Tetsu-to-Hagane
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Effect of Groove Shape on Closure of Center Defects in Symmetric Rolling of Round Billets
Tatsuro KatsumuraYasushi KatoJun Yanagimoto
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2016 Volume 102 Issue 10 Pages 567-575

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Synopsis:

Although the closure of defects at the center of round billets on rolling such billets is an important subject, a method of quantity evaluation for such closure has not yet been clarified. Therefore, to explain the effect of rolling conditions including grooved shape, we carried out the experiments with round billet which has an artificial defect and finite element analysis, especially with respect to the integration of the hydrostatic stress Gm. The results showed that grooved shape affected the closure of center defect, and Gm could express the relationship between closure and rolling conditions without the consideration of the difference in the ratio of defect size and roll size. However we found that original Gm could not express the influence of the grooved shape, at the same time.

1. 緒言

社会のインフラを支える鉄鋼材料は,幅広い機械的特性を持ち,そして異なる断面形状を比較的容易に製造できる特徴を有する。このような製品を製造する際には,インゴットや連続鋳造により造られた大型のスラブ,ビレット等を圧延し素材とすることが多い。

これら素材として用いられる半製品は,より大型の鋳片・鋼塊に圧延や鍛造といった塑性加工を行うことにより製造される。大きな,特に大断面の素材を用いることは半製品寸法を自由に作り分けられる利点がある一方,素材断面積の増加により鋳造欠陥を内包,あるいは欠陥寸法が大きくなる傾向にある。したがって,この欠陥の低減が一つの重要な課題である。

鍛造では,このような内部欠陥の閉塞あるいは圧着について,一般には加工度が大きいほど内質が改善される1)ことが知られている。しかしながら平金型による強加工においては,材料中心にマンネスマン効果2)が生ずるため,割れが生じたり閉塞効果が減ずる。そのため,この抑制を目的としたFM鍛造法などの開発3,4)が行われ,加えてその閉塞条件等についても検討されている4,5,6,7)。圧延では強圧下の適用が有効との報告があり8,9,10,11),この圧延や鍛造を行う際に,材料表面と中心に温度差を設けることで,欠陥閉塞をより効率的に行えるといった知見も報告されている12)

圧延における欠陥閉塞は,圧延中のロール接触弧長Ldと平均板厚Hmから得られるロール間隙形状比Ld/Hmで整理できるとの報告が多い13,14)。この結果は実験的手法で得たものであり,実操業に適していたが,そのメカニズムは明らかにされていなかった。これに対し,数値解析の発展に伴いFEMによる変形解析と欠陥閉塞挙動の比較が,特に鍛造で良く行われ,解析から得られる応力場やひずみ場でその挙動が整理できるとの報告15,16)から,パラメータによる閉塞挙動を定量評価する試みがなされてきた17,18,19)

圧延加工における閉塞挙動の定量化は,ロール間隙形状比からも推察できるように,接触弧長あるいは平均板厚に影響される。このため,その接触弧長をパラメータとした閉塞効果の推定20)が提案されている。また平均板厚が小さい方が閉塞には有効であること,すなわち圧下による応力・ひずみが材料中心に有効であることから,静水圧を相当ひずみで除し,これをひずみで積分する静水圧積分なる指標が鍛造解析により提案され21),圧延への適用検討も行われている22)。静水圧積分式は延性破壊を表す式として良く知られるOyaneの式23)と同形態を取っていることから変形による体積ひずみで生ずる欠陥の閉塞を表現しており,この式を実現象と対比すると強圧下圧延の知見,すなわち静水圧が高い場合に欠陥閉塞に有効であるとした知見と同様の傾向を表現できる。よって実際の現象を良く表していると考えられ,実際の製造プロセス検討にも適用されている22)

