Thermal Medicine
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ヒト口腔扁平上皮がん細胞において低分子干渉RNAを用いたヒートショック転写因子1の抑制はマイルドハイパーサーミアとハイパーサーミアの感受性を増感する
田渕 圭章古澤 之裕和田 重人大塚 健三近藤 隆
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2011 年 27 巻 4 号 p. 99-108

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抄録

様々ながんに対して, 抗がん効果が期待できるハイパーサーミア (HT) が適用されている. しかしながら, ヒートショックタンパク質 (HSP) の誘導によりがん細胞が温熱耐性能を獲得し, HT効果を減弱させることが知られている. 近年, ヒートショック転写因子1 (HSF1) の抑制が温熱感受性を上昇させることがいくつかの種類のがん細胞で示された. 本研究では, ヒト口腔扁平上皮がん (OSCC) 細胞においてマイルドハイパーサーミア (MHT) とHTの感受性に対する低分子干渉RNA (siRNA) を用いたHSF1の抑制の効果を検討した. ヒトOSCCであるHSC-3細胞へのsiHSF1-2 (HSF1に対するsiRNA) の添加は, 37°Cにおいて時間依存的にHSF1タンパク質レベルを抑制し, その添加48時間後でほぼ完全なHSF1のノックダウン効果を観察できた. HSC-3 細胞へのMHT (42°C, 90分) とHT (44°C, 90分) 負荷によりHSPであるHsp70, Hsp40とHsp27の顕著な発現誘導が観察された. 一方, これらの発現は, 正常と温熱負荷条件においてHSF1ノックダウン細胞で有意に減少した. HSC-3 細胞においてHSF1ノックダウンは, 37°Cにおける生存細胞数を抑制したので, HSF1は通常の細胞増殖に必要であると考えられる. また, MHTとHTの感受性は, HSF1ノックダウンHSC-3 細胞において顕著に増感された. さらに, HSF1ノックダウンによるこれらのHT感受性の増感効果は, 他のヒトOSCC であるHO-1-N-1, HO-1-u-1とSAS細胞で観察された. 以上より, HSF1の抑制はヒトOSCC細胞のMHT とHTに対する感受性を増感すること, さらに, HSF1の抑制とHTとの併用は, OSCCの有効な治療法になる可能性があることが示された.

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© 2011 日本ハイパーサーミア学会
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