根室半島のハンモック分布地において, ハンモック表面およびハンモック間に生育している植生を調べた。植生からみて, 調査地のハンモックは, スゲなどの湿原植物種に覆われるタイプ, 牧草種に覆われるタイプ, 主に森林内で出現する乾燥を好む植物種に覆われるタイプに分けられた。湿原植物に覆われるタイプでは, ハンモック表面は完全に植被されていたが, ハンモック間は無植被であった。この植被率のコントラストは, 不均一植被に起因する差別的凍結を引き起こした可能性がある。それ以外のタイプでは, ハンモック表面とハンモック間での植被率および生育種にあまり違いがなかった。また, 森林内のハンモックにはしばしばササが侵入しており, これらは湿原の乾燥化によって化石化したものである可能性が高い。