2025 Volume 111 Issue 12 Pages 711-719
The declining quality of iron ore fines and increasing re-use requirement of steelmaking slag have led to higher Al2O3 content in sinter products. High grade concentrated hematite ore (concentrate) has been emerged as a potential solution for reducing Al2O3 levels of sinter. However, research regarding on the melting and assimilation behavior of concentrates in sintering process is limited. On the other hand, our previous work demonstrated that Parallel Granulation with Inclined Mixing of Limestone, based on the creation and mixing of pseudo-particles with high and low CaO/Fe2O3 ratios, can improve the sinter strength and productivity. To investigate the melting and assimilation characteristics of concentrates, we conducted melt dripping tests various kind of iron ore, revealing that adhesive layers with high concentrate content have low melt retention capacity. Furthermore, sinter pot tests under single granulation condition showed that when a large amount of concentrate is blended, fragile sinter cake is formed due to insufficient melting and assimilation. Sinter pot tests using Inclined Mixing of Limestone demonstrated that melting and assimilation are promoted by positioning concentrate near abundant melt sources.
鉄鋼業における高炉操業の効率化と環境負荷低減の要求が高まる中1),主たる高炉原料である焼結鉱の品質と生産性向上は重要な課題となっている。一方で,焼結で用いられる主要な粉鉱石の品位は低下しておりAl2O3等の不純物成分が増加している。また,製鉄所における焼結工場での製鋼スラグのリサイクル需要の高まりから,焼結鉱の成品Al2O3濃度は上昇傾向にあり,生産性および品質の低下が懸念されている2)。近年焼結鉱の成品Al2O3濃度低減を目的として,高品位のヘマタイト精鉱が注目されている。しかし,精鉱の多配合においては,残留する未造粒粉によって通気が悪化して生産性が低下することが知られている。そのため,造粒プロセスの改善による精鉱使用技術がいくつか報告されている3,4,5,6)。一方で,焼結生産性や品質の向上を目的とした造粒強化技術の他に,成分の偏在により焼結の溶融を制御する手法が開発されてきた。例えば,擬似粒子内での特定成分の賦存状態を制御した選択造粒法や7,8,9),原料を分割し造粒することで異なる機能を持つ擬似粒子を造粒し混合する分割造粒法10,11,12)が開発されている。著者らは,分割造粒設備において石灰石を不均一に分配させて作り分けた融液供与体(高CaO/Fe2O3)と融液受容体(低CaO/Fe2O3)を混合して焼結する石灰傾斜配合造粒により,付着層中のCaO/Fe2O3(以下,付着層C/F)を適切に制御することで焼結の通気パスの形成と擬似粒子間の溶融同化を促進し,生産性が向上することを明らかにした13)。本プロセスの概要図をFig.1に示す。しかし,鉱石ごとの特性まで考慮した並列造粒での適正配合設計は未だ明らかとはいえない。この観点から,溶融同化における精鉱の影響として,不純物含有量が少なく融液を生成しやすいと考えられるのに対し,造粒原料の核/粉比を低下させるため,付着層中の酸化鉄割合が増加し,付着層C/Fを低下させるため融液生成を阻害する要因にもなり得る。しかし,精鉱のそれらの基礎的な特性に焦点を当てた報告は少ない14)。

