東北地理
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新潟県における航空旅客の分布・流動パターン
井田 仁康
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1991 年 43 巻 4 号 p. 276-286

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抄録

新潟県を出発地・到着地とする航空旅客の多くが利用するのは新潟空港である。新潟空港の乗降客数は, 上越新幹線が開業する前の1981年までは増加傾向にあったが, それが開業した1982年から1983年にかけて乗降客数は激減した。1983年の航空旅客動態調査に基づき, 新潟県における航空旅客の分布をみると, 新潟市と長岡市において航空旅客数が著しく多いが, 市部においてはその数が多くなる傾向がある。さらに, 航空旅客数と地域属性との関係を明らかにするために, 各市町村の社会経済的特徴を表すと考えられる13の変数に因子分析を施し, そこで得られた3因子の因子得点と空港からの距離を独立変数とし, 航空旅客数を従属変数として重回帰分析を行った結果, 航空旅客数はその地区の都市性と深く関係していることが明らかになった。また, 社会経済的特徴からみると, 多くの市および新潟市周辺の町村ではより多くの航空旅客が期待できるのである。新潟県を出発地・到着地とする航空旅客の流動に注目すると, 多くの都道府県との間に航空旅客流動を生じているが, 特に, 北海道, 宮城県および京都府, 奈良県以西の府県との流動が多い。その中の北海道, 南九州, 沖縄県などの比較的長距離の流動において, 新潟県の居住者および観光客の割合が高くなる。他方, 新潟県と中京, 関西, 四国, 九州北部の県間とに生じる流動では, 新潟県に居住しない者の割合およびビジネス客の割合が高くなる傾向にある。

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