糖質学会奨励賞の受賞後間もなく名古屋市立大学から理化学研究所に異動したため、受賞から今日に至るまでの11年は理研での研究活動そのものになります。振り返ってみると、糖鎖という研究対象にどのように取り組むべきかを考え続けてきた11年でした。あれこれ思いを巡らせただけで結局のところ糖鎖研究の分野に貢献していないのではないかと自責の念に苛まれる時もあります。それでも何か新しいことに挑戦してみようと思案し、糖鎖研究分野の未解決の問題にあがきながらも取り組んできたのは確かです。本稿ではその取り組みの証として、レクチンの特異性、N型糖鎖の付加・成熟の問題、糖鎖異性体の分離について記載致します。