Parallel granulation with inclined mixing of limestone.
本報では,並列造粒における精鉱の適切な配合設計を目的として,擬似粒子付着層内での精鉱の溶融および同化特性を調査すると共に,精鉱配合量を変更した鍋試験焼結ケーキのX線CT観察により,精鉱配合時の同化挙動を調査した。また,石灰傾斜配合を模擬した鍋試験において融液供与体と融液受容体にそれぞれ精鉱を優先配置した条件を比較することで,石灰傾斜配合における精鉱の適正配置について調査した。
鉄鉱石ごとの焼成時の溶融特性と生成される融液の流動性を評価するため,Al2O3球の充填層上で各鉱石と石灰石の混合粉末を加熱保持する溶融滴下試験を行った。実験に使用した鉱石A–Dの化学組成および溶融滴下試験に用いるために1 mm以下を篩い分けた重量比率と化学組成をTable 1に示す。鉱石Aは標準的なブラジル産ヘマタイト鉱石である。鉱石Bは高LOI(強熱減量)の豪州産ピソライト鉱石であり,主に結晶水(CW)含有量が高いことに起因する。鉱石CとDはともに北米産ヘマタイト精鉱であり,Al2O3とLOIが低いことが特徴であるが,鉱石Cは1 mm以下の粒度でSiO2含有量が高い。
| Ore type | Composition of whole size particles | Composition of fine particles(<1mm) | −1 mm ratio | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| T.Fe | SiO2 | Al2O3 | LOI | T.Fe | SiO2 | Al2O3 | LOI | |||
| [mass%] | [mass%] | [mass%] | [mass%] | [mass%] | [mass%] | [mass%] | [mass%] | [mass%] | ||
| Ore A | Hematite DSO (※) | 63.0 | 5.0 | 1.4 | 3.3 | 64.7 | 1.5 | 1.3 | 4.2 | 50.1 |
| Ore B | Pisolite DSO (※) | 58.5 | 4.6 | 1.6 | 9.6 | 57.6 | 4.1 | 1.7 | 11.5 | 35.3 |
| Ore C | Hematite Conentrate | 66.1 | 5.0 | 0.3 | 0.1 | 63.4 | 8.1 | 0.3 | − | 89.4 |
| Ore D | Hematite Conentrate | 66.2 | 4.4 | 0.3 | 0.1 | 67.3 | 3.5 | 0.2 | − | 85.2 |
試験の概略図をFig.2に,試験条件をTable 2に示す。焼成時の付着層における反応を模擬するため,各鉱石と石灰石は共に1 mm以下に篩ったものを使用し,混合比はCaO/Fe2O3が所定の値となるよう決定した。各試験の配合の基準としたC/FをTable 3に示す。ベースとなるCase1-1では加古川製鉄所の一般的な配合を模擬した造粒物の付着層組成を基に設定した。また,鍋試験では難溶融性として知られる製鋼スラグを用いているため,製鋼スラグ中のCaOが溶融に寄与しないと仮定し,石灰石と生石灰由来のCaOのみから求めた付着層C/Fでの試験を併せて実施した(Case1-2)。さらに,各鉱石の粒度分布の違いから,核粉比の変化により付着層に配分されるFe2O3量が変化することを考慮し,それぞれ単一鉱石を用いて造粒した場合の付着層C/Fで試験を行った(Case1-3)。さらに,融液滴下性に及ぼす温度影響を考察するため,Case1-1の配合では通常の炉内設定温度1350°Cに加えて1400°Cでの試験も併せて行った。これらの混合粉末10gをMgOスリーブ内に充填したφ3 mmのAl2O3球上にのせ,電気抵抗炉で加熱保持した。熱処理条件はFig.3に示す通り,均熱化のため1000°Cで10分間予熱後,炉内設定温度を1350°Cまたは1400°Cとし,温度到達後3分間保持したうえ炉内で冷却した。別途計測した保持中の試料付近の温度は炉内設定温度よりも30°C程度低い値であった。試験後,溶融物に同化しなかったAl2O3球を回収し,充填したAl2O3球重量との差から取り込まれたAl2O3球重量を算出し流動性指数として評価した。融液流動に及ぼす内部気孔の影響を考察するため,試験後の焼結体をマイクロフォーカスX線CT(東芝ITコントロールシステム製TXS-33000FD)で撮影した。さらに,組織の観点から考察を行うため,試料を樹脂に埋め込んだ後に縦方向に切断し,鉱物相解析機能付きSEM(Thermo Fisher製MLA650F)を用いて鉱物相マッピングを得ることで,断面の融液凝固相および未溶融鉱石の同化状態を観察した。MLA650Fでは,予め登録したEDXスペクトルのデータベースを基に,鉱物相の分類を行う。SFCAの組成は,SiO2, Al2O3などのスラグ含有量から2または3種類に区別してマッピングした。

Schematic illustration of the melt drop test.
| Sample | Mixed Material | Ore (A~D) Lime |
| Material Weight (Ore + Lime) | 10 g | |
| Particle Size | <1 mm | |
| Process | Furnace type | Electric Resistance furnace |
| Treatment Time | 3 min |
| CaO/Fe2O3 [-] | |||
|---|---|---|---|
| Case 1-1 | Case 1-2 | Case 1-3 | |
| Ore A | 0.15 | 0.14 | 0.13 |
| Ore B | 0.24 | ||
| Ore C | 0.09 | ||
| Ore D | 0.09 | ||

