Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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N型グリコシル化の制御
Susan H. Shakin-Eshleman佐藤 武史古川 清
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1996 年 8 巻 40 号 p. 115-130

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抄録

N型グリコシル化は、最も一般的なタンパク質の修飾機構の一つであり、タンパク質として合成され機能を発現する上で大変重要である。この修飾のタンパク質の機能に及ぼす影響は、N型糖鎖修飾が起こる時に、タンパク質に付加される糖鎖の本数やその位置で異なる。Asn-X-Ser/Thr配列は、タンパク質に糖鎖修飾が起こるためのシグナルであるが、必ずしもAsn-X-Ser/Thr配列が効率的にグリコシル化を受けるわけでもなく、またこの配列に全く糖鎖が結合していない場合もあり、他のタンパク質シグナルも関与していると考えられる。あるAsn残基に起こる糖鎖修飾を制御しているシグナルを明らかにするため、様々な実験が行なわれてきた。例えば、糖鎖が結合している配列としていない配列の近傍のタンパク質の一次構造を比較したり、糖鎖結合可能部位を含むペプチドをオリゴ糖の受容体や阻害剤として用いたり、また組換え体タンパク質の糖鎖結合可能部位に糖鎖が結合しているかどうかを解析した研究がある。こうした研究によって、様々な因子が複雑に組合わさることにより、個々の Asn-X-Ser/Thr配列にオリゴ糖が付加される効率が決まることが明らかとなった。糖鎖結合可能部位のAsn残基近傍のアミノ酸は、オリゴ糖の受容体活性に大きな影響を与えている可能性がある。これ以外の因子は、タンパク質が合成されている際のグリコシル化が起こる瞬間に、糖鎖結合可能部位が糖鎖修飾を受けやすいようにすることで、その効率を調節している。本稿では、こうした問題を取り扱っている研究について議論してみたい。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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