2022 年 27 巻 10 号 p. 10_90-10_94
中学校の体育では、創作ダンス、現代的なリズムのダンスと並んで、フォークダンスが学習内容に含まれる。ある生徒が学習カードに「なんで男性役、女性役、どちらか片方の役しかやらないのか?」と、書いてきた。確かに、役割を振ってしまうと自分の動きしかわからない。ペアの動きを丸ごと理解しないままでは、本来の面白みもわからないのでは……。そこから、「役割を限定しないフォークダンスの授業」づくりに取り組み始めた。あえて男女という言葉を使わずに、男性役を「リードする側」女性役を「リードされる側」と呼び、途中で交代してどちらの役割も経験する形で学びを進めた。どちらも実際に経験することで、ペアで動く際のコツや、スムーズなパートナーチェンジの感覚が実感できたようだ。「お互いの動きが予めわかっていれば、誰とでも、気持ちよくダンスが楽しめる」という、極めてシンプルながら、見落としていたことに気づかされる授業となった。