Heat treatment conditions.
各鉱石種の配合比が焼成に与える影響を評価するため,焼結鍋試験を実施した。焼結鍋の内径は100 mm,高さは350 mmである。鍋試験に使用した原料配合をTable 4に示す。副原料は,成品の塩基度CaO/SiO2とSiO2濃度がそれぞれ2.1および5.4%となるように配合した。炭材および返し鉱は外数とし,付着層C/Fは各原料の1 mm以下の比率および成分から計算した。鉱石種ごとの溶融性を評価するため,焼成は風量一定(45 Nm3/hr)で行い排ガス中のCO2濃度が0.5%未満になった時点で焼結プロセスを完了とした。焼結後,焼結ケーキを高さ方向に半分に分割し,2 mの高さから2回落下させた。得られた焼結鉱を篩分け,10 mm以上のものを成品とみなした。10~25 mmの焼結鉱を,長さ700 mmのタンブラー内で20 rpmの速度で2分間回転させた。その後,10 mm以上の鉱石の割合を求め,これをタンブラー指数(TI)として算出した。さらに,焼結構造に与える影響を評価するため同じ条件で焼成し分割した焼結ケーキの内部構造をマイクロフォーカスX線CTで撮影し,画像処理ソフト(ボリュームグラフィックス社製VGStudio MAX)を用いて3D画像解析を行った。
| Case 2-1 | Case 2-2 | Case 2-3 | Case 2-4 | Case 2-5 | Case 2-6 | Case 2-7 | Case 2-8 | Case 2-9 | Case 2-10 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Ore A [mass%] | 30 | 50 | 60 | 15 | 0 | 30 | 30 | 10 | 30 | 30 |
| Ore B [mass%] | 30 | 30 | 0 | 45 | 60 | 15 | 10 | 30 | 5 | 0 |
| Ore C [mass%] | 20 | 0 | 20 | 20 | 20 | 35 | 40 | 40 | 45 | 50 |
| Sub material [mass%] | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 |
| CaO/Fe2O3 in −1 mm [-] |
0.138 | 0.162 | 0.129 | 0.146 | 0.150 | 0.121 | 0.116 | 0.121 | 0.112 | 0.108 |
石灰傾斜配合造粒における精鉱の適正配置について考察するため,石灰傾斜配合条件での焼結鍋試験を実施した。焼結鍋は底面280 mm×280 mm×高さ590 mmである。鍋試験に供した融液供与体と融液受容体の原料配合をTable 5に示す。原料全体の配合は一定とし,副原料は単一造粒試験と同様の設計で配合した。原料はドラムミキサで別々に造粒した後,融液供与体が原料全体のおよそ35 mass%となるように融液受容体と混合した。焼成は吸引圧一定(1600 mmAq)で行い,排ガス中CO2濃度が0.5%以下となった時点を焼成完了とした。焼成後の焼結体は高さ方向に3分割して2 mの高さから4回落下させたものを篩分け,10 mm以上のものを成品とした。直径10~25 mmの焼結鉱について,単一造粒と同様に回転強度を測定した。さらに,各条件における焼結組織を観察するため,それぞれの焼結鉱について鉱物相解析機能付きSEMを用いて観察を行い,溶融組織の面積率を算出した。
| LineA + LineB | Case 3-1 Ore C is used for “Receptor” side | Case 3-2 Ore C is use for “Donor” side | |||
|---|---|---|---|---|---|
| Line A (CaO-poor) | Line B (CaO-rich) | Line A (CaO-poor) | Line B (CaO-rich) | ||
| Ore A [mass%] | 30 | 32.2 | 26.4 | 50.0 | 0 |
| Ore B [mass%] | 30 | 24.2 | 39.6 | 21.7 | 42.5 |
| Ore C [mass%] | 20 | 32.2 | 0 | 16.7 | 25.0 |
| Lime [mass%] | 11.2 | 7.2 | 17.7 | 6.7 | 18.0 |
| Others [mass%] | 8.8 | 4.2 | 16.4 | 5.0 | 14.5 |
| Subtotal [mass%] | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
| Mixing ratio [mass%] | − | 62.1 | 37.9 | 60 | 40 |
| CaO/Fe2O3 in −1 mm [-] |
0.12 | 0.07 | 0.28 | 0.08 | 0.20 |
炉内設定温度一定(1350°C)において,付着層C/Fと鉱石種を変化させて溶融物と同化したAl2O3球の重量を評価(Case1-1,2)した結果をFig.4に,各鉱石の粒度分布を反映して付着層C/Fを設定した試験(Case1-3)の結果をFig.5に,Case1-1の配合について炉内設定温度1400°Cで行った試験の結果をFig.6に示す。鉱石種によらずC/F=0.14から0.15への増加に伴い流動性指数は増加した。これは,付着粉量一定の条件下でC/Fが増加したことにより滴下する融液量が増加したためと考えられる。鉱石Bはいずれの条件においても他鉱石よりも流動性指数が低く,特に核粉比を考慮した試験(Case1-3)では,鉱石Bは1 mm以下比率が比較的低いため付着層C/Fが極端に大きな値(0.24)となるにも関わらず,他鉱石と比較して流動性指数に大きな差異は見られなかった。これは,鉱石Bが多量の結晶水を含むため,融液量が増加しても後述する融液中の気泡によってAl2O3球層への滴下が進行しづらいためと考えられる。

Effect of ore type and CaO/Fe2O3 on melt drop ability.

