Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本語)
黄体におけるガレクチンの発現プロファイルと予想される役割
小林 純子羽柴 一久佐野 栄宏奥田 潔W. Colin Duncan岩永 敏彦
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2016 年 28 巻 162 号 p. J71-J76

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抄録

ガレクチンはβ-galactosideを認識するレクチンで、さまざまな生理学的、病理学的現象に関与する。黄体は正常な妊娠に必須なプロゲステロンを産生する一時的な内分泌組織で、ステージ特異的にgalectin-1とgalectin-3を発現する。このミニレビューでは、マウス、ウシ、およびヒトの黄体におけるガレクチンの発現プロファイル、発現調節機構、そして考えられる機能についてこれまでの研究結果をまとめている。マウスの退行期黄体はgalectin-1とgalectin-3を発現し、両ガレクチンはマウス黄体の退行に関与すると考えられる。一方、ウシとヒトの機能黄体はgalectin-1を豊富に発現していた。そして、galectin-3はこれらの動物においてもマウスと同様に退行期の黄体にのみ発現していた。黄体細胞におけるガレクチンの発現は、プロラクチン、黄体形成ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、プロスタグランジンEおよびFなどの既知の内分泌および局所因子により調節をうけた。興味深いことに、ST6GAL1により転移されgalectin-1と糖鎖との結合を阻害するα2,6シアル酸が、すべての動物の退行期黄体で増加していた。これらの研究結果は、黄体機能とともに発現する糖鎖とガレクチンサブタイプが変化する“ガレクチンスイッチ”が黄体機能の制御において動物種を越えて共通したメカニズムであることを示唆する。

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© 2016 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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