学術の動向
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第三部 地球環境変化の人間的側面から考える持続可能な社会
地球環境変化のもとでのコロナ禍における持続可能な社会への新たな連関
谷口 真人
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2021 年 26 巻 11 号 p. 11_72-11_77

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抄録

 工業化・都市化などにより、均質でわかりやすい価値観が広まった人新世におきたコロナ禍は、生活圏や地域間依存性など、人・社会・自然の関係性の見直しと、新しい繋がり方の構築を促している。また、コロナ禍で起きた行動変容は、産業構造の転換と新しいグローバル社会のあり方や、心身・社会・自然の一体的理解の重要性を認識させた。コロナ禍での人と社会・自然との関わり方の議論は、安心や信頼、自己・他者・社会の間の互恵、利他性など、未来の人と社会と自然の繋がりのあり方を示す倫理の基本となる。地球史・生命史・人類史・歴史を内在する、持続可能な人と社会と自然の構造的理解とコミュニケーションのあり方をもとに、社会変容のためのフレーム作りが必要である。そして、学術の個別の目標に対する多様性を堅持しつつ、共通の目標への融合性をあわせ持つ学術の連携が、コロナ禍の危機への対応と持続可能な社会の実現に必要である。

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