2021 年 26 巻 11 号 p. 11_60-11_67
空間疫学とは、疾病の発生状況の地理的可視化や解析から、疾病対策に有用な情報を得ようとする研究領域である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に流行する中、流行特性の理解と課題の抽出に感染者などの疫学情報が地図化されてきた。COVID-19の流行の核となる場所と健康被害の集中する人々の特定に焦点をあて、インターネット上に公開されている国内外の流行地図を通して空間的解像度の高い流行の地理情報を活用する意義を解説する。利用すべき情報と公開に当たって望ましい情報の形式を考えながら、今後より有効な疫学的地理情報の活用が期待される。