東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-47
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脳血管障害片麻痺患者のバランス能力と感覚障害の関係
*木村 晋一朗市川  淳一南 公大関山 文理吉田 可苗金子 沙緒里櫻井 由美子杉浦 健太大塚 亮福井 梓村田 淳
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抄録

【はじめに】 脳血管障害片麻痺患者において、感覚障害はバランス・歩行に影響すると考えられる。そこで今回、感覚障害の程度とバランス、歩行能力に注目し、比較検討したので報告する。 【対象】 歩行可能な外来通院中の脳卒中片麻痺36名(右麻痺17名、左麻痺19名、平均年齢65.6歳)。なお、研究の趣旨を理解出来ないほどの認知症患者、両側性障害を有する者を除外した。研究に際し、全例に本研究の主旨を説明し同意を得た。 【方法】 片麻痺の指標にはBrunnstrom Recovery Stage (以下:BRS)を用いた。感覚障害分類はStroke Impairment Assessment Set(以下:SIAS)を用いて、下肢の触覚と位置覚の合計点が0~4点を感覚障害群(Sensory Disturbance:以下:SD)5~6点を非感覚障害群(non Sensory Disturbance:以下:NSD)、とした。バランス評価にはBerg Balance Scale(以下:BBS)を用いた。最大歩行速度は補装具ありにて10m歩行速度を3回測定し、最速値を用いた。また、各項目と比較する際の、統計学的処理として、Mann-WhitneyのU検定とSpearman順位相関を用いた。(P<0.05) 【結果】 脳卒中片麻痺でのSD群16名、NSD群20名において、BBSと最大歩行速度に有意な差が認められた。感覚別でのBBS比較では触覚はr2=0.44、位置覚r2=0.59、最大歩行速度では、触覚r2=0.35、位置覚r2=0.30であった。 【考察】 今回の研究結果において、脳卒中片麻痺患者において感覚障害群のほうがバランス・歩行共に有意な低下が認められた。感覚情報の減少がバランス・歩行能力を低下させる要因であり、特に深部感覚情報の減少がバランス能力を低下させる要因の一つであると推測される結果であった。

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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