本稿の目的は、コロナ禍の国内人口移動への影響を検討するとともに、それが東京一極集中や地方圏の疲弊という長年の問題を是正するかどうか、を検討することである。コロナ禍に見舞われた2020年に、東京圏の転入超過数や東京都の転入超過率が大幅に減少し、居住地選択に大きな影響を与えた。これは、2014年に設置されたまち・ひと・しごと創生本部の諸施策によっても実現が困難だった、東京一極集中という問題が是正される兆しと考えることができる。今回確認された人口分散の動きを一過性のものとせず、今後も継続させるためには、これまでの地方創生策を継続する必要がある。