Thermal Medicine
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ソフトヒーティングハイパーサーミア用多方向励磁システムと臨床用励磁コイルモデル
降矢 健太郎村津 宏樹佐藤 忠邦田倉 哲也佐藤 文博松木 英敏
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2011 年 27 巻 2 号 p. 41-49

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抄録

ソフトヒーティングハイパーサーミアは細長い素子を体内に埋め込むハイパーサーミアの一つである. 発熱素子は体外の励磁コイルによる高周波磁界によって発熱する. 発熱素子は感温磁性体を金属環で包んだ構造である. 素子はキュリー温度以上に上昇しない特徴を持つ. これにより温度の自動制御性を有するため加温範囲は限定され, 安全な治療が可能となる. 素子の発熱量は磁界強度, 励磁周波数, 発熱素子と入射磁界の成す角に依存する. 例えば, 素子長軸と入射磁界が平行な場合に最もよく発熱する. しかし, 素子一本当たりの加温範囲は限定されるため, ソフトヒーティング法は腫瘍に対して複数の素子を様々な方向から埋め込むことを想定している. 従って, 単独のソレノイドコイルや平板コイルではほぼ一定方向しか励磁できないため, 患部において多方向磁界の生成が必要となる. 多方向磁界を得るには少なくとも二方向の磁界源が必要なため, 二つのコイルを用いる. 二つのコイルの電流位相差を90度にすることは多方向の励磁が可能な回転磁界の条件として良く知られている. しかしながら, 二つのコイルに電磁結合が存在する場合, 誘導電流により電源が破損する恐れがある. 加えて, 電磁結合が全くないコイルモデルでは人体への適用が難しい. そこで我々は多方向励磁法と臨床用コイルモデルの一例を提案した. これは二つの異なる励磁周波数を使い, ある位置において, 多方向磁界が得られる手法である. また, 電磁結合が存在するコイルモデルでも安全に駆動できる特徴を持つ. 我々は本手法を用いて, 様々な方向に設置した発熱素子の加温に成功した.

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© 2011 日本ハイパーサーミア学会
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