一方で静水圧積分による閉塞挙動の鍛造適用では,用いる金型により挙動が異なることも報告されている21)。その相違の主な要因は,重回帰により影響係数を求めた結果,相当ひずみがGmの偏差に最も影響を及ぼすとしている24)。また静水圧積分の適用について,欠陥を考慮した検討が行われ,欠陥の周囲に生ずる応力・ひずみ分布がその周囲におけるGmに影響を及ぼしていることも報告されている25)。これらから加工方式の相違がGmの分布,ひいては欠陥閉塞にも大きく影響していることが推察されるが,圧延においては,圧延方式の相違について欠陥閉塞に及ぼす影響の可能性が示唆されているに止まっている。

そこで本報告では,鋼片中心部における欠陥の閉塞挙動と解析を比較し,同時に現在比較的広範囲に適用されつつある静水圧積分値Gmの適用範囲について定量評価を試みた結果を示す。

2. 実験方法

2・1 材料中心に配した欠陥の閉塞挙動調査

本研究の目的である孔型変更による軸心欠陥の閉塞を調査するため,圧延素材に人工欠陥を作成した。欠陥形状は,丸断面鋼片を素材としたため同様の丸断面とし,素材長手方向に貫通孔として設けた。素材は純鉛を用いた。

圧延は冷間で行い,その際の室温は25°Cとした。

用いた孔型はFig.1に示すオーバル,ボックス,ダイヤまたはフラットであり,これらからなる一対のロールを使用した。実験に使用した孔型は,圧延中に接触する面が,それぞれ2面,2面から圧下の増加に伴い最大6面,4面となるよう考慮して設計した。ロール径は最大径となるフランジ部で直径150 mmとした。圧延に用いた材料の寸法は,ビレット外径がφ50 mmおよびφ30 mm,材料中心に設けた欠陥はφ2.55 mm,3.10 mmおよび5.13 mm,長さは150 mmとした。これら実験に用いた材料寸法の組み合わせをTable 1に示す。

Fig. 1.

 Dimension of roll and grooved shape for experiments and FEA (from top to bottom, Oval, Box and Diamond).

Table 1. Dimension of material for rolling test.
outer diameter/mm5030
diameter of center defect/mm5.132.553.10

また実験では圧下率の影響を見るため,それぞれロール間隔を調整することで。素材断面減少率と欠陥の閉塞率の関係を調査した。

本論では断面減少率および欠陥閉塞率をそれぞれRm,Rdとし以下の式で定義する。また圧延後の欠陥寸法は圧延定常部の断面における面積を用いた。

Rm=1−圧延後の素材断面積/初期の素材断面積

Rd=1−圧延後の欠陥部断面積/初期の欠陥断面積

2・2 欠陥閉塞挙動解析に用いたソルバーと解析条件

前報25)で述べたように,欠陥の閉塞挙動を解析により推定するためには,欠陥寸法の影響を考慮すべきである。そこでこの解析をラグランジュ未定乗数法を用いた剛塑性有限要素解析ソルバーCORMILL26)により行った。なお,欠陥閉塞を議論する際に利用した応力場は,丸断面形状素材をダイヤ孔型で圧延した場合,ロールバイト出側近傍で最も応力が大きくなることからロールバイト下死点断面による値を用いた。メッシュは上下左右対称圧延であることから1/4断面とし,この断面内で半径方向20分割×周方向9分割,長手方向にはロールバイト内を8分割程度で入出側に変形域を設け8節点6面体アイソパラメトリック低減積分要素による三次元解析を行った。周方向のメッシュ分割数については事前に外径30 mm,欠陥径3.10 mmの素材を用い,Rm=24%におけるダイヤ圧延で異なった分割数とした解析を行い検討した。その結果,Fig.2に示すように9メッシュ以上の領域ではRmおよびRdの変化が小さく定常域にあるものと判断し,周方向分割数を9メッシュと決定した。また有限要素解析により得られた結果は,鉄鋼材料と鉛の比較についてはH形鋼のユニバーサル圧延27),プラスティシンとの比較は棒材圧延の応力場解析25)の結果から,いずれも十分な精度を有するものとして取り扱うこととした。

Fig. 2.

