時間学研究
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大学生における主観的時間の長短に関わる状況および抑うつ傾向の関連
自由記述回答にテキストマイニングを用いた探索的検討
森田 麻登森島 泰則
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2017 年 8 巻 p. 33-44

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抄録

時間感覚と気分・感情には関連があると考えられているものの,十分な研究は行われていない。そこで本研究では,時間を短く感じる状況と長く感じる状況を想起してもらい,それぞれの特徴を比較検討した。さらに,この2つの状況と抑うつ傾向の関連についても探索的に検討を行うことを目的とした。271名の調査対象者に対し,抑うつ尺度および,主観的時間の長さが変化するような状況・場面について自由記述を実施し,テキストマイニング分析を行った。その結果,時間を短く感じる状況では「快」等,ポジティブな内容の割合が多く,「快」「趣味・娯楽」「他者」の3つに関連がみられた。また,時間を長く感じる状況では「不快」等,ネガティブな内容が多く,「不快」は「学業」と,「退屈」は「アルバイト」と関連がみられた。さらに,抑うつ者は,時間を短く感じる状況として「睡眠」に関する内容を記述する割合が高かった。得られた結果から,心理的時間には,感情価や抑うつ傾向が関連している可能性が示唆された。

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© 2017 日本時間学会
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