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IPCC第6次報告 (自然科学的根拠) をめぐって ─その現代的意義─
地球規模の気候の変化に対する人類の影響
小坂 優
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2022 年 27 巻 1 号 p. 1_66-1_69

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抄録

 IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書の第3章は、大洋・大陸~地球規模の空間スケールについて、気候モデルの再現性能の評価と、観測された変化に対する人類の影響の検出と定量化を行った章である。特に地球温暖化、つまり地球全体で平均した地表気温の上昇について、1850~1900年の平均を基準とした2010~2019年の10年平均に対し、人為起源の影響は1.07ºC(不確実幅0.8~1.3ºC)の地球温暖化をもたらしたと評価した。この推定幅は、観測データに基づく同じ期間の地球温暖化レベル1.06ºC(不確実幅0.88~1.21ºC)を内包する。地表気温以外にも様々な気候指標において人類の影響が検出され、いくつかについては人為起源影響が変化の主要因であると評価されている。これらの根拠により、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない、と結論づけられた。

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