学術の動向
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コロナ禍と現代社会 ─人文学・社会科学の視点から─
コロナ禍における日本人の社会心理
──日本における時系列変化と国際比較
三浦 麻子
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2021 年 26 巻 12 号 p. 12_14-12_17

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抄録

 コロナ禍は社会心理に強い影響を与えている。社会心理学は元来こうした「状況の力」が人間の心理とその表出としての行動に及ぼす影響を解明することを旨とする学問であり、コロナ禍を人為的な操作によらない状況要因と捉えて、その影響を観察する研究が進行している。2020年1月末からの時系列変化を追う研究では、まだ国内にウイルスがほとんど入り込んでいない(と知らされていた)時期から、コロナ感染は恐ろしさと未知性の両面ともに強い脅威事象だと捉えられており、その様相には1年半が経過した2021年7月末に至るまでほぼ変化がないことが示されている。国際比較研究では、感染について内在的公正推論を行う程度が日本において他国よりも高いことが示されている。知見の一般化には未だしだが、今後もできる限り正確なスナップショットを記録し、広く発信する努力を続けたい。

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