学術の動向
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コロナ禍と現代社会 ─人文学・社会科学の視点から─
コロナ禍における経済と働き方の変化
──テレワークの急速な普及と新たな格差の可能性
山本 勲石井 加代子
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2021 年 26 巻 12 号 p. 12_50-12_53

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抄録

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、デジタル化やICTの利活用の進む環境で働く労働者を中心に、在宅勤務やテレワークなどの柔軟な働き方を普及させ、ショックに対するレジリエンスの高い働き方を推し進めた。急速な技術革新というメガトレンドを踏まえると、ポストコロナでは、テクノロジーの活用の有無により、所得格差のみならず、ショックに対するレジリエンスやウェルビーイングといった非金銭的な格差が拡大することが懸念される。本稿では、慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターが実施した「JHPSコロナ特別調査」を用い、金銭的に豊かな労働者ほど、柔軟な働き方を定着させ、仕事に対する熱意といったウェルビーイングにも格差が生じていることを指摘した。ポストコロナの労働市場において、こうしたウェルビーイング格差が、レジリエンス格差によってもたらされている可能性について、今後、慎重に検討する必要がある。

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