学術の動向
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毒性学のこれから ─外から見た毒性学─
毒性学の内と外
那須 民江
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2021 年 26 巻 7 号 p. 7_78-7_79

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抄録

 毒性学は予防医学・予防医療の一分野である。有害化学物質を対象とする側面が強いが、新型コロナウイルスのような生物的要因も含まれる。この分野で大きな力を発揮する科学はレギュラトリーサイエンス(リスク評価・リスク管理・リスクコミュニケーション)である。毒性学の内の者、即ち研究者はリスク評価に耐えうる実験計画を行い、研究情報を公表する必要がある。一方、毒性学の外の者、即ち市民はレギュラトリーサイエンスの情報を読み解く力、リテラシー、を身につける必要がある。われわれは「ゼロリスク」を求めがちであるが、その概念からも、またリスク評価の方法論からもリスクはゼロとはなりえない。毒性学の「内」と「外」を結ぶ線はリスクコミュニケーションである。合意形成できることが求められるが、科学的情報のみでは必ずしも解決できない。経済的、社会的などの多方面からの解決が必要である。

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