Effect of ore type on melt drop ability (CaO/Fe2O3 is determined from under 1 mm ratio of each ore).

Effect of ore type on melt drop ability at 1400°C
精鉱である鉱石C,Dについて,高C/F(=0.15)かつ炉内設定温度1350°Cにおいては鉱石Aよりも高い流動性指数を示し鉱石D>鉱石C>鉱石Aとなるが,低C/F(=0.14)や溶融が進行した高温下(1400°C)では大きな差が見られなかった。これらの結果から,高C/Fかつ比較的低温においては精鉱からの融液生成が優位に進行し,その効果は特に不純物の少ない鉱石において顕著に得られる。
3・2 融液滴下試験における焼結体構造と組織の評価炉内設定温度1400°Cで試験を実施した焼結体のCT撮影像をFig.7に示す。結晶水を含む鉱石A, Bでは,焼結体内に多数の気孔が認められた。これは熱処理中の融液が多量の気泡を含む気液混合相であり,Al2O3球充填層間隙への滴下が気泡によって阻害されたことを示すと考えられる。精鉱である鉱石C, Dでは焼結体内の気孔は少なく,鉱石A, Bよりも下方へと融液が滴下している様子が認められた。一方で,精鉱を用いた焼結体の表層である最上面には細かな凹凸が多く,平滑な面がほとんど見られなかった。これは表層部が融液に覆われておらず,未溶融鉱石の表面が露出しているためと考えられる。

X-ray CT image of melt drop sample of case 1-1 at 1400°C.
鉱石A, C, Dの焼結体断面のAl2O3球層直上の領域における鉱物相マッピング像をFig.8に示す。鉱石Aについて,気孔を除いた基質領域は比較的均一であり,微粒の未溶融鉱石とSFCA相が混じりあった固液混合相が観察された。一方で鉱石Cでは,Al2O3球直上と上方の表層部付近では様相が異なっており,表層部付近では未溶融鉱石の比率が高く鉱石の間隙にはスラグ相が多く見られた。対してAl2O3球直上では比較的液相率が高く,SFCA相が主体であった。また鉱石Dは鉱石Cと比較してSiO2量が低いためスラグ相の生成は顕著でないものの,未溶融鉱石とCF相の分布は鉱石Cと同様の傾向であった。本実験で用いた北米産精鉱は1 mm以下の比率が大きいものの,付着層中では比較的大きなサイズとなる数100 µmの粒を多く含んでいる。加えて鉱石内部に結晶水由来の気孔を形成せず緻密な構造を持つため比表面積が小さく反応性が低い。葛西らは擬似粒子付着層を模擬したタブレット試料における生成融液の流動について検討し,脈石成分が少なく鉱石粒度が粗い場合において生成融液が周囲の原料との同化よりも流動を優先することで早期に滴下する現象を報告しており15),本実験においても精鉱は鉱石表面に融液を保持しづらい性質を持つと考えられる。そのため,低温の試験において融液が鉱石の間隙を流れ落ちることで早期に滴下を開始し,鉱石AやBよりも良好な流動性指数を示したと推定できる。一方で,高温の試験においては鉱石A, Bでは鉱石の溶融が進行し融液量が増加することで流動および滴下が促進されるのに対し,精鉱の場合には生成した融液が鉱石表面に留まらずに下方へと流動してしまい,鉱石周囲に融液源となるCaO成分供給されないことで鉱石の溶かし込みが進行しづらく,融液量が大きく増加しないため,保持温度が上昇しても流動性指数が大きく変化しなかったと考えられる。また,融液を保持できず表層部に取り残された大量の未溶融鉱石はスラグを主体とした少量の融液凝固相に接着される形で焼結していた。これは焼成においても精鉱の多量配合は付着層領域において融液との同化が十分に進行していない未溶融粒子が多量に残存し,脆弱な焼結部を形成する可能性を示していると考えられる。

