東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-11
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一般口述
インターバルトレーニングにおける運動間の回復様式が代謝・自律神経活動に及ぼす影響に関する考察
*山﨑 一史西田 裕介
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抄録

【目的】 インターバルトレーニング(IT)は運動期(Ex)と回復期(Rec)が混合する運動様式であり、中等度の持久運動と比べて優れた身体機能の改善が報告されている。心疾患患者においても同様の報告がなされているが、実際にITを心疾患患者に行う際には運動中・後の過剰な交感神経活動による心血管イベントなどのリスクを考慮した運動負荷強度と回復方法の設定が必要である。効率のよい回復とは交感神経活動の抑制と酸素負債の減少である。交感神経活動の亢進は運動時の代謝動態を変化させる。そのため、本研究では運動時の代謝動態の変化から過剰な交感神経活動を定義すると共に、同等の心拍出量を維持し、自律神経反応の異なるActive Cycling(AC)とPassive Cycling(PC)を用いて、効率の良い回復方法を4名の測定結果から考察する。
【方法】 対象は健常男性4名。心肺運動負荷試験を行い、嫌気性代謝閾値(AT)を測定した。ITにおけるExは80%AT負荷強度で6分間とし、3分間のRecを挟んで2度実施した(Ex1, Ex2)。Recは安静座位(CO)条件、10wのAC条件、PC条件とした。Exの酸素摂取量の時定数(V(ドット)O2τ-off・on)および緩成分(Slow Component:SC)は指数関数モデルにフィットさせて算出した。交感神経活動は心電図のR-R間隔より心拍変動解析を用いて低周波成分を高周波成分の比(LF/HF)を算出した。LF/HFの経時変化とV(ドット)O2τ-off・on, SCを3条件間で比較した。尚、本研究は聖隷クリストファー大学大学院の倫理委員会の承認を得ており、対象者には十分な説明を行い同意を得た上で実施した。
【結果】 以下に各条件の平均を示す。回復期LF/HF(CO:0.49, AC:0.30, PC:0.33)、Ex2LF/HF(CO:3.67, AC:1.81, PC:1.44)、Ex1V(ドット)O2τ-off(CO:41.6, AC:46.8, PC:45.5)、Ex2V(ドット)O2τ-on(CO:51.9, AC:42.5, PC:41.0)であった。COでは回復期LF/HFが高値の場合、Ex1V(ドット)O2τ-off, EX2V(ドット)O2τ-onが遅延し、ACではEX2V(ドット)O2τ-on, PCではEx1V(ドット)O2τ-offが加速した。Ex2においてSCが出現したものはCOの1名のみであった。
【考察】 運動後の回復期と次運動中の交感神経活動の関連が示唆された。V(ドット)O2τ-off・onの速さとSCの有無は酸素負債、酸素不足を表す。COにおいてV(ドット)O2τ-offは速いがV(ドット)O2τ-onは遅く、次運動中の交感神経活動が高値を示したことは、増加した酸素負債が次運動中に代謝受容器反射を惹起し、交感神経活動の亢進を誘発したと考えられる。PCにおいてはV(ドット)O2τ-on・offも速く、機械受容器を介した心拍出量の増加反応による運動後の酸素負債の減少と運動開始時の酸素不足の減少により、次運動期の交感神経活動が低値となったと考えられる。
【まとめ】 ITにおける回復期のPCによる他動的な血流の促進が酸素負債と交感神経活動を減少させる手段としての有効性を示唆する傾向が示された。

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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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