 Influence of number of circumferential division on change of reduction in area.

変形抵抗は,純鉛の単軸圧縮実験結果をInoue29)・Misaka and Yoshimoto30)の平均変形抵抗式のパラメータに同定し以下の式28)で示される流動応力σeqを与えた。   

σeq=33.81ε0.3ε˙0.07[MPa]

温度分布は均一とし,またロールと材料間の摩擦係数はクーロン摩擦で0.5程度とした。これは実験時にロールのグリップ性を確保するため,表面を意図的にサンドペーパーにより粗度を大きくしたことを再現するためである。このようにして得られた応力・ひずみから後述する静水圧積分値Gmを求め,定量評価を議論した。

なお以降図中,圧延形式として孔型をもたないフラット(平)ロール対の圧延はF-F圧延,オーバル孔型対の圧延をO-O圧延,ボックス圧延はB-B圧延およびダイヤ孔型圧延はD-D圧延と表記する。

3. 結果および検討

3・1 閉塞率に及ぼす欠陥寸法の影響

外径φ50 mm,欠陥寸法φ2.55 mmおよび5.13 mmを有する素材を用いて圧延を行った。欠陥径/素材外径を以後,欠陥径比として定義し,本節では欠陥径比0.1および0.05の比較を行う。

欠陥径比の異なる素材の圧延後断面写真をFig.3およびFig.4に示す。またそれぞれの孔型および断面減少率に対する欠陥閉塞率をFig.56に示す。これらの図においてエラーバーは,鉛素材の欠陥を作製する際に生じた機械加工による加工精度に起因して生じ得ると推定される欠陥閉塞率の範囲を示している。これらより欠陥径比によらず,断面減少率の増加に伴い,欠陥閉塞率は増加している。しかしながら孔型によりその閉塞傾向は異なる。Fig.5に示されるように,欠陥径比0.1の場合には,断面減少率がおよそ0.1を超えるとフラット圧延で最も欠陥閉塞率が高くなる。また断面減少率が0.2を超える領域では,フラット圧延で欠陥は閉塞し,ダイヤ圧延で欠陥閉塞率が最も低くなる傾向を示す。なお解析により得られた幅寸法は,実験値と比較して誤差が2%以下であることを確認していることから,ダイヤ圧延の欠陥閉塞率が最も低位である原因は素材の圧延方向変形が大きい31)ためと考えられる。

Fig. 3.

 Cross sections after rolling with 50 mm O.D. and 5.13 mm I.D. billets.

Fig. 4.

 Cross sections after rolling with 50 mm O.D. and 2.55 mm I.D. billets.

Fig. 5.

 Relationship obtained by experiments between the reduction in area of billet Rm and the one of defects with 50 mm O.D. - 5.13 mm I.D. billets.

またFig.6に示した欠陥径比0.05の場合には,欠陥径比0.1ほど明瞭ではないが,フラット圧延による閉塞の優位性が認められる。

Fig. 6.

 Relationship obtained by experiments between the reduction in area of billet Rm and the one of defects Rd with 50 mm O.D. - 2.55 mm I.D. billets.

これらの比較より今回の圧延条件の範囲においては,欠陥寸法は大きな影響は及ぼさないこと,フラット圧延が閉塞に最も有利であることがわかった。

3・2 ロール径が欠陥閉塞に及ぼす影響

次に素材外径を変更することにより,ロール径比の影響を調査した。ロール径比はロール径を素材外径で除した数値で表すものとした。

欠陥径比0.1,ロール径比5で圧延した材料の断面写真をFig.7に,またその断面減少率と欠陥閉塞率の関係をFig.8に示す。Fig.7においてはフラット圧延とボックス圧延後の断面減少率が同程度であるにもかかわらず欠陥の閉塞量が異なることが認められるが,これはボックス孔型の側壁による拘束が原因しているものと推察される。

Fig. 7.

