2021 年 26 巻 12 号 p. 12_74-12_78
G20参加国の科学アカデミーの考慮に基づき、COVID-19への対応の経験が将来のパンデミックへの備えのために有用なものとなるよう、G20各国政府に至急以下の行動に着手することを求める:
1. 合意された条件のもとで、サーベイランス(監視)のグローバルネットワークの構築を促進する:
・新たなパンデミックの前兆となりうる、罹患率と死亡率のまれなクラスターを以下によって検出する:
- 既存のインフラを基礎とした、疾病のアウトブレイクについてのグローバルアラートと対応システムなどの構築
- オープンソースイニシアティブからのエピデミックインテリジェンス(EIOS)などに類するシステムへの支援強化の推進
- 詳細なデータを照合および共有するための確固たる政策とプラットフォームの開発(例として、病原体ゲノミクスに関するもの)
・直接感染する呼吸器系感染症(急速な感染拡大の危険が最も高い)および、薬剤耐性遺伝子拡大の観点から細菌感染症の分子疫学的サーベイランスの提供
・世界的な薬剤耐性サーベイランスシステムの強化
・これらの広報、教育、支援の促進、および活用のための能力開発
国際的なデータの解釈、分析および国家を超えたつながりと、データから学習するためのガバナンス、インフラおよびスキルによって、このネットワークは支えられるべきである。
2. 診断方法、医薬品とワクチン、医療品と医療装置の分散的な製造および配達を、以下のために促進する:
・世界中、特に低中所得国における、技術と製造能力の向上
・新たな診断方法、医薬品、ワクチンの合理的な規制プロセス
・COVID-19のパンデミックにおける迅速なワクチン開発から得られた教訓を考慮し、新たな規制プロセスをタイムリーに実施する国際的な規制機関
・さまざまな診断ツールの感度および特異度についての情報集約・助言のための国際的な枠組みへの情報提供
・知的財産、特許および価格決定メカニズムを考慮した新技術へのアクセスの強化
3. 政府間条約(Convention)を以下のように発足するべきである:
・世界の20名以上のリーダーにより新たに提案された「パンデミックへの備えとマネジメントに関する国際協定」の制定(formulation)に向けた準備
・グローバルな協力における成功と失敗に関するCOVID-19の経験を評価するための独自のフォーラムを設置
・国際保健規則(2005)を強化するためのインセンティブとメカニズムの必要性について議論する。同規則は、起こりうる感染症流行への対応と適時報告のための、より先鋭的な手段