本研究の目的は,内モンゴル自治区を事例に農民専業合作社の組織形態を検討し,その特質と課題を明らかにすることである。具体的には,合作社の設立経緯に注目し,どのような理由で組織化に至ったのかを分析し,合作社における各主体の結合関係を検討した。その結果,合作社の設立経緯は,第一に農畜産物の販売力強化のために組織化されていること,第二に政府からの補助金が合作社の設立の直接的契機となっていること,第三に組織形態は,水平的というよりもむしろ,垂直的な形態であることが明らかとなった。農民専業合作社は,協同組合的な萌芽を持っているが,龍頭企業や産地商人による急速な組織化を経験している過渡期にあると言えよう。