 Cross sections after rolling with 30 mm O.D. and 3.10 mm I.D. billets.

Fig. 8.

 Relationship obtained by experiments between the reduction in area of billet Rm and the one of defects with 30 mm O.D. - 3.10 mm I.D. billets.

これらとロール径比3で圧延したFig.3との比較から,断面減少率の欠陥閉塞率に及ぼすロール径比の影響が大きいことが認められる。すなわち,フラット圧延においては断面減少率が0.1程度で欠陥は閉塞し,また同程度の他の圧延でも欠陥閉塞率はおよそ0.6程度であったが,同じ欠陥径比のFig.5では0.4程度であったことからも明らかに欠陥閉塞率が高くなっている。この結果は,ロール径比が大きいほど鍛造に近くなり,静水圧が高くなるとされる結果と同様の傾向であると考えられる。

そこで数値解析によりロール径の閉塞に及ぼす影響を解析した。孔型はオーバルとし,フランジ部のロール外径を実験の150 mmおよびこの2倍となる300 mmに設定し,断面減少率を変化させ,欠陥断面積の減少と比べた。この結果をFig.9に示す。同じ断面減少率で比べると,大径ロールでは3・4節で記述する静水圧応力積分値Gmの絶対値が大きいことから前報の結果より,欠陥断面積が効果的に小さくなることが認められる。ここで同図中の断面減少率が0.09程度の解析結果におけるロールバイト内での静水圧応力の推移を孔底およびフランジ部で比較した。これをFig.10に示す。ロール径を変えても孔底での静水圧は大きな変化を示さないが,フランジ部では大径ロール使用時に,より大きな圧縮側の静水圧がかかっていることがわかる。これらより静水圧とその分布が欠陥閉塞に大きな影響を及ぼすことが示唆されたと考える。

Fig. 9.

 Influence of roll diameter on the closure of defect in oval rolling.

Fig. 10.

 Comparison of mean stress with different roll diameter.

また孔型が欠陥の閉塞に及ぼす影響はロール径比の大きい時に明瞭であった。たとえばFig.8における断面減少率0.1~0.15の範囲では,フラット圧延で最も閉塞しており,次にオーバル圧延,ボックス圧延,そしてダイヤ圧延となった。ダイヤ圧延の閉塞性が低位である点については既に述べた通りだが,オーバル圧延の優位性やボックス圧延との差異は必ずしも明確ではない。

3・3 静水圧を用いた閉塞性評価

前節で述べたように,従来,圧延における欠陥の閉塞は,静水圧を用いて評価することが多かったが,板圧延による検討が多く,孔型による影響検討は認められない。そこで実験で得られた欠陥閉塞率と有限要素解析により得られる静水圧を比較した。

圧延条件は断面減面率で0.15程度,フラット圧延を用いたロール径比が異なる場合と,同じ条件でダイヤ圧延を用いた場合を比較した。なおこの解析では欠陥を設けた場合,その孔縁に沿って応力が分布することがわかっていることから,その影響を排除するため素材を中実として検討した。

ロールバイト下死点における静水圧を求め,これを比較した結果をFig.11に示す。同図中,フラット圧延によるロール径比を変えた効果はロール径比が大きい場合に静水圧も高くなっており,従来の考え方が正しいことを証明している。しかしながらダイヤ圧延とフラット圧延の比較では,実験による欠陥閉塞率がフラット圧延の場合に明らかに大きいにもかかわらず,静水圧ではダイヤ圧延の結果が大きくなっている。すなわち,孔型が異なる場合には,静水圧のみで欠陥閉塞を議論することが困難であることがわかった。

Fig. 11.

 Comparison of hydrostatic stress in the difference diameter billet with F-F and D-D rolling.

