Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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鳥類の発現するIgGの糖鎖構造:生物種間で保存されている糖鎖と多様な糖鎖
鈴木 詔子
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2018 年 30 巻 177 号 p. J181-J189

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抄録

鳥類のIgGは血清および卵黄に存在する主要な免疫グロブリンで、IgYとも呼ばれている。哺乳類のIgGではFabとFc領域の間に柔軟性に富んだヒンジ領域が存在するが、鳥類のIgGではその代わりに重鎖の定常領域に免疫グロブリンドメイン(CH2ドメイン)を一つ多くもつ。これに対し、鳥類IgGのCH3ドメインは、哺乳類IgGのCH2ドメインに似ており、1つのN型糖鎖の付加部位はこれらのドメイン上の相当するアミノ酸配列の位置に局在している。この位置のN型糖鎖は2つの重鎖によって形成される間隙の内側に面して存在し、Fc領域の安定化に寄与していると考えられている。しかし、この領域のN型糖鎖は、哺乳類IgGでは通常2本鎖の複合型糖鎖であるのに対し、鳥類IgGでは高マンノース型糖鎖のみ付加している。しかも分泌タンパク質では珍しいグルコースが1つ付加した高マンノース型糖鎖(Glc1Man8–9GlcNAc2)が含まれている。一方、鳥類IgGに存在する複合型糖鎖はCH2ドメインおよび可変領域に局在すると考えられ、非還元末端側に多様な糖鎖配列が存在するため極めて不均一な構造をしている。ニワトリ、ウズラ、ハト、カモメ、シチメンチョウ、ホロホロチョウ、およびクジャクのIgGのN型糖鎖を比較すると、生物種特異的にGalα1-4GalやGalβ1-4Gal配列が存在する。この結果から、鳥類IgGの糖鎖構造は鳥類における種特異的な糖鎖構造の違いを探索する上で有用であると考えられる。

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