学術の動向
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IPCC第6次報告 (自然科学的根拠) をめぐって ─その現代的意義─
排出された二酸化炭素はどこへ行ったのか
石井 雅男
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2022 年 27 巻 1 号 p. 1_70-1_73

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抄録

 地球温暖化を引き起こしている二酸化炭素の大量排出。その排出量は、化石燃料消費による排出と土地利用変化による排出を合わせて、2010年-2019年の10年平均で、年に10.9± 0.9 ペタグラム炭素に上る。しかし、それらの二酸化炭素のおよそ半分は、大気と陸の植生と海をめぐる自然界の活発な炭素循環にのって、陸の植生と海に吸収されている。大量の二酸化炭素排出を今後も続ければ、気候変化による陸と海の炭素循環の変化や、海の物理化学的な性質の変化によって、陸の植生や海が大気から吸収する二酸化炭素の割合が減ってゆくために、大気の二酸化炭素濃度の増加を減速させることは、いっそう困難になると予測される。

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