Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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MINIREVIEW(ガレクチン特集論文)(日本語)
組織学的な地図づくりと正常および病態におけるサブタイプ特異的なガレクチンの役割
小林(仁尾) 純子
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 30 巻 172 号 p. SJ47-SJ53

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抄録

ガレクチンはβ-galactoside結合レクチンで、15種類のサブタイプが臓器および細胞特異的に生体内に広く分布する。このミニレビューでは、消化器系、リンパ系、呼吸器系、泌尿器系、そして生殖器系器官などのさまざまな臓器におけるガレクチンサブタイプの組織学的な局在をまとめた。また、上皮の形態学的特徴に注目して、上皮におけるガレクチンの局在についてまとめた。さらに、生殖器および内分泌系組織、病的な血管新生、幹細胞の機能制御におけるガレクチンの役割について考察した。黄体細胞で得られた所見に基づいて、ガレクチンの発現調節機構についても考察している。これまでに様々な複合糖質がガレクチンのリガンドとして同定されているが、ガレクチンを発現する細胞により、リガンドとなる複合糖質は異なる。細胞の生理学的および病理学的な状態が、ガレクチン発現、および、細胞が発現する糖鎖構造に影響を与える。成長因子、栄養素、酸素濃度などの細胞外環境がこれらを調節しているのだろう。組織学的な解析手法を用いて、ガレクチンを発現する細胞を同定し、細胞内局在を明らかにしていくことは、ガレクチンの本質的な機能を理解するための重要な情報を提供するだろう。

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© 2018 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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