3倍になると考え,プレスに必要な原単位も3倍になると考えた。なお,これらの解体時間の増加量は,著者による自動車リサイクル業者へのヒアリング調査の結果ともおおむね一致する。

Fig.7はケース2,5,5’について都市鉱石TMRと銅濃度の変化を示したものである。図からより精緻な解体を行うことで鉄スクラップの都市鉱石TMRは増加するが,その増加率は小さくケース2と5’で約4%の差でしかないことが分かる。それに対し,不純物銅濃度は大きく低減できている。したがってTMRの観点から言えば,精緻解体による不純物銅の除去は効果が大きいと言える。

Fig. 7.

 The changes in UO-TMR of scrap steel and copper content by advanced disassembling process.

ケース5’についてもFig.6と同様に冷銑による希釈の影響を加味して評価を行った。比較としてケース2,4,5についても評価を行い,追加の機能単位となる銅濃度として最も低いケース5’の0.13%を採用した。Fig.8が計算結果である。ケース5’はさらなる精緻解体によりTMRが増加したが,希釈のための銑鉄は必要なく他のケースに比べて半分程度の都市鉱石TMRとなった。このことからも精緻解体は効果的であることが分かる。

Fig. 8.

 The UO-TMR of scrap steel after dilution process to meet the copper concentration of 0.13%.

4・3 ニッケルによる熱間加工割れ対策の評価

これまで鉄スクラップ中の銅の対策として,銑鉄による希釈プロセスのみ検討してきた。しかし,銅による熱間加工割れの影響を抑制する方法としてニッケルを添加する方法が提案されている10)。この技術は,鉄スクラップ中に含まれる銅の量と同程度ニッケルを添加することにより,銅の固溶を促進し熱間加工割れを防ぐことを目的とする技術である20)。この効果がどの範囲の銅濃度に適応できるかについては著者の調べる限り不明であるが,本研究で対象とした不純物銅濃度範囲ではニッケル添加はその投入量に対して線形に熱間加工割れ防止機能を持つと仮定し,ケース1から5’までニッケルを添加した場合と銑鉄を添加した場合を比較した。なお機能単位は銅濃度で0.13%相当とし,初期銅濃度と0.13%との差の分だけニッケルを添加するとした。なおニッケルのTMRは260 kg/kgとした5)

Fig.9はその結果であるが,総じてニッケル添加を行って得られた鉄スクラップは銑鉄による希釈プロセスを用いた場合よりも都市鉱石TMRが小さい。また銑鉄を用いた場合にはケース5’と大きく差が生じたケース2,4,5でも,ニッケルを用いることで差を小さく抑えることができる。ただし,ケース5’においてはニッケル添加プロセスと銑鉄による希釈プロセスで差はなくなっている。これらの結果をみると,高度な精緻解体が行われない場合,TMRの観点では銅の対策にはニッケルを利用した方が好ましいように見える。しかし,ニッケルは銅と同じく鋼材から除去することが困難なトランプエレメントであり,将来的に銅と同じ鋼材の汚染問題が発生することが懸念される。この汚染問題を解決するためには,結局銑鉄による希釈プロセスを導入しなければならず本末転倒となる。ケース5’ではニッケル添加処理と銑鉄による希釈で都市鉱石TMRの差はほとんど無いことを考えると,高度な精緻解体を行い,それでも対応できない銅の混入については銑鉄による希釈プロセスを導入することが好ましいと言える。

Fig. 9.

 The UO-TMR of scrap steel after dilution by pig iron or detoxification by nickel to meet the copper concentration of 0.13%.

4・4 TMRの観点から見た自動車からの鉄スクラップのリサイクル方針

以上の考察をまとめると,本研究の枠組みの範囲で,自動車からの鉄スクラップの今後は精緻解体の促進が大きな役割を果たすと考えられる。これは全部再資源化プロセスだけでなく,シュレッダーを用いたプロセスにも効果的であることは言うまでも無い。シュレッダーと全部再資源化プロセスの比較では,鉄スクラップの都市鉱石TMRはほぼ同じであるが,電炉の劣化や操業の安定性を考慮すると,シュレッダーの方が好ましいように思われる。いずれにせよ精緻解体はコスト増加につながることが懸念され,それらのトレードオフを総合的に検討する必要がある。この場合に重要な概念はスクラップソーティングである。現実には,コストなどの問題で簡易なリサイクル方式で得られたスクラップと精緻解体を行って得られるスクラップが混在して取り扱われる場合が多い。これらを別個に管理できるシステムを構築し,個々のスクラップの特徴を活かすことが重要である。

他の改善点としては,溶解プロセスのTMRの大きさは無視できないことから,当該プロセスの資源投入量を削減することが挙げられる。現実的には鉄スクラップの再溶融は必要不可欠であると思われるが,その際,希釈用に加える冷銑の代わりに溶銑を使うことができれば,再生産された電炉鋼の総合的なTMRの低減に寄与できると考えられる。

また,本研究では中古部品販売による売上げとスクラップ鉄などの材料リサイクルによる売上げが同じと仮定して推算を試みた。著者のヒアリング調査によると,一部の高度な解体技術を有するリサイクル業者では前者の売上げが後者の3倍程度になる場合があった。この条件の下,鉄スクラップの都市鉱石TMRを再計算すると,都市鉱石ずりのTMRは半減し,全体としての都市鉱石TMRは3~5%低下した。これは大きな変化ではないが,都市鉱石(使用済み製品)中の価値のある部位を価値のある状態で回収することが,残りの部位のリサイクル性の向上につながることを示唆している。

5. 結論

本研究では使用済み自動車から得られる鉄スクラップのリサイクル性をTMRの観点から評価するため,従来のプレスを用いるケース,シュレッダーを用いるケース,シュレッダーで生じるASRからも鉄スクラップを回収するケース,電炉を利用した全部再資源化ケースについて,鉄スクラップの都市鉱石TMRを推算した。その結果,用いるプロセスによって鉄スクラップの都市鉱石TMRはそれほど大きな違いがないことが分かった。ただし鉄スクラップ中の不純物銅濃度には差があり,冷銑による希釈プロセスを考慮するとシュレッダーを用いるプロセスが効果的であることが分かった。また,全部再資源化する場合についても,さらなる手解体を導入してより精緻な解体を行うことで,都市鉱石TMRの僅かな増加に対し,不純物銅濃度を大きく低減できることが分かった。また,ニッケル添加による脆化抑制処理と銑鉄による希釈を比較すると,十分に精緻解体が行われないケースではニッケル添加が好ましいように見えるものの,結局は鋼材中の不純物濃度を増やすのみであり,高度な精緻解体と銑鉄による希釈プロセスを組み合わせた方が最も好ましいことが分かった。

謝辞

本研究の一部は科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)における「科学技術イノベーション政策のための科学」研究開発プログラムの「リソースロジスティクスの可視化に立脚したイノベーション戦略策定支援」研究開発プロジェクトの一環として行われたものです。ここに謝意を表します。

文献
 
© 2014 The Iron and Steel Institute of Japan

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