Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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グライコデビュー(日本語)
膵臓β細胞で栄養センサー分子を機能制御するガレクチンラティス
前田 賢人大坪 和明
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2019 年 31 巻 178 号 p. J29-J31

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抄録

近年、糖タンパク質が有するN型糖鎖とガレクチンの結合により形成されるガレクチンラティスが細胞膜表面での糖タンパク質の発現および機能を制御し、これが様々な恒常性維持に重要であることが判明している。我々はこれまでに膵臓β細胞における糖鎖合成不全がガレクチンラティス形成を阻害し、グルコーストランスポーター2(GLUT2)の細胞膜マイクロドメイン局在異常を引き起こすこと、またその結果、細胞のグルコース取り込み活性を減弱させる事を明らかにした。2型糖尿病の発症過程において、これが膵臓β細胞からのインスリン分泌を障害する。このようにガレクチンラティスの生物学的意義は十分に認識されているが、細胞膜表面における糖タンパク質の分子レベルでの局在・機能制御メカニズムの詳細は未だ理解されていない。この課題を解決すべく、我々は膵臓β細胞表面で形成されているガレクチンラティスの構成因子を解析した結果、少なくとも塩基性アミノ酸トランスポーター3(CAT3)、テニューリン-3、ミオシン-4、アクチン、α-チューブリンおよびGLUT2がガレクチンラティスに含まれていることが判明した。これらの結果は、細胞膜表面の糖タンパク質が、ガレクチン-N型糖鎖結合により機能ドメインを形成すること、また膵臓β細胞のインスリン分泌で重要な栄養センサー分子が、このガレクチンラティスを介する共通のメカニズムにより機能制御されていることを示唆している。

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© 2019 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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