Mineralogical phase map of cross-sections of the melt drop test sample of case 1-1 1400°C.
単一造粒焼結鍋試験において,付着層C/Fを変えたときの焼成結果をFig.9に示す。生産性,強度共に付着層C/Fが0.115を下回ると配合によらず,顕著な悪化が認められた。鍋試験に用いた鉱石の内,鉱石Cが最も1 mm以下の比率が大きいため,鉱石C配合率の増加に従って付着層C/Fは低下する。焼結ケーキ構造への影響を評価するため,焼成後高さ方向に分割した焼結ケーキ上部の試料について撮影した3次元CT像について,画像処理ソフトで塊成化サイズの分布を評価した。特徴的な領域についてサイズをカラーマップで表現したものをFig.10に,3次元像全体から得た体積分布を球換算径に換算し整理した結果をFig.11に示す。評価にあたっては塊成化サイズを表現するため,画像処理ソフトのフォーム/パウダー解析機能を用いて基質の細い場所を分割する処理を加えた。また,焼結体内部の気孔により過剰に細かく分割されることを防ぐため,各焼結ケーキの3次元像は事前に焼結体内部の明度をぼかす処理を施している。Fig.10に示されるように付着層C/Fの高い条件ではサイズの大きな気孔領域と焼結体領域に2分化して塊成化が進行しているが,付着層C/Fの低下に伴ってその度合いは減少し,最も付着層C/Fの低いCase 2-10では細かな焼結体と細い気孔が入り組んだ脆弱な構造が観察された。融液滴下試験の結果から,これは付着層C/Fの低下により生成する融液量が減少し,融液が周囲に拡散しづらくなっただけでなく,付着層中の精鉱が増加することで融液が保持されづらくなり,溶融相と未溶融鉱石の同化が阻害された結果と考えられる。

Effect of Ore blend in sintering pot test. (a) productivity, (b) sinter strength.

Contour plots with color-coded cluster size of the sinter cake.

Cluster size distribution of the sinter.
石灰傾斜配合において精鉱を融液供与体および融液受容体へそれぞれ優先配置したときの焼成結果をFig.12に,これらの焼結ケーキを分割後,上部のケーキから得られた焼結鉱の鉱物相マッピング像をFig.13に,生成した融液量を比較するため各条件焼結鉱4個の断面についてSFCA相の面積率を計測し比較した結果をTable 6に示す。全体の配合は同一であるが,精鉱を融液供与体に配置することで生産性および強度は共に向上し,焼結鉱中の溶融相も増加した。これらの結果から,石灰石傾斜配合における精鉱の配置が溶融同化現象に及ぼす影響のイメージをFig.14に示す。付着層C/Fの低い融液受容体へと精鉱を配置した場合,受容体側の付着層は精鉱とCaOが反応して少量の融液を生成するものの,融液滴下試験の結果に見られるような精鉱の特性により融液を保持し難いため周囲と十分に同化できず脆弱な焼結体を形成すると考えられる。いっぽう,精鉱を融液供与体側に配置した場合は,供与体の付着層に融液源であるCaOが多量に偏在しているため,生成した融液が流動する過程で精鉱中の微粉も巻き込み一体の塊成物となり,強度を確保することが可能であると考えられる。

The results of sinter pot test.

Mineralogical phase map of sinter particle.
| Case3-1 (Ore C in Receptor) | Case3-2 (Ore C in Donor) | |
|---|---|---|
| SFCA | 36.5% | 37.6% |
| SFCA-I | 4.1% | 6.7% |

Schematic diagram of effect of concentrate placement on sintering with inclined mixing of limestone.
精鉱の溶融同化特性を明らかにし,石灰傾斜配合造粒における適正配合設計について検討するため,融液滴下試験および焼結鍋試験を行い,鉱物相解析および構造解析の結果から以下を明らかにした。
(1)不純物やLOIの含有量が少ない精鉱は低温かつ高CaO/Fe2O3の条件下で生成融液の周囲への拡散を促進するが,精鉱表面へ融液を保持しづらい。
(2)単一造粒における焼結鍋試験結果から,精鉱を多量に配合した場合は付着層が融液を保持できず塊成化が阻害されることで脆弱な焼結体が形成される。
(3)石灰傾斜配合造粒においては融液供与体側(高CaO/Fe2O3)に精鉱を優先的に配合することで,精鉱の同化を促進し,生産性および強度の高い焼結体を生産することができる。
本論文に関して,開示すべき利益相反関連事項は存在しない。