工業化・都市化などにより、均質でわかりやすい価値観が広まった人新世におきたコロナ禍は、生活圏や地域間依存性など、人・社会・自然の関係性の見直しと、新しい繋がり方の構築を促している。また、コロナ禍で起きた行動変容は、産業構造の転換と新しいグローバル社会のあり方や、心身・社会・自然の一体的理解の重要性を認識させた。コロナ禍での人と社会・自然との関わり方の議論は、安心や信頼、自己・他者・社会の間の互恵、利他性など、未来の人と社会と自然の繋がりのあり方を示す倫理の基本となる。地球史・生命史・人類史・歴史を内在する、持続可能な人と社会と自然の構造的理解とコミュニケーションのあり方をもとに、社会変容のためのフレーム作りが必要である。そして、学術の個別の目標に対する多様性を堅持しつつ、共通の目標への融合性をあわせ持つ学術の連携が、コロナ禍の危機への対応と持続可能な社会の実現に必要である。