2021 年 26 巻 7 号 p. 7_68-7_71
本稿では化学物質審査規制法での下記の試験について言及する。
(分解性)好気的条件下での生分解性が審査されるが、化学物質が環境に放出された後は、嫌気的条件下や、また物質によっては水圏よりも気圏に多く分布する場合もあり、嫌気的生分解試験法および光分解試験法の開発が必要である。
(濃縮性)魚類への直接濃縮性を評価しているが、きわめて難水溶性の物質に対しては餌料投与法が開発された。この試験法は未解決の問題点が多く、規制に用いる公的な試験法としては時期尚早と考える。このほか自然界の条件を反映した新たな試験法の開発が必要である。
(生態毒性)現行の試験法はきわめて単純化した系であり、エンドポイントはいずれも外見への影響である。これらの試験で、外見に現れない影響さらには生態系そのものへの影響が評価できるのであろうか。また水に難溶性の物質は生態毒性なしと判断してよいのであろうか。今後の検討が必要である。