学術の動向
Online ISSN : 1884-7080
Print ISSN : 1342-3363
ISSN-L : 1342-3363
第二部 コロナ禍とメンタルヘルス
子どもの育ちとマイノリティ当事者の暮らし
熊谷 晋一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 26 巻 11 号 p. 11_35-11_39

詳細
抄録

 障害の社会モデルの考え方にもとづけば、COVID-19による社会環境の急激な変化は、移動・医療・仕事・教育・情報における社会的排除や差別など、障害という現象の普遍化を引き起こしている。その結果、在宅ワークやリモート会議など、障害のある人々が以前から活用してきた様々なツールが汎用され始めてもいる。しかし、障害の増大は均等に起きているのではなく、子どもや障害者、差別にさらされてきたグループや社会経済的状況の低いグループは、そうでない人々よりも、より一層深刻な状況に陥り、格差が拡大している。脆弱性の高いグループがどこにいるのかをモニターし続け、有限な資源をそこに投じていくことは、このパンデミックを収束に向かわせるうえで不可欠な分配原理である。

著者関連情報
© 2021 公益財団法人日本学術協力財団
前の記事 次の記事
feedback
Top