季刊地理学
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研究ノート
沖縄県伊江島の海洋リザーバー効果(ΔR)とその意義
小元 久仁夫中村 俊夫松島 義章
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2018 年 70 巻 1 号 p. 17-26

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抄録

伊江島南部には26の遺跡が立地している。その中のナガラ原第三貝塚,カヤ原遺跡A地点およびナガラ原東貝塚から採取された9個の貝殻と4個の木炭をペア試料としてAMS 14C年代測定を行い,ΔR(local marine reservoir value)を計算した。

その結果,ナガラ原第三貝塚(3,400 cal BP)のΔRは250±26 14C yr (n=2),カヤ原遺跡A地点(1,300 cal BP)のΔRは132±21 14C yr (n=5) となった。一方,ナガラ原東貝塚(1,500 cal BP)のΔRは−38±27 14C yr(n=2)となった。

上述の数値は,およそ3,400~1,300 cal BP間にΔRが250±26 14C yrから132±21 14C yrまで変化したことと,約1,500~1,300 cal BP間においてΔRが−38±27 14C yrから132±21 14C yrまで変化したことを示している。

 上述のΔRを使用することにより,伊江島の遺物や遺跡,サンゴ礁地形および堆積物などの暦年代を決定することが可能となる。その結果,考古学・地形学・地震学など,伊江島および周辺地域における第四紀研究の進展が期待される。

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© 2018 東北地理学会
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