Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本語)
シンデカンヘパラン硫酸プロテオグリカン:制御、シグナリング、癌生物学への影響
Angélica Maciel GomesDovile SinkeviciuteHinke A. B. Multhaupt米田 敦子John R. Couchman
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2016 年 28 巻 163 号 p. J77-J88

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抄録

ほぼすべての動物細胞はヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)を細胞表面に発現し、細胞外マトリックスへ分泌している。シンデカンは、細胞外微小環境から細胞へのシグナル伝達を仲介する受容体として機能する膜貫通型プロテオグリカンの主要なグループである。シンデカンのヘパラン硫酸鎖は、その大きな構造多様性により、接着、移動、増殖そして生存に強く影響する制御因子を含む広範囲のリガンドと相互作用する。しばしば、リガンドは高親和性受容体と協調して、細胞表面のヘパラン硫酸と相互作用する。それゆえ、その結果生じるシグナルは複雑になる可能性があるが、シンデカンは独立したシグナルを発することができると現在知られている。本総説は、2章に分かれており、まず、同化過程であるヘパラン硫酸の構築が、いかにリガンド結合とシグナルに関連する情報を含有するかについて論ずる。次に、我々は、部分的異化過程において、細胞の挙動に影響するHSPGの新規の役割がいかにして生じるかを論ずる。HSPGの組成および分布が癌において変化しているであろうことと、新規治療薬の開発のための標的となりうる可能性があることから、腫瘍研究での例が強調されている。

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© 2016 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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