一方,鍛造では欠陥閉塞に相当塑性ひずみが大きく影響するとの知見があるため,直接欠陥の閉塞に影響を及ぼすと推定される欠陥周辺を含めた相当塑性ひずみを解析により比較した。これをFig.12に示す。フラット圧延では,ロールと接触する外表面近傍で相当塑性ひずみが大きくなり,欠陥の存在する軸心方向へデッドメタル状の比較的高いひずみが分布していることが認められる。この結果から軸心欠陥の閉塞におよぼす主な因子のひとつが相当塑性ひずみであることが確認された。

Fig. 12.

 Comparison of equivalent strain at the exit of roll bite with F-F and D-D rolling.

3・4 静水圧積分値Gmを用いた欠陥閉塞性の検討

前節の検討に基づき,これら静水圧および相当塑性ひずみを考慮できるパラメータとして静水圧積分値Gm21)を用いて欠陥閉塞について検討を行った。ここでは前報25)で検討した,欠陥を想定したFEM解析による孔縁に生ずる応力・ひずみ場から得られる静水圧積分値を用い,Gmにおよぼす孔型の影響を検討した。

静水圧積分値Gmは静水圧応力σm,相当応力σeqおよび相当ひずみεeqを用い,以下の式で示される。   

Gm=σmσeqdεeq(1)
  
σm=(σx+σy+σz)/3(2)

ここでは,ロールバイト中の圧延方向流線におけるGmを断面内の各節点位置で計算した。Gmの計算にあたっては圧延方向流線上で隣り合う節点で得られたひずみ・応力を用い,台形法によりGmを近似値として算出した。

なお本検討に先立ち,実験で得られた断面減少率と欠陥閉塞率の相関に対し,解析のそれがほぼ相違ないことを確認した。その一例として,欠陥径比0.1,ロール径比3の結果をFig.13に示す。Fig.5およびFig.13の比較から,実験および解析は,Rm>0.2におけるフラット圧延の解析がないことを除き,ほぼ良い一致を示すことが認められる。これは完全に欠陥が閉塞するようなフラット圧延における大きなRm,すなわちRm>0.2の条件では,欠陥の閉塞に伴いメッシュが不安定な挙動を示すこともあったため,これを除外したためである。また解析と実験の若干の相違は,人工欠陥が機械加工による0.1 mm程度の直径変動を有していたため,このような差異が現れたものと考えられる。

Fig. 13.

 Relationship between the reduction in area of billet Rm and that of defects with 50 mm O.D. - 5.13 mm I.D. billets (analytical results).

ロール径比5,欠陥径比0.1における断面減少率0.13の圧延条件において解析で得られたGm分布に及ぼす孔型の影響の差異をFig.14に示す。非対称性について検討を行った前報25)の結果と同様,Gmは欠陥孔縁の周方向に分布を有している。またダイヤ圧延ではGmは比較的周方向に均一な値で分布するが,それ以外の圧延では位置により大きな差異があることが認められた。そこで,欠陥閉塞性に相関のあるGmは,欠陥周囲の平均値を用いることとした。

Fig. 14.

 Distribution of hydrostatic stress integration parameter Gm around the defect with 30 mm O.D. - 3.10 mm I.D. billets.

実験条件の範囲とほぼ同等程度に断面減少率を調整し解析を行った。ロール径比3.0,欠陥径比0.1および0.05の結果をFig.15およびFig.16に示す。これらを比較すると,圧延実験の結果と同様,欠陥径比の影響はほとんどないことが認められる。一方で,使用する孔型は欠陥閉塞率に影響を及ぼすが,これは一定領域までGm値で統一的に整理できると思われる。Fig.15において−0.1程度までのGm値の範囲では孔型によるGm値の差はない。しかしながら欠陥閉塞率が0.7から0.8となる結果の比較から,フラット圧延,ボックス圧延,ダイヤ圧延の順で,より小さいGm値でも閉塞が行われることが推察される。この閾値は,−0.07付近のオーバル圧延の結果が断面減少率では同図中0.13程度を示しており,Fig.5の実験結果と比べることにより,その断面減少率では既に孔型影響が出始めている領域である。よって前述のとおり,−0.1程度が閾値であると推察される。Gm値が−0.1以下で大きな相違が生じない理由は,Fig.11およびFig.12のように静水圧応力および相当塑性ひずみは孔型でそれぞれ異なる状態を示すものの,欠陥閉塞にはGm式が示すように両者が影響するため,これらの積で表される効果が同程度であるためと考えられる。

Fig. 15.

