季刊地理学
Online ISSN : 1884-1252
Print ISSN : 0916-7889
ISSN-L : 0916-7889
CORONA衛星写真による土地被覆分類の試み
北京市を例に
田 然
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 60 巻 2 号 p. 77-88

詳細
抄録

1972年以降, Landsat MSSデータの利用が可能となり, 広域および長期間の土地被覆の変化も検討されるようになった。しかし, アジアの多くの国々では, 1970年代以前の土地利用については具体的な情報が記録されていない地域も少なくない。
本稿では, 1967年11月5日に撮影され, 白黒フィルムで地上解像度が約3mのCORONA衛星写真を利用して, デジタルデータ解析により土地被覆分類を行うとともに, その解析方法について検討した。
1980年代の1/10万の地形図を使い, 橋, 交差点, 建物の角などを用いて幾何補正を行い, さらにノイズ処理を行った後に, デジタル化したCORONA衛星写真の輝度値により, 土地被覆を分類した。分類にあっては, 大きな建物や道路については幾何パターンを用いて抽出し, デジタル化した1927年の1/2.5万地形図と比較しながら修正を行った。また, 3つの地域に分け, 出現可能性や変化傾向を考慮しながら修正を行った。
上記の方法を利用したCORONA衛星写真は, 1960年代の土地被覆状況を把握するための有効なデータであることが確認された。

著者関連情報
© 東北地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top