2020 年 32 巻 189 号 p. J133-J136
うつ病の病態は未だ不明の点が多く、うつ病の診断基準には客観的な検査所見が含まれていないのが現状である。うつ病の血清・血漿タンパク質のバイオマーカーについては、神経栄養因子やサイトカインなど様々な因子が報告されているが、定量的な解析に留まっており、糖鎖を含めた質的解析に踏み込んだバイオマーカー探索研究はほとんどない。また、うつ病の基礎研究においても同様であり、病態に関与すると考えられるタンパク質はいくつか同定されてきているものの、糖鎖について解析された研究は数少ない。本稿では最近の知見を紹介しながら、うつ病に対する糖鎖研究の可能性について論じたい。