沖縄本島には琉球固有信仰に基づく集落祭祀の場として神アサギがある。特に本島中部(以後、「中頭」と称する)から本島北部(以後、「やんばる」と称する)にかけて数多く分布するが、本島最北端に位置する国頭村においては13の神アサギの存在が確認されている。琉球固有信仰の衰退が指摘されて久しいが、国頭村において神アサギの消失はなく、さまざまなあり方を模索しながら維持を図っている。本稿では特に国頭村安波集落において新たに建造された神アサギについて、その形態と空間の変容を主題として、特にR.カイヨワの提唱した「遊」の概念の適用を検証しながら、神アサギ(空間を含む)の性質の変化を明らかにする。