2019 年 31 巻 181 号 p. SJ57-SJ58
私のグループは、細胞外O-GlcNAcをNotch受容体の上皮成長因子リピートに見出した。OGTによるO-GlcNAc修飾とは異なり、細胞外O-GlcNAcはEOGTの作用により小胞体で生じる。ショウジョウバエにおいてeogtを不活性化させることで、細胞外O-GlcNAcが発生過程に必須であること、そして、Dumpyなどのアピカル側の細胞外マトリックスの機能を制御する可能性が明らかになった。一方、哺乳動物においては、細胞外O-GlcNAcはNotchシグナルの精密な制御に必要であることが明らかになった。Eogt欠損マウスは網膜血管の統合性に異常を生じる。重要なことに、EOGTは先天性疾患であるアダムズ・オリバー症候群の原因遺伝子となる。これらの知見から、ショウジョウバエと哺乳動物における細胞外O-GlcNAcの多様でかつ重要な生物学的機能が明らかにされた。本稿においては、細胞外O-GlcNAcの生化学・生物学的研究におけるこれまでの知見と最近の研究展開まで簡略に述べる。