Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本糖質学会編集論文)(日本語)
ガングリオシドが関わる難治性疾患の病態メカニズム
大海 雄介 古川 圭子古川 鋼一
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2020 年 32 巻 187 号 p. J67-J72

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抄録

酸性スフィンゴ糖脂質、ガングリオシドは、神経組織やがん組織に多く発現し、組織の健常性を制御している。我々は、ガングリオシド合成酵素をノックアウトする事により、種々のガングリオシドを欠損する変異マウスを作製し、様々な神経変性が起こることを報告した。その機構の一つとして、ガングリオシド欠損による脂質ラフトの構築異常が、グリア細胞の活性化を伴う慢性的な炎症を惹起し、神経変性を誘導することを明らかにした。一方、がんであるメラノーマやグリオーマに発現する特異的なガングリオシドは、脂質ラフト上に局在する分子と会合し、悪性形質に関与するシグナルを増強することが明らかになった。本稿では、神経組織の健常性維持やがん形質の制御にガングリオシドがどのように関与するかについて、これまでの知見を踏まえて報告する。

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© 2020 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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