 Relationship between hydrostatic stress integration parameter Gm and reduction in area of defect Rd with 50 mm O.D. - 5.13 mm I.D. billets.

Fig. 16.

 Relationship between hydrostatic stress integration parameter Gm and reduction in area of defect Rd with 50 mm O.D. - 2.55 mm I.D. billets.

さらにロール径比5,欠陥径比0.1の圧延条件でも同様に解析を行った。その結果をFig.17に示す。同図の結果より孔型の影響がさらに明瞭に示されていることがわかる。そこで汎用性が高いと考えられるGm値による欠陥閉塞をすべての圧延条件で整理した。これをFig.18に示す。同図より,圧延条件に依らず比較的偏差も少なく欠陥閉塞を整理できることがわかった。さらに得られた結果を重回帰したところ,Gm値でおよそ−0.08程度までは孔型による差違は少ないが,−0.1を超えてから,欠陥閉塞に孔型の影響が出始めることが明瞭になった。−0.1を超える領域は例えばFig.12のφ30材圧延のように,デッドメタル状の変形により相当塑性ひずみが孔縁で相対的に大きくなるために孔型の影響が明瞭になるものと推察される。

Fig. 17.

 Relationship between hydrostatic stress integration parameter Gm and reduction in area of defect Rd with 30 mm O.D. - 3.10 mm I.D. billets.

Fig. 18.

 Relationship between hydrostatic stress integration parameter Gm and reduction in area of defect Rd.

この欠陥の変形をより詳細に検討するため,孔型の相違による閉塞効果の差異をフラット圧延とダイヤ圧延のロールバイト中における変形状況を調べた。これをFig.19に,またこの時の欠陥周辺の相当ひずみ分布をFig.20に示す。Fig.19ではロール接触開始点近傍を破線で,ロールバイト中央部よりやや出側を実線で示した。これらの比較から,フラット圧延では材料中央部が扁平化し欠陥が幅拡がりし閉塞するが,ダイヤ圧延では全体が均一に収縮することがわかった。このことはFig.20の相当ひずみ分布によっても理解できる。これらの相違がFig.14のGm分布のように現れ,閉塞の差異を生じたと考える。

Fig. 19.

 Comparison of deformation of defect between flat and diamond caliber rolling (AoC; arc-of-contact).

Fig. 20.

 Comparison of equivalent strain at the exit plane of roll bite with F-F and D-D rolling at Rm=15%.

以上より,静水圧積分値Gmを用いることで材料中心の欠陥閉塞を良く表現できること,一方でGmが−0.1を超えるような領域では孔型の差違をGm式のままでは統一的に表すことが難しいことがわかった。

4. 結言

丸断面を有する鋼片中心の欠陥について,孔型圧延におけるその閉塞効果を検討するため,純鉛材を用い孔型を変えて実験を行い,また同時に剛塑性有限要素法解析ソルバーCORMILLによる数値解析を行った。その結果得られた知見を以下に示す。

1)孔型の選択は欠陥閉塞に大きな影響を及ぼす。閉塞効果は同じ素材断面減少率で比較した場合,フラット圧延が最も高く,次いでオーバル圧延,ボックス圧延,ダイヤ圧延の順になる。

2)静水圧積分値Gmを用いることで,ロール径比および欠陥径比の影響を受けることなく,欠陥閉塞に及ぼす圧延条件の効果を表現できる。ただし孔型の影響はGm値で一定値を超える場合に依然として残っており,この統一的な表現が今後の課題である。

文献
 
© 2016 The Iron and Steel Institute of Japan
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