季刊地理学
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明治中期の酒田町における所得上位者の所得源泉について
葛西 大和
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2003 年 55 巻 1 号 p. 1-19

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抄録
明治以降の近代における日本の都市発達に関する従来の都市地理学の研究においては個別都市の性格を規定する上で重要な役割を演じる都市の経済主体に関する分析が欠落していることを自覚して, 筆者 (葛西, 2000) は先に酒田町について都市住民の階層構成の特徴と有力商工業者の社会経済的地位についての分析を行った。本研究はその続編をなすもので, 都市住民階層の上層部を構成する所得上位者の所得内容の分析から酒田町の経済的存立基盤と都市の性格の変質について論及したものである。
酒田の都市住民階層において上層部を形成している1895 (明治28) 年度の所得で上位から78人 (近村在住者を含めると92人) の所得の源泉を個別に分析した結果, 有価証券投資からの収入が一定の比率に達し圧倒的資力を誇る最上層を例外として, 所得階層が上がるにつれて地所収益の比率が比例して上昇していること,「営業収益」が10%強にすぎないこと, 有力商工業者は明治10年代後半に盛んに土地を取得していることなどが明らかとなった。すでに大地主化していた資産家に加えて, 土地所有規模に大小はあれ, 有力商工業者の大多数が地主化することによって明治中期の酒田町は, 商都というよりは農村社会と深く結合した地主化した富豪が支配する社会に変質していた。
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