Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
Print ISSN : 0915-7352
ISSN-L : 0915-7352
サイクロデキストランの生産とその応用
Tetsuya OgumaHiroshi Kawamoto
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 15 巻 82 号 p. 91-99

詳細
抄録

我々は、サイクロデキストリンでは包接できない難溶性物質を包接できるような環状体を検索し、サイクロデキストランという環状体がデキストランから生成することを発見した。サイクロデキストランは、現在まで同定されているものとしてグルコースの7量体、8量体、9量体があり、サイクロデキストラン合成酵素の作用によりデキストランから生成する。
サイクロデキストランの生産には、サイクロデキストラン合成酵素、副産物分解酵素が必要である。これらの酵素に関しては、遺伝子組換え技術を駆使して量産することが可能になった。また、サイクロデキストランの生産効率の上昇は鋭意検討中である。
一方、本物質の利用を検討し、サイクロデキストランが以下のような機能を持つことを確認した。サイクロデキストランおよび修飾サイクロデキストランは、(1)抗う蝕作用、(2)難溶性物質可溶化作用、(3)抗HIV作用、(4)抗潰瘍作用等の機能を有する。従って、サイクロデキストランは、サイクロデキストリンと同様多機能な環状オリゴ糖であり、特に抗う蝕作用の利用に関しては実用化が十分に期待される。

著者関連情報
© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
前の記事 次の記事
feedback
Top