Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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グライコデビュー(日本語)
NotchのO-型糖鎖修飾の真の機能とは?
松本 顕治郎 Haltiwanger Robert S.
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2018 年 30 巻 175 号 p. J103-J111

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抄録

一回膜貫通型受容体であるNotchを介して活性化するNotch情報伝達系は、細胞と細胞の直接的相互作用を介して活性化する情報伝達系である。Notch情報伝達系は後生生物の様々な細胞で、その細胞運命の決定を行っている。Notchの細胞外ドメインはタンデムな36のEGF様配列を持ち、ほとんどのEGF様配列が3種類のO-型糖鎖(O-グルコースグリカン修飾、O-フコースグリカン修飾、O-GlcNAc修飾)により修飾される。各々の糖鎖機能において、その糖鎖修飾箇所のアミノ酸へ点突然変異を導入したNotch突然変異体の解析や、糖転移酵素の突然変異体の表現型の解析がなされてきた。その結果、1ヵ所の糖鎖修飾を欠損したNotch突然変異体よりも、糖転移酵素の突然変異体の方が強いNotch欠損の表現型をしめすことがわかってきた。現在は、Notchにおける2つ以上の糖鎖修飾の協同的な機能が、Notch情報伝達系の十分な活性化に必須だと考えられている。この総説では、Notchの糖鎖修飾発見の歴史、個々の糖鎖の機能、そして糖と糖の協同的な機能によるNotch情報伝達系の制御に関して述べる。

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© 2018 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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