新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界を席巻し、多くの感染者・死者を生んだ。この終息に向けて国際社会は「新型コロナ感染症に関連する手段へのアクセスを加速化する枠組み」(ACT-A)を創設し、検査・治療薬・ワクチンの開発・生産を促進し、その配布や普及に努めてきた。通常10年以上かかるワクチン開発が1年以内に成功した一方で、その確保・普及には富裕国と貧困国で大きな格差が生まれた。
ACT-Aのワクチン部門である「新型コロナウイルス感染症ワクチンの国際的なアクセス」(COVAX)は高・中所得国から資金を調達し、ワクチンを低・中所得国に分配する仕組みを作り、格差是正に向けた努力が現在進行中である。
今回、新技術によるワクチンの迅速な開発以外にも、デジタル技術などを駆使したデータ収集や可視化、感染者追跡、接触者調査などのイノベーションが見られた。これらの好機も活用しながら、将来のパンデミックの対策に向けて戦略的な国際連携が求められる。