2021 年 26 巻 11 号 p. 11_35-11_39
障害の社会モデルの考え方にもとづけば、COVID-19による社会環境の急激な変化は、移動・医療・仕事・教育・情報における社会的排除や差別など、障害という現象の普遍化を引き起こしている。その結果、在宅ワークやリモート会議など、障害のある人々が以前から活用してきた様々なツールが汎用され始めてもいる。しかし、障害の増大は均等に起きているのではなく、子どもや障害者、差別にさらされてきたグループや社会経済的状況の低いグループは、そうでない人々よりも、より一層深刻な状況に陥り、格差が拡大している。脆弱性の高いグループがどこにいるのかをモニターし続け、有限な資源をそこに投じていくことは、このパンデミックを収束に向かわせるうえで不可欠な分配原理である。