2021 年 26 巻 10 号 p. 10_10-10_17
予防接種は、感染症予防のために最も特異的かつ有効な方法である。日本の予防接種は予防接種法に基づいて実施される臨時接種、新臨時接種、定期接種に加えて、予防接種法に基づかない任意接種がある。新型コロナワクチンは2021年8月現在、臨時接種として実施されている。ワクチンの種類には、生ワクチン、不活化ワクチンがあるが、国内で接種が行われている新型コロナワクチンはこれらのいずれにも該当しないmRNAワクチン2種類とウイルスベクターワクチン1種類である。ワクチンの効果は、接種後の抗体価上昇や、当該感染症の発生動向で判断されることが多い。発生動向は、感染症法に基づく感染症発生動向調査でサーベイランスが実施されている。新型コロナワクチンの接種は2021年2月14日の国内製造販売承認をうけて、2月17日から始まった。今後は接種率の上昇に伴った発生動向の変化が注目される。