季刊地理学
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研究ノート
八重山諸島から採取したビーチロック試料の較正年代と安定炭素同位体比(δ13C)
小元 久仁夫
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2014 年 65 巻 4 号 p. 207-221

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抄録

八重山諸島の8島26地点から採取した115のビーチロック試料について14C年代測定とδ13Cの測定を行った。この試料に木村ほか(2003)の2試料を加えて較正年代を決定し,八重山諸島のビーチロックの形成年代と,海浜堆積物を膠結した炭酸カルシウムの給源について考察した。その結果は次の通りである。
 1) ビーチロックは,およそ5,560~5,260 cal BP(第1期),5,020 cal BP,4,700~4,660 cal BP,4,360~4,050 cal BP,3,810~3,710 cal BP,3,530~500 cal BP,そしてごく最近までの7期にわたり形成された。
 2) ビーチロック試料のδ13Cの最大,最小および平均値はそれぞれ9.4‰,-4.95‰ および2.99‰である。また117試料中の80試料(68.4%)のδ13Cは,海洋生物のδ13Cの範囲(+2‰~-2‰)外にある。
 3) δ13Cの数値から海浜堆積物を膠結した炭酸カルシウムの給源は,海水のみでなく,海水と淡水の混合水を起源とする可能性を示唆し,また陸水性続成作用による影響を受けた可能性(再結晶)も考えられる。

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© 2014 東北地理学会
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