2020 年 32 巻 189 号 p. J143-J151
酸性多糖類であるグリコサミノグリカン (GAG)は、コアタンパク質と共有結合したプロテオグリカン (PG)として生体内に存在する。 PGの生物活性は、糖鎖とGAG結合タンパク質 (成長因子、ケモカイン、接着分子など)との相互作用に基づいている。そのため、GAG鎖の構造、すなわち硫酸化パターン、エピメル化および分子量はGAG結合タンパク質との相互作用に重要である。しかしながら、何故GAG鎖の構造が分化や老化に伴って変化するのか、その詳細なメカニズムはほとんど明らかとなっていない。本稿では、ヘパラン硫酸 (HS)およびコンドロイチン硫酸 (CS)関連遺伝子の転写および翻訳レベルでの発現制御について概説する。 さらに、ポリアミンによるGAG合成促進の分子メカニズムも紹介する。