Thermal Medicine
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微小気泡を利用した超音波診断・治療システムの構築
鈴木 亮小田 雄介小俣 大樹澤口 能一関 むつみ宇留賀 仁史直井 智幸根岸 洋一丸山 一雄
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2013 年 29 巻 2 号 p. 37-46

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抄録

近年, "セラピオティクス (治療)" と "ダイアノスティクス (診断)" を合わせた新たな言葉 "セラノスティックス" が注目を浴びている. この言葉は文字通り治療と診断を同時に行うシステムを示している. この言葉の出現の背景には, 診断・治療のための医療機器の技術革新がある. 現在, X線 Computed Tomography, Magnetic Resonance Imaging, Positron Emission Tomography, 超音波などの診断用装置が臨床応用されており, 各装置で様々な特徴がある. その中で超音波造影装置は, 管理区域が不要, 小型でベッドサイドにも運搬可能, 比較的安価, リアルタイムイメージングが可能などの多くの利点があり注目されている. また, 最近では標的部位に体外からピンポイントに超音波のエネルギーを集束できる治療用超音波装置 (強力集束超音波) が開発され, 新たながん治療法として期待されている. このように超音波は, 治療と診断のための装置が揃っており, セラノスティックスを構築する上で有望な医療用エネルギーとして捉えられる. さらに, 超音波造影剤として利用されているマイクロバブルと超音波の併用により超音波診断の精度向上やソノポレーション効果の増強によるハイパーサーミアへの展開が期待されている. そこで本稿では, 超音波を利用したセラノスティックスに関して著者らの取り組みを紹介するとともに, 今後の展望について議論する.

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© 2013 日本ハイパーサーミア学会
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