季刊地理学
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論文
ミャンマーにおける1988年経済自由化後のマンダレーの新市街地住民の社会的特性と移動パターン
ティン モー ルイン
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2010 年 62 巻 3 号 p. 109-126

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抄録

ミャンマー北部の中心都市マンダレーにおいても,1988年以降の経済自由化と経済成長に対応して市街地南郊に大規模な新市街地が形成された。本稿は新市街地の住民の社会的特性と移動パターンについて主にアンケート調査によってデータを収集し,検討した。その結果,住民の多くはインフォーマルセクターに分類される零細な自営業者であった。そのほか都市の雑業に従事する世帯主が多かった。一方,サラリーマン層である公務員および民間企業勤務者は少なかった。しかし,住民の多くは土地,家屋ともに所有していた。しかも,住民の多くは旧市街地からの転居者であり,地方農村部からの流入者はごく少数であった。したがって,マンダレーの新市街地の居住者の多くは,旧市街地の過密から逃れ,将来の生活保障になる不動産を購入したインフォーマルセクターの人々からなるとみなし得た。そのような市街地の拡大は外国からの直接投資に牽引された郊外の都市化というよりも過剰都市化による過密の解消を意図した動きと位置づけられた。

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© 2010